『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  747

2016-03-29 05:50:35 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『おう、オロンテス、ご苦労!どうであった?打ち合わせは、うまくいったか?木札の総枚数だが、考えていたより、かなり多い、総枚数が87000枚だ』
 『そうか、考えていたより多いか、担当が驚くな。まあ~、それだけ、仕事の成果をあげたということになる。いいことだ。彼らもなかなかやるな。打ち合わせはうまくいっている、大安心というところだ。木札の収める部屋は、前回と同じだ。明日は俺が船だまりで待つ』
 『よしっ!時間的なスケジュールは、前回と同じにしている。よろしく頼む』
 『了解した。パリヌルス、それからだが、会議で打ち合わせた調査に関する買い物の件だが、明日やろうと考えている。集散所内での状況は、俺なりにチエックした。綿密立案、的確実行、任せてくれるな』
 『おう、その件はお任せだ!よろしく頼む。あ~、それから、リュウクスがセレストスと打ち合わせたと思うが、明日は、昼めし携行でキドニアに行く』
 『その件、セレストスと打ち合わせて準備する』
 二人は明日の業務の打ち合わせを終えた。
 浜もはるかに望む小島も、今日を終える頃合いとなっていた。夕陽が茜に燃えていた。

 ニューキドニアの浜が朝となる、朝の光が満ちてくる、今日がスタートする。
 今日は集散所において新艇の価格決めをする話し合いの日である、出航するヘルメスの艇上には、オキテスの姿があった。
 軍船に集散所に運ぶ木札の積み込みが行われている。
 イリオネスが浜に立って諸事の成り行きを見ている。
 荷の積み込みを終えて浜を出ていく軍船を見送った。
 彼は新艇の建造の場を見まわる。
 巡視を終えて、イリオネスは、はしけを仕立てて小島に渡った。
 出迎えるアレテス。
 『おう、アレテス、ご苦労!忙しいか?』
 『はい、軍団長、ようこそ!え~え、今、キドニア行き昼便の準備の真っ最中です』
 『そうか、作業が終わるまで待つ。その間。小島を見て廻る』
 『そうですか、申し訳ありません』
 『気にするな。何事も業務優先だ』
 『ではーーー』と言ってアレテスはその場を去っていった。
 イリオネスは、久しぶりに身を運んだ小島の状況を見て廻った。
 『アレテスもなかなかやりおるな。重畳、重畳!』
 彼は、信じるスタッフの日々の働きに喜びを新たにした。
 イリオネスとアレテス、二人は、焼き討ちされ、炎上のトロイを脱出するとき、互いに力を合わせてアヱネアスの護衛をしてきたのである。今、思い起こすと、遠くに去った思い出であった。あのときのアレテスが、今、魚の事業を営んでいる、感無量であった。
 イリオネスは、今を真剣に考えた。
 戦場で干戈を交える戦いではなく、物を創出して、市場という戦場において戦っている自分を見つめた。