『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  734

2016-03-10 06:14:38 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 イリオネスの宿舎においての木札の整理、勘定の作業を終えたパリヌルスは、部下たちとともに浜に下った。
 彼は、7人の中の班長格のユリタスに声をかけた。
 『おう、ユリタス、午後の作業のことだが、明日、木札の輸送に使用する軍船の点検、整備をしてほしい。使用する軍船は二番船だ。海に出して点検と整備方を頼む。そして、リュウクスに、この旨を伝えて、漕ぎかたの手配するように言ってくれ。漕ぎかたの総人員は、俺とお前たちを加えて130人の体制でキドニアに向かう。昼めしを終えたら、その作業に取り掛かってくれ。以上だ。質問は?』
 『ありません。本日、午後の作業の件、了解しました。隊長はどちらに?』
 『あ~、俺か、新艇建造の場、オキテスのところにいる。連絡事項があればそちらへ頼む』
 『解りました』
 7人は用向きの場へと歩を向ける、パリヌルスはオキテスのところへと向かった。
 『おう、オキテス、仕事の進み具合はどうだ?』
 『どっちの仕事のことを聞いている?』
 『双方についてだ』
 『お前の仕事は終わったのか?』
 『おう、終わった。木札は大変な量だ。明日、キドニアに輸送して集散所へ搬入するわけだが、用船は、軍船を使用する』
 『そりゃそうだろう!一年有余の日にちをかけて蓄えた木札だ。並みの量ではないはずだ。どのくらいあった?』
 『おう、聞いて驚くなよ、63000枚余りだ』
 『そうか、それは大変な量だな。しかし、銀貨にすると、両の手に乗ってしまうのではないかな』
 『それは、そうであろうと考えられる。それはそれとして、昼飯を一緒に食べよう。俺の方の仕事はだな、建造部門は順調にいっている。原価計算の方は、ただいま、真っ最中といったところだ。昼めしは、おまえの分も用意している。ドックスも来る。一緒に食べる』
 『おう、いいだろう』
 『まあ~、腰を下ろせ』
 パリヌルスは、腰を下ろすのに適当な木片を引き寄せて腰を下ろした。
 『お~お、これはこれは、ご両人おそろいで』
 ドックスが姿を見せ、声をかけてくる。
 『おう、ドックス、ご苦労。建造の方、支障なく進んでいると聞いている。重畳といったところだな』
 『はい、作業も中盤に来て、支障なくといったところです。作業を慎重に進める時日をいただいている状態ですので、いい船に仕上がっています』
 『お~っ!そうか、大安心といったところか』
 『おう、パリヌルス、昼めしを始めよう』
 オキテスの掛け声で、三人の昼めしが始まった。