西の空は晴れている

絶望の向こうに希望がある............、はず!

犬は待っているだけ

2012-05-03 06:37:00 | 映画

昨日、嫁は仕事、息子は学校で、家には自分と愛犬のみ。こんな日は、この映画がぴったり。

 【星守る犬】 。前から観たかったのだ。

いろんなところで好評価で、今更、あらすじなんて書く必要はないのだが、

-旭川のキャンプ場近くで、死後半年たつ男の死体と、愛犬らしき死体が発見される。愛犬は、最近まで生きていたようで、半年間、男の死体の側に居たことが伺える。男の免許証も、車のナンバープレートも無く、身元もわからない。親族をはやくに亡くし、引きこもりがちに生きてきた役所勤務の京介は、男の人生に興味を覚え、男の持ち物を手掛かりに、男の辿った旅を探しに出る。-

主人公の男(西田敏行さん)も、旅の途中で出会う人達も、大概、うまくいっていない者ばかり。ただ、今のご時世、殆ど人は、この映画の登場人物と重なる部分があるのではないだろうか。(僕は、いまどき経済的に満たされている者は悪者、心の悩みが無い者はバカだと思っている。)それでも、みんな一所懸命生きて、結果的には助け合っている、そんな映画。

この映画に出てくるハッピーという名の犬がとてもいい。いつも笑っている。それだけに、最後の亡くなるシーンは、犬を飼っている人間にとっては、見ていてとてもとても辛くなる。犬の映画では、犬の忠誠心がクローズアップされがちだが、実際、人間が想像する(期待する)ところの忠誠心を、犬が持っているとは思わない。犬は待っているだけ。犬は変わらないだけ。人間が変わっていくから、不幸なことになっていく。子供にせがまれて飼いだした犬の面倒を数年後にはお父さんがみているというのは、何処の家庭にでもあること。その頃には、奥さんも子供も心が離れ、お父さんの話相手は犬だけになっている。

映画ほど極端ではないが、平日、仕事で帰りの遅い僕は、夕ご飯を一人で食べて、愛犬を撫でながらビールを飲み、愛犬に会社の愚痴をこぼす。普通に僕の日常である。5年前に、息子が犬を飼いたいと言い出した時、犬の面倒は、最初から自分でみるつもりだった。子供に出来るわけが無い。実際、5年間、朝の散歩は僕、夕方の散歩は嫁の役割になっている。僕は自他共に対して甘いので、犬に対してはすこぶる甘い。”待て”と”お座り”以外は、何も仕込んでいない。それでも、愛犬は上下関係は人間以上に飲み込んでいる

最後の方で、京介が『お父さんは、幸せな旅をしたんだよ。』みたいなことを有希に言う。僕もそう思う。愛犬と数人の心ある人に触れあえただけで十分に幸せだと思う。そもそも、孤独死というものが何故、悪く言われるのだろう。孤独という表現に悪意を感じる。僕が死ぬ時は、自分が関わった一人でも多くの人に自分の事を忘れて貰いたいと思っている。死ぬ時に名前なんていらないし、他人の評価なんて、もっとどうでもいい。死んだ時ぐらい、世間の常識なんていうつまらないものから解放されたいものだ。

人間の心なんて変わっていくのだ。犬は変わらない。待っているだけ。

 



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