『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  654

2015-11-12 04:19:56 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 キドニアから帰ってきたオロンテスは、あれこれと多忙である。彼は、堅パンつくりの状況を確認する。
 『おう、この進捗状況ならテカリオンとの約束の履行に支障はない』思い通りに行けることを確信した。
 彼は、集散所においても堅パンの取り扱いを目論んでいたのである。
 『オロンテス、俺は浜へ戻る』
 『そうか、いろいろとありがとう、礼を言う』
 『何かあったら、気にせずに言ってくれ』
 『おう、何かと世話になる、よろしく頼む』
 箱作りの現場で立ち止まる。
 『お~い、マクロス!俺は浜へ戻る。宜しく頼むぞ』
 『判りました』
 オキテスは、現場を一巡して、その場をあとにした。
 オロンテスは、気がかりの堅パンつくりの進捗に安堵して心に余裕を持った。
 『おう、セレストス、焼きあがった堅パンの箱詰めの事だが、この堅パンは『保存できる』が売りのパンだ。保存するといっても何カ月もということではない。まあ~長くても一カ月ぐらいの事だ。その間の日持ちが課題なのだ。解るな。そのための容器があの箱なのだ。そういうことで箱詰めのタイミングの適時が大事と考えている』
 『判りました。焼き上がりの熱い堅パンを詰める、蓋をする、熱がこもる、パンが汗をかく、湿気がこもる、目的とする保存に不具合ということですね』
 『お前、よく解っているではないか、そいうことだ。時間をかけて熱を冷ます、適度に乾かす、それを確かめて箱に詰める。その段取りで仕事を仕あげる』
 『判りました。そのように仕事を進めます』
 『それをやるには、ちょっと設備をしなければならなかった。それが俺の考えから抜け落ちていたということだ。今からではどうにもならない。セレストス何とかするのだ、考えてくれ』
 『判りました。何とかします。空き場所を探してよきようにいたします。任せてください。日々のパンも焼く仕事があります。急いで処置します』
 セレストスは現場に戻っていく、焼きあがった堅パンの山を見つめて思案した。
 今、使っていない小屋の事を思い出す。
 『この際だ、急場のしのぎだ、あの小屋を使う』と決めた。
 彼は、部下二人を連れて小屋へ向かう、小屋に踏み入る、見まわす、使えることを確かめた。同行してきた二人に指示をする。
 小屋の清掃と焼きあがった堅パンの搬入する要領を指示した。
 『手すきの者を連れてきて急いでやってくれ』
 ほどなく、準備完了の報せが来る、それを受けて点検する、焼きあがった堅パンを小屋へ運び入れて事を終えた。