『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  666

2015-11-30 06:45:29 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 場がきりっとしまった。ハニタスがおもむろに口を開く。
 『挨拶を申し上げます。私はこの集散所で副支配を担当しているハニタスです。新艇のトレードを責任担当しています。宜しくお願いいたします。こちらは当集散所で魚類の売り場を営んでいるスダヌス浜頭、新艇のトレードにもかかわっています。また、こちらは当集散所でパンの売り場を営んでいるオロンテスです。このたびの新艇建造事業を行っている一族の一員でもあり、新艇のトレードを担当しています。何卒宜しくお願いいたします』
 『それはそれは、丁寧な紹介ありがとうございます。私ら三人は、ともにイラクリオンで浜頭をしています。私がエドモン、こちらがクレデアス浜頭、ブラナオス浜頭です。宜しく願います』
 一同の紹介が終わった。
 『お三方の用件は、新艇に乗ってみたい、試乗がお望みでございましたですな。只今、船だまりの方で準備いたしております。もう、連絡が来るはずです』
 『そうですか、急な要請をいたしましてーーー』
 『いえいえ、気になさらないでください』
 『ハニタス殿、そして、お二方。新しい船の噂を耳にいたしましてな。少しばかり変わった船らしいと仲間内の話題になっております。それではちょっと見に行こうかということになったわけです。そのようなわけで三人で語らって、こちらへ来たわけです。聞くところによれば、試乗もできるというじゃありませんか、それではということでまいったわけです』
 『そうですか。それはそれは、大歓迎です。本当に、ようこそ、おいでいただき誠にありがとうございます。あ~あ、来ました来ました。お待たせいたしました』
 パン売り場のスタッフの一人が、オロンテスに連絡すべく姿を見せた。オロンテスがハニタスに伝える。
 『ハニタス殿、準備ができたそうです』
 『おう、そうか』
 『エドモン浜頭殿、準備が整いました、船だまりに係留しています。行きましょうか、私どもが案内いたします』
 ハニタスはテミトスと二言三言打ち合わせて、一行を案内して船だまりに向かった。
 ヘルメスの艇上では、ギアスが四方を見廻して風を読んでいる。
 『おう、いい西風が来ている。万事うまくいく。一同、頼むぞ!』
 『おう!』と返事が返る。
 一行が船だまりに到着する。エドモン浜頭がスダヌスに話しかけた。
 『スダヌス、頼みだ』
 『何でしょう?』
 『うちの船の若衆だが、二人乗せてほしいのだが』
 『どうぞどうぞ、乗ってください』
 エドモン浜頭たちの船も船溜まりに係留している。エドモン浜頭が、その連中を呼びに向かった。
 オロンテスがギアスと打ち合わせている。頷くギアス。
 浜頭たち、ハニタスたち、一同がヘルメスに乗り込んだ。
 オロンテスが、艇上の一同に挨拶の口上を告げる、あと二か月後には新艇5艇が完成すると言って話を結んだ。
 『ほっほう!』
 一同が感嘆の声をあげた。