新艇は、ここ5日くらいの間に変貌した。たくましくなった。一同が渚に整列して海に浮かんでいる新艇を見つめた。パリヌルスが声を発した。
『さあ~諸君!行くぞ!』
『おうっ!』と返事が返る。彼は手にしていた木板をギアスに渡す、13人が海に身を浸して、艇に取りついた。
ギアスが中央の帆柱に、ドックスが舳先の帆柱に、パリヌルスは艇尾の操舵の位置に、12座ある漕ぎ座に漕ぎかた10人、総勢13人が艇上の位置に就いた。ギアスとパリヌルスの目が合う、頷く、ギアスが声を発した。
『漕ぎかた、始め!』
漕ぎかたの者たちはギアスと気心の知れた舟艇の者たちである。
航走コースは、小島の西岸沿いに北上して、北端に到って、風を読んでコース取りする段取りとなっている。ギアスは、少しの間にパリヌルスから手渡された木板に目を落とした。木板には5項目のチエック項目が記されていた。
程なく小島の北端に到った。ギアスは慎重に風を読んだ。<風風感知器>を風に向けてかざす、やや南方向からの西風である、風力は<中位>、彼が声をあげる。
『中央帆柱、展帆!』と声を発してギアス自身が操作して展帆した。続けて『漕ぎかた、やめっ!』と指示を飛ばす。
新艇は、中央帆1枚で波を割って進んだ。先ずは順調な走り出しであった。
ギアスは新艇の走りを体で測り、パリヌルスと目を合わせた。彼の目は『よしっ!』の意思表示をしている。それを受けてギアスは指示を発した。
『舳先、ヨコ帆、展帆!』
『艇尾、ヨコ帆、展帆!』
舳先のドックス、艇尾のパリヌルスが『おうっ!』と答えて展帆した。
3枚の帆が風をはらむ、艇が加速する。艇の船速が増してきた。
舳先のドックス、中央のギアス、艇尾のパリヌルスが驚いた。新艇の加速が3人の目からウロコをはがして飛ばした。漕ぎかたの10人も驚きの目を見張った。
彼らの口をついて出た言葉が『まさか!?』の驚きの一語であった。その加速状態に舌を巻いた。
風を受けて走る艇上において、彼らは追い風が強さを増していることに気が付いていなかったのである。
パリヌルスは、やっと思い至った。
『まてよ!この加速度感は異様である』
彼はギアスに声をかけた。
『おい、ギアス、3枚帆にして感じる艇の体感加速度が少し速すぎはしないか?1枚帆を展帆した時より風速が強いのではないか?風を読んでみろ!』
『解りました』
ギアスは、艇上を舳先に向かって歩み、転じて艇尾に歩を向けて進み風を読んだ。
『隊長、言われる通りです。少々、風が強くなっています』
『さあ~諸君!行くぞ!』
『おうっ!』と返事が返る。彼は手にしていた木板をギアスに渡す、13人が海に身を浸して、艇に取りついた。
ギアスが中央の帆柱に、ドックスが舳先の帆柱に、パリヌルスは艇尾の操舵の位置に、12座ある漕ぎ座に漕ぎかた10人、総勢13人が艇上の位置に就いた。ギアスとパリヌルスの目が合う、頷く、ギアスが声を発した。
『漕ぎかた、始め!』
漕ぎかたの者たちはギアスと気心の知れた舟艇の者たちである。
航走コースは、小島の西岸沿いに北上して、北端に到って、風を読んでコース取りする段取りとなっている。ギアスは、少しの間にパリヌルスから手渡された木板に目を落とした。木板には5項目のチエック項目が記されていた。
程なく小島の北端に到った。ギアスは慎重に風を読んだ。<風風感知器>を風に向けてかざす、やや南方向からの西風である、風力は<中位>、彼が声をあげる。
『中央帆柱、展帆!』と声を発してギアス自身が操作して展帆した。続けて『漕ぎかた、やめっ!』と指示を飛ばす。
新艇は、中央帆1枚で波を割って進んだ。先ずは順調な走り出しであった。
ギアスは新艇の走りを体で測り、パリヌルスと目を合わせた。彼の目は『よしっ!』の意思表示をしている。それを受けてギアスは指示を発した。
『舳先、ヨコ帆、展帆!』
『艇尾、ヨコ帆、展帆!』
舳先のドックス、艇尾のパリヌルスが『おうっ!』と答えて展帆した。
3枚の帆が風をはらむ、艇が加速する。艇の船速が増してきた。
舳先のドックス、中央のギアス、艇尾のパリヌルスが驚いた。新艇の加速が3人の目からウロコをはがして飛ばした。漕ぎかたの10人も驚きの目を見張った。
彼らの口をついて出た言葉が『まさか!?』の驚きの一語であった。その加速状態に舌を巻いた。
風を受けて走る艇上において、彼らは追い風が強さを増していることに気が付いていなかったのである。
パリヌルスは、やっと思い至った。
『まてよ!この加速度感は異様である』
彼はギアスに声をかけた。
『おい、ギアス、3枚帆にして感じる艇の体感加速度が少し速すぎはしないか?1枚帆を展帆した時より風速が強いのではないか?風を読んでみろ!』
『解りました』
ギアスは、艇上を舳先に向かって歩み、転じて艇尾に歩を向けて進み風を読んだ。
『隊長、言われる通りです。少々、風が強くなっています』