『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  463

2015-02-11 08:21:28 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『ほっほう~、俺が新艇を試乗するについて、急遽、特別の仕様にしたということか』
 『はいそうです。私たちが日ごろ何を考え、新しい明日の構築に心を砕いているか、それをカタチにしたまでです』
 『そうか、お前らの生きている日々の進歩のカタチと受け取っていいのだな』
 『その様に受け取っていただければ幸いです。ところで、新艇試乗の件について触れますが、新艇の試乗も展帆して航走する距離が、小島の北岸に沿っての短い距離では測りかねることでもあり、ギアスに命じて、今日のキドニア行きに新艇で行かせました。ギアスには、チエック項目を2点にしぼり、その2点を深く分析解明するように指示しました。先ほどギアスからその結果を聞き取りました。その分析解明で考えてもいなかった新艇の性能を知った次第です。それについて報告いたします』
 『ほう、パリヌルス、そこまでやったのか。そのギアスの報告とやらを聞く』
 アヱネアスはパリヌルスと目を合わせた。パリヌルスはギアスから受けた報告を丁寧に話した。一同は関心事でもある新艇の性能を息をつめて聞き入った。
 『ほっほう~、その様な分析解明結果か、いいことづくめではないか。まあ~言ってみればそうであり、聞いてみてそうかと思われる結果ではないか。諸君、話を聞いて質問があれば聞いてくれ。パリヌルス、解る範囲で答えてくれ』
 『パリヌルス隊長の説明が丁寧で質問はありません』
 『いや、俺は聞きたいことがある』とオキテスが口を開いた。
 『パリヌルス隊長、舳先と船尾にタテ方向に取り付ける三角帆の事だが、その効果はどのように働くかをきちっと解明する必要がある。いま、現在の我々にとって未知の分野であるが、それについて、どのように考えているかを聞かせてほしい』
 『その件については私も解ってはいない。それをやるとすれば、実際にそれを取り付けてやってみようと考えている。それには操船技術も関係することでもあり、はい、取り付けました、どうぞご自由にというわけにはいかん。これはギアスから聞いた提案意見でもあり、これの実験は間をおかず始めるであろう、いや、開始する心算である。これの理論と操船技術の兼ね合いで考えている。以上だ』
 『解った。了解した』
 『今のパリヌルスの話、一同理解したな。次の件に移る』
 イリオネスは、一番目の案件の終了を告げた。