『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  732

2016-03-08 05:35:59 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 オキテスは、原価計算の作業を明日アサイチから取り掛かることにして建造の場の巡回に腰をあげた。
 今日は終わった。
 宿舎に帰ったオキテスは、原価算出のことを考えながら寝についた。暗闇の中で目を見開いて考える、答えに達することなく熟睡に及んだ。

 ニューキドニアの浜に朝が来る。いつもながらの朝がそこにある。
 アヱネアスとイリオネスが何事かを話し合っている、パリヌルスとオキテスが顔を見せる、朝の挨拶が飛び交う。 
 『おはようございます』
 『おう、おはよう』
 父に手を引かれてともにいるユールスが朝の挨拶言葉をかけてくる。
 『今日はオロンテスがキドニアに行くのか』
 『はい、そうです』
 『皆、元気だな、いいことだ。そうでなくてはいかん!皆、元気で健康が何よりである。なあ~、軍団長!』
 アヱネアスが声をかける。
 『俺にとって、お前らの元気と健康。そして、一族全員の元気と健康、健康を損なうと健全であらねばならない心身の健全を損なう。皆を愛おしんでやることが、一族が大事を為していく、そのことをよく心せよだ!』
 『統領の垂訓ですね、心します。今、我々にとって大事の時です、脚下照顧、確かな一歩を前への時なのです』
 統領の言葉を聴いたイリオネスが答える、朝の一時の会同であった。
 オキテスがパリヌルスに声をかける。
 『おう、パリヌルス、今日のお前の用務は?』
 『俺の用務か、木札の集計が午前中の用務だ。して、お前は?』
 『俺は、原価計算に集中だ。手がすいたら寄ってくれ、建造の場にいる』
 『判った』
 彼らは浜における朝の会同を解いた。朝、浜において交わすひと言が今日一日を意義のあるものにする、彼らにとって大切な一時である。ポジテブな今日、ネガテブな今日を決める一時であった。
 朝めしを終えたパリヌルスは、イリオネスの宿舎の前で作業チームの一同がそろうのを待っている、イリオネスが宿舎から出てくる、パリヌルスに声をかける。
 『おう、パリヌルス、どうだ。木札の整理完了は予定通りか?』
 『はい、予定通り、午前中に完了します』
 『そうか、それは重畳!完了次第、報告してくれ。俺の午前中は、出たり入ったりだが、昼はここにいる』
 『判りました』
 作業チームの一同が顔をそろえる、パリヌルスは、一同と予定を打ち合わせて、作業に取り掛かる。
 『パリヌルス隊長、木札を入れる袋の不足が予想されます』
 『了解!一緒に来い!』
 パリヌルスは、作業者の一人を連れてパン工房へと向かった。