何をどうすればいいのか見当がつかない。この戸惑い、彼は足踏みした。腰をあげるオキテス、建造の場の一巡に歩を向けた。
『何とかなるであろう、答えは、向こうからすり寄ってくるさ』とたかをくくっている、そうはならないことをあとから知るのである。
思考が足踏みしている、顔をあげる、海を見る、やや強めの西風があおる海涛を眺めた。
小島を目指す舟艇が波を割っている、櫂操作のしぶきが風に舞っている、キドニアからの帰りであろうと思われた。
一陣の風がオキテスに吹いて通る、目を半眼にして黙考している、建造の場からは、作業の槌音が耳に届く、班長の指示する声が聞こえる、彼は建造の場へと目線を向けた。
建造の場に立ち働く者たち姿を目に入れる、そして、つぶやく。
『この風景が好きだな、限りなく好きだ!』
ドックスが作業の進捗を見ている、ひとつの建造の場を見終われば、次の建造の場へと移っていく、彼はしみじみ思う。
『ドックスがいる、あいつがいればこそ、この事業がうまく進んでいる』
彼は感慨を深めた。
『俺たちが組織体だから、これができている』
組織体が形成されている、その組織体の絆は?、考えが頭をかすめて通り過ぎていく。
『それについては、また、いつの日にか考えよう。今はーーー』であった。
彼は我に返る。
『今は、新艇建造の原価計算、これを集中して考えなくてはーーー』である。
原価計算総体について考えていたが、なんとなく違和感を覚える、原価計算のコア、核は何?であるか、思考のスタンスを変える。
立ち位置を変えて考える、原価計算の風景が変わって見える、見えていなかったものが見えてくる、が、瞬時にその姿が消える、考えが進まない。三歩進んで二歩さがるではない、三歩進んで三歩も四歩も後退するではないか。思考の足踏み、じれったい、イラつく、何とか抑える。
彼は手ごろな大きさの石を両手に持てるだけ拾い集めて、目の前に並べて考えた。
『これだけの者たちが、これだけの日数をかけて、これだけの仕事をする』
彼はなんとなくわかりかけてくる。
『うっ、うう~ん、そういうことか』
今でいう、インプット、プロセス、アウトプット、思考作業の手順が見えてきていた。
解決のいとくちが彼の目に見えてきた。
『こうして造るから、このように出来上がる』
彼は、物を造るプロセスの作業費目を見つけた。人が力を合わせて、日数を重ねて物を造る。
彼らが、一日にかける労働の価値がこれだけで、これだけの日数を重ねて、これだけの物を造る、その総和がこれだけである。
彼の思考がどうやらここまで来た。
『何とかなるであろう、答えは、向こうからすり寄ってくるさ』とたかをくくっている、そうはならないことをあとから知るのである。
思考が足踏みしている、顔をあげる、海を見る、やや強めの西風があおる海涛を眺めた。
小島を目指す舟艇が波を割っている、櫂操作のしぶきが風に舞っている、キドニアからの帰りであろうと思われた。
一陣の風がオキテスに吹いて通る、目を半眼にして黙考している、建造の場からは、作業の槌音が耳に届く、班長の指示する声が聞こえる、彼は建造の場へと目線を向けた。
建造の場に立ち働く者たち姿を目に入れる、そして、つぶやく。
『この風景が好きだな、限りなく好きだ!』
ドックスが作業の進捗を見ている、ひとつの建造の場を見終われば、次の建造の場へと移っていく、彼はしみじみ思う。
『ドックスがいる、あいつがいればこそ、この事業がうまく進んでいる』
彼は感慨を深めた。
『俺たちが組織体だから、これができている』
組織体が形成されている、その組織体の絆は?、考えが頭をかすめて通り過ぎていく。
『それについては、また、いつの日にか考えよう。今はーーー』であった。
彼は我に返る。
『今は、新艇建造の原価計算、これを集中して考えなくてはーーー』である。
原価計算総体について考えていたが、なんとなく違和感を覚える、原価計算のコア、核は何?であるか、思考のスタンスを変える。
立ち位置を変えて考える、原価計算の風景が変わって見える、見えていなかったものが見えてくる、が、瞬時にその姿が消える、考えが進まない。三歩進んで二歩さがるではない、三歩進んで三歩も四歩も後退するではないか。思考の足踏み、じれったい、イラつく、何とか抑える。
彼は手ごろな大きさの石を両手に持てるだけ拾い集めて、目の前に並べて考えた。
『これだけの者たちが、これだけの日数をかけて、これだけの仕事をする』
彼はなんとなくわかりかけてくる。
『うっ、うう~ん、そういうことか』
今でいう、インプット、プロセス、アウトプット、思考作業の手順が見えてきていた。
解決のいとくちが彼の目に見えてきた。
『こうして造るから、このように出来上がる』
彼は、物を造るプロセスの作業費目を見つけた。人が力を合わせて、日数を重ねて物を造る。
彼らが、一日にかける労働の価値がこれだけで、これだけの日数を重ねて、これだけの物を造る、その総和がこれだけである。
彼の思考がどうやらここまで来た。
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