『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  649

2015-11-05 05:13:30 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『パリヌルス、お前もどうだ?ドックス、お前も来い、テカリオンどのは、お前にとっても珍しい話を持っている客人だ』
 『はい、喜んで一緒します』
 『おう、そうか。一緒に朝食といこう。この海域一番の交易人と技術屋、スーパーマルチ人の朝食会だ』
 オキテスの声がけで朝食の場を囲むことになった。
 イリオネスがテカリオンに声をかけた。
 『テカリオン、ところで、お前の今日の予定は?』
 『はい、今日の私は、アレテス隊長と魚の加工品の事を打ち合わせて、そののちに浜を離れます。五日後にキドニアを出航して、ミチリーニに向かいます。途中、ミレトスに立ち寄りますが』
 『そうか、航海をことなく行くようにな』
 『ありがとうございます』
 『ではな』
 イリオネスは浜をあとにした。
 オキテス声がけの朝食会は弾んだ。オキテスが司会の労をとっている。
 『おうおう、過ぎた話よして、テカリオンどのからこれからの話をしてもらおうではないか』
 『おう、それがいい。テカリオンどのは、この世を広く行ったり来たりで過ごしておられる。それの見聞きを聞かせてほしい。俺らは広く世を知っていない』
 テカリオンは、請われるままに話の種に花を咲かせた。
 『おう、パリヌルス、もう、そろそろだ。小島での用件を済ませたい。連れて行ってくれ』
 それを潮に朝食会は終わった。
 浜の各場が動き始める。日常の喧騒が始まった。
 パリヌルスとテカリオンの二人は小島にわたる。アレテスが出迎える。間をおかずに本題の話となる。
 『アレテスどの、私の予定では、今日から五日間はキドニアにいます。調品のうえ納品をよろしく頼みます。それでだが、季節が季節です。少々、塩をきつめにして調品してください』
 『承知しました。そのように致します』
 『そうか、それはありがたい。宜しく頼みます』
 手短かに用件を終えたテカリオンは、携えてきた木の箱をアレテスに手渡した。
 『釣り針のほかに釣りに使用する小物も入れてあります。使ってください』
 『ありがとうございます』
 『釣り針は大、中、小の三種類を入れてあります。目的によって使い分けてください』
 二人は用件は終えて小島をあとにした。
 『パリヌルス、俺は、これで出航する。しばしの別れだ、元気でいろよ』
 『道中、気をつけて行け。不穏な噂を耳にしている』
 『判った、充分に気をつけていく』