パリヌルスは、風力の有効活用のみを考えていることに気づいた。風力を逃す作用性もタテ帆にあるのではなかろうかと考えた。
彼は呻吟した。思考がもだえた、何をどのように考えるべきかに迷った。
操舵棒を握っている、起きる変化に対応している、思考が止まる、対応を終えて、また考える、思考を最初から始める、この繰り返しをやっていた。彼はつぶやいた。
『それを必要とする状態でないと解決できないのか?』
もどかしかった。
『何としても、これに関する端緒をつかみたい』
彼は、ギアスを呼び寄せた。
『ギアス、タテ帆で風力を逃がす実験をやる。風向きに平行にタテ帆を展帆する、いいな。その効果測定をやる』
『解りました』
『今の風向きはこの方向だ。艇はこの方向に走っている。艇をこの方向に進路を変える。タテ帆を左舷に振って風向きに平行、若しくは風力を逃すと思われる角度に設定する。そのようにドックスに伝えてくれ。操舵によって方向を転じたら、即、やるように言ってくれ』
『解りました』
パリヌルスは、間をおかずに、その操作に取り掛かった。艇が微妙に反応したように感じた。結果はこうだという実感が感じられない。
『そうか、この規模の船、この大きさのタテ帆では、この程度なのかな』
彼は『微妙』を答えとした。
タテ帆構造はこの大きさの船では、必要とはしない、また、使用する者の操船技術の事もあり、新艇にはタテ帆を取り付けないという結論を下した。
3枚帆での走りは爽快そのものであった。パリヌルスは、ギアスに言って走りを楽しむことを告げた。ドックスにもそのことを告げて新艇の走りを楽しんだ。艇上の漕ぎかたの者たちとともに走りの爽快さを堪能した。
『おう、ギアスそろそろ帰ろうか』
『はい、判りました』
ギアスが指示を出す、艇首を南に転じて、帆をおろし漕走する。
パリヌルスは、操舵を漕ぎかたの一人に任せ、漕ぎ座に腰を据えて櫂を握った。
『ギアス、ドックスに声をかけて、櫂を握れといってくれ。お前も漕ぎ座について櫂を握れ。俺らが思っているより櫂操作が軽い』
ギアス、ドックスの二人も漕ぎ座について櫂を握った。
彼は呻吟した。思考がもだえた、何をどのように考えるべきかに迷った。
操舵棒を握っている、起きる変化に対応している、思考が止まる、対応を終えて、また考える、思考を最初から始める、この繰り返しをやっていた。彼はつぶやいた。
『それを必要とする状態でないと解決できないのか?』
もどかしかった。
『何としても、これに関する端緒をつかみたい』
彼は、ギアスを呼び寄せた。
『ギアス、タテ帆で風力を逃がす実験をやる。風向きに平行にタテ帆を展帆する、いいな。その効果測定をやる』
『解りました』
『今の風向きはこの方向だ。艇はこの方向に走っている。艇をこの方向に進路を変える。タテ帆を左舷に振って風向きに平行、若しくは風力を逃すと思われる角度に設定する。そのようにドックスに伝えてくれ。操舵によって方向を転じたら、即、やるように言ってくれ』
『解りました』
パリヌルスは、間をおかずに、その操作に取り掛かった。艇が微妙に反応したように感じた。結果はこうだという実感が感じられない。
『そうか、この規模の船、この大きさのタテ帆では、この程度なのかな』
彼は『微妙』を答えとした。
タテ帆構造はこの大きさの船では、必要とはしない、また、使用する者の操船技術の事もあり、新艇にはタテ帆を取り付けないという結論を下した。
3枚帆での走りは爽快そのものであった。パリヌルスは、ギアスに言って走りを楽しむことを告げた。ドックスにもそのことを告げて新艇の走りを楽しんだ。艇上の漕ぎかたの者たちとともに走りの爽快さを堪能した。
『おう、ギアスそろそろ帰ろうか』
『はい、判りました』
ギアスが指示を出す、艇首を南に転じて、帆をおろし漕走する。
パリヌルスは、操舵を漕ぎかたの一人に任せ、漕ぎ座に腰を据えて櫂を握った。
『ギアス、ドックスに声をかけて、櫂を握れといってくれ。お前も漕ぎ座について櫂を握れ。俺らが思っているより櫂操作が軽い』
ギアス、ドックスの二人も漕ぎ座について櫂を握った。