『そうか、解った。艇速が風速に敏感に反応して速くなる事は間違いない。三枚帆効果ありだな』
パリヌルスは速くなった艇の走りを楽しんだ。帆に当たる風量、風当たりの上下差の為す微妙な艇の航走安定効果を測った。測ったといってもそれは体で感ずる領域である。舵を巧みに操り、風受けとそれにより、反応する艇の状態を把握し、これまでの経験と比較して自分なりの答えとした。
その答えは『走りの安定性が、帆の形状によって向上している』であった。
パリヌルスはギアスに声をかける。
『ギアス、これよりタテ帆の効果を測る、いいな』
『解りました』
『まず、艇尾のタテ帆から始める』と言って、艇を45度くらい左へ方向を転じた。タテ帆を風向きに対して直角に展帆した。その瞬間、彼は『はっ!』として、操舵棒を握りしめた。艇は右舷を少し低めて、艇尾を右方へ振った。
『オットット!』
舵さばきによって、艇の進行方向を修正維持した。彼は風力の捕捉効果のあることを感じ取った。斜め後方からの風力効果を逃さずに艇体を走らせる効果のあることを理解した。それは『なるほど』のレベルであり、理屈の段階にはとどいていなかった。
『しっかり舵とりをしなければ、艇尾が振られてしまう。くわばらもんだな』
彼は大声をあげた。
『ギアス!ドックスへ指示だ!舳先タテ帆展帆!展帆角度、風向きに直角だ』
展帆されて、操舵が心持ち楽になったのではと感じられた。ここでも効果は『なるほど』であった。その有効性のレベルを感じ取り、必要性を考えた。新しく浮上してきた思案である。
『タテ帆はあってもなくてもいいのではないか。あればあったで操船技術を理解して操舵しなければいけない』彼は考えた。
『ギアス、ドックスにタテ帆をおろすように言ってくれ。艇尾のタテ帆もおろす。艇の航走を追い風方向に修正する。しばらくは、それで航走する』
『解りました』
新艇の走りは安定している。四角帆1枚の船と比べて走りの安定度が実感された。タテ帆の展帆効果も確かめた。タテ帆の展帆に風のプラス性効果のみを考えて、マイナス性の効果を測ることを忘れていた。
パリヌルスは速くなった艇の走りを楽しんだ。帆に当たる風量、風当たりの上下差の為す微妙な艇の航走安定効果を測った。測ったといってもそれは体で感ずる領域である。舵を巧みに操り、風受けとそれにより、反応する艇の状態を把握し、これまでの経験と比較して自分なりの答えとした。
その答えは『走りの安定性が、帆の形状によって向上している』であった。
パリヌルスはギアスに声をかける。
『ギアス、これよりタテ帆の効果を測る、いいな』
『解りました』
『まず、艇尾のタテ帆から始める』と言って、艇を45度くらい左へ方向を転じた。タテ帆を風向きに対して直角に展帆した。その瞬間、彼は『はっ!』として、操舵棒を握りしめた。艇は右舷を少し低めて、艇尾を右方へ振った。
『オットット!』
舵さばきによって、艇の進行方向を修正維持した。彼は風力の捕捉効果のあることを感じ取った。斜め後方からの風力効果を逃さずに艇体を走らせる効果のあることを理解した。それは『なるほど』のレベルであり、理屈の段階にはとどいていなかった。
『しっかり舵とりをしなければ、艇尾が振られてしまう。くわばらもんだな』
彼は大声をあげた。
『ギアス!ドックスへ指示だ!舳先タテ帆展帆!展帆角度、風向きに直角だ』
展帆されて、操舵が心持ち楽になったのではと感じられた。ここでも効果は『なるほど』であった。その有効性のレベルを感じ取り、必要性を考えた。新しく浮上してきた思案である。
『タテ帆はあってもなくてもいいのではないか。あればあったで操船技術を理解して操舵しなければいけない』彼は考えた。
『ギアス、ドックスにタテ帆をおろすように言ってくれ。艇尾のタテ帆もおろす。艇の航走を追い風方向に修正する。しばらくは、それで航走する』
『解りました』
新艇の走りは安定している。四角帆1枚の船と比べて走りの安定度が実感された。タテ帆の展帆効果も確かめた。タテ帆の展帆に風のプラス性効果のみを考えて、マイナス性の効果を測ることを忘れていた。
