テスト航走でかなりクレタ島を離れて沖に出ていた。
『おう、ギアス、俺たち、かなり沖に出ているようだな。実験しておきたいことがひとつある。この風でその実験をやってみようと考えている。展帆航走する。要領はこうだ。舳先と艇尾のタテ帆だけを展帆する。漕ぎ座を代わってドックスに要領を伝えてくれ。俺は漕ぎ座を離れて艇尾に就く、ドックスは舳先のタテ帆を担当する。お前は艇の走りの分析に集中するのだ。ドックスには、この西風に対してタテ帆をこれくらいの角度で展帆せよと伝えるのだ。解ったな』
パリヌルスは、艇の進行方向に対して、タテ帆の展帆角度を両腕を拡げてギアスに示した。
『解りました』
『では、即刻、手配してくれ』
『隊長、漕ぎかたはどのように?』
『漕ぎかたはつづけて、今の走りを維持するのだ。そのうえで、漕ぎかたには、櫂の操作感に変わりがあるかを聞いてくれ』
『解りました』
パリヌルスらは、即座に担当位置について、帆を操作して、艇の走り感の把握に傾注した。
『タテ帆は、必ず効果する』
パリヌルスは、心の奥底に、この思いがへばりついていることに気が付いた。
彼は、ギアスを呼んだ。
『ギアス、この展帆の効果については、口外禁止だ。三人だけの知るところとする。いいな』
『判りました』
『タテ帆の展帆航走は、小島の位置ぐらいに到達するまでだ。そこいらで帆を下ろせ!以上だ』
『判りました』
ギアスは、艇の走りを感じ取ろうと懸命に努めた。彼は漕ぎかたの一人に感じについて問いかけた。
『櫂操作が少し軽く感じます』の答えが返ってきた。
『そうか、それは何よりだ』
彼は声をあげた。
『漕ぎかた止めっ!肩休めだ』
艇速が落ちたが、走りが止まらない、ゆっくりだが艇が進んでいく、小島が指呼の距離に到った。
『漕ぎかた始めっ!』『舳先、艇尾、帆を下ろせ!』
櫂が海面を泡立てた。ギアスはパリヌルスに身を寄せた。
『如何でしたか?』
『今の措置は得るところがあった。ギアス、ありがとう。浜に帰ったら三人で考えをまとめる』
『判りました』
ほどなく新艇は浜に帰り着いた。
パリヌルスは一同の労をねぎらった。
『おう、ギアス、俺たち、かなり沖に出ているようだな。実験しておきたいことがひとつある。この風でその実験をやってみようと考えている。展帆航走する。要領はこうだ。舳先と艇尾のタテ帆だけを展帆する。漕ぎ座を代わってドックスに要領を伝えてくれ。俺は漕ぎ座を離れて艇尾に就く、ドックスは舳先のタテ帆を担当する。お前は艇の走りの分析に集中するのだ。ドックスには、この西風に対してタテ帆をこれくらいの角度で展帆せよと伝えるのだ。解ったな』
パリヌルスは、艇の進行方向に対して、タテ帆の展帆角度を両腕を拡げてギアスに示した。
『解りました』
『では、即刻、手配してくれ』
『隊長、漕ぎかたはどのように?』
『漕ぎかたはつづけて、今の走りを維持するのだ。そのうえで、漕ぎかたには、櫂の操作感に変わりがあるかを聞いてくれ』
『解りました』
パリヌルスらは、即座に担当位置について、帆を操作して、艇の走り感の把握に傾注した。
『タテ帆は、必ず効果する』
パリヌルスは、心の奥底に、この思いがへばりついていることに気が付いた。
彼は、ギアスを呼んだ。
『ギアス、この展帆の効果については、口外禁止だ。三人だけの知るところとする。いいな』
『判りました』
『タテ帆の展帆航走は、小島の位置ぐらいに到達するまでだ。そこいらで帆を下ろせ!以上だ』
『判りました』
ギアスは、艇の走りを感じ取ろうと懸命に努めた。彼は漕ぎかたの一人に感じについて問いかけた。
『櫂操作が少し軽く感じます』の答えが返ってきた。
『そうか、それは何よりだ』
彼は声をあげた。
『漕ぎかた止めっ!肩休めだ』
艇速が落ちたが、走りが止まらない、ゆっくりだが艇が進んでいく、小島が指呼の距離に到った。
『漕ぎかた始めっ!』『舳先、艇尾、帆を下ろせ!』
櫂が海面を泡立てた。ギアスはパリヌルスに身を寄せた。
『如何でしたか?』
『今の措置は得るところがあった。ギアス、ありがとう。浜に帰ったら三人で考えをまとめる』
『判りました』
ほどなく新艇は浜に帰り着いた。
パリヌルスは一同の労をねぎらった。