『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  655

2015-11-13 05:29:51 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 オロンテスは、焼きあげたウス塩堅パンを吟味している、周りの者たちにも味見をさせている、彼らの意見を聞きとる、彼は決定した。
 『おう、セレストス、小屋への搬入が終わったのか』
 『はい、最中です。もう終わるはずです』
 『塩味を決めた。最初の塩味堅パンの塩量の3分の2として、オリーブ油を半分とするのだ。生地練りに指示してくれ』
 『はい、判りました』
 『それから、明日の給食パンの事だが、今言った調合で焼きあげてみてくれ。オリーブ油は適当に調整しろ。以上だ』
 『はい、判りました』
 『おう、セレストス、それから、向こう三日間の仕事の段取りを打ち合わせる。いいな。今日の業務が終わったら打ち合わせだ』
 箱作りの今日の仕事が終わりに向かっている。マクロスチーフが姿を見せた。
 『オロンテス隊長、報告します。今日の箱の出来上がりは60個です。残りの90個ですが、明日の午前中に仕上がります。今日の仕事はこれで終了とします。それからですが、箱の用材が少し残っています。その用材で20個くらい箱が作れますが、どのようにしましょうか?』
 『用材が残っている?箱20個が作れる。マクロスチーフ、それは、いいね。用材を使いきって、箱を作ってくれ。いいかな』
 『判りました。それで明日の段取りをします。今日はこれであがります。新艇建造現場の状況確認の必要がありますのでーー』
 『お~、そうか。ありがとう。箱を検収する』
 二人は広場へと向かった。出来あがった箱が広場の真ん中に積まれていた。オロンテスは、一同に声をかけた。
 『おう、諸君、ご苦労でした。今、焼きあがった堅パンを持ってくる、口にしてくれ』
 セレストスが堅パンを持って姿を見せる、熱々の堅パンを一同に配る。
 彼らが声をあげる。『熱い!』『ごちそうさんです』と言って、彼らが口に運ぶ風景がそこにあった。
 『では、オロンテス隊長、私たちはこれにてーー』
 彼らは広場を去っていった。
 広場に立って、箱の山を見つめるオロンテスには、仕事完了の情景が見えた。
 堅パンを焼き上げる、箱に詰める、蓋を釘づける、荷積み、荷おろし、堅パンの引き渡し、代価の受け取りまでの情景がはっきりと見えた。
 『よし!いいだろう』
 『少々、風があるな、この状態なら夜露の心配はないと思うが、だが、気にかかる』
 彼は、セレストスに声をかけた。