『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FRPOM TROY   第7章  築砦  737

2016-03-15 05:55:16 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 第2項の数値を算出するのに長い時間がかかった。今様時間で1時間余りも要した。(現代の小学生で1分もあればできる計算である)次の第3項は、オキテスが気付いたガリダ方より派遣されている5人の者たちの原価を基礎数値を己の判断で決めて算出した。これにも時間を費やした。
 木板に費目と算出した数値を書き込んだ。
 『おう、できた!時間がかかったな』
 彼は独りごちて空を仰いだ。太陽の高さを見て時間の頃合いを測った。
 『よし!行こうか』
 オキテスは腰をあげる、算出数字を書き込んだ木板と予備の木板1枚を小脇に抱える、歩み始める、イリオネスの宿舎へと歩を運んだ。
 午後遅くの木漏れ日の落ちる林間の道をぬけて行く、イリオネスの宿舎の戸口の前に立つ、声をかける、返る言葉を待つ、答えがない、留守らしい、彼は待つことにした。
 宿舎前の草地に腰をおろす、木板を見る、書き込んだ数値を確かめる、風が運んでくる話声を耳にする、アヱネアスとイリオネス、二人の交わす言葉が聞こえてくる、二人の姿を見とめる、オキテスは立ちあがった。
 イリオネスが宿舎の前に立つオキテスの姿を見とめる、彼の歩速が早くなる、オキテスに近づいて声をかけた。
 『おう、オキテス、どうした?』
 『数字が出ました。軍団長に数字を入れてもらい、合算すれば原価の数字が出ます』
 『おう、そうか。丁度、いいタイミングだ、統領もおられる、やろう!中へ入れ!』
 『はい!』
 『統領、新艇の原価が出ます!』
 『そうか、それが解れば、これからを考えられる。オキテス、大変な作業だったろう』
 『いえ、そのようなことはありません』
 オキテスは答えて、第2項及び第3項の数値を書き入れた木板をイリオネスに手渡した。
 『軍団長、第1項に新艇建造用材の価格を書き入れて合算してください。第3項は、製材担当要員としているガリダ方よりの派遣の者たち5人分です。自己判断で基礎数値を決めて算出した数値です』
 『おう、そうか。お前、よく気付いてくれたな、お前が気付いてくれなかったら、抜け落として計算するところだったのか、ありがとう。余分の木板を持っているか?』
 『1枚だけですが、持ってきています』
 『それをくれ、計算に使う』
 オキテスは、イリオネスに木板を木炭とともに手渡した。