イチイという名の木を御存知だろうか?大昔、貴族の持つ「笏(しゃく)」を飛騨の位山(くらいやま)に生息するこの木で作り、朝廷から官位の「一位」を賜ったことから 「一位」の名前になったそうだ。昔から現代に至るまで、天皇が即位する時に献上する笏は、位山のイチイを用いる。位山は、飛騨一ノ宮・水無神社の御神体でもある。その位山に登ってきました。
まずは、水無神社へ。去年の夏に寄った時に、とても良い感じがしましたので、再訪。今日は、何かの祭礼だったのでしょうか。まっ、朝から晴天に恵まれて清々しい雰囲気。
そこから位山へ。位山と言えば、超古代文明、竹内文書、天孫降臨、日本のピラミッド、両面宿儺等々、神話と伝説に満ち満ちた山です。平安時代には和歌でもよく詠まれており、清少納言も枕草子で位山を名山の一つとしていることから、京にまで知れる何らかの理由があったのでしょう。
位山については、多数の方がブログ等に書いていらっしゃるが、登山口までの道につていはあまり触れられていない。(車での侵入はご遠慮下さい的な立て看板があるから触れたくないのか?)5kmほど、ガタガタ、うねうねの道が続き、ちょっと萎える。漸く、登山口へ付いて見上げると、一瞬、”ん?サクラ・・・。”と思ってしまった。良く見ると、山の木々に雪が積もっているではないか。五月な風景の中、変わった絵図です。
さあ、登山口を昇り始めると見えてきました、巨石群。これ目的で、来たんですよ。
人工的に手を加えられたんじゃないかとされる巨石群。岩の割れ目を覗いたり、触ってみたりしたのだが、自然的なものか人工的なものなのかはよく解りません。
俺は、どっちかと言うと有史以前の文明を信じている方なんだけど、巨石にあえて神話的な名前を付けると、逆に陳腐になってしまう様な・・・。
位山は、日本一のパワースポットとも言われている。パワースポットとか、そういうのは解らんけども、1、2時間、山の中をうろついていると、山は、岩も木も土も風も、全体で意志を持った一つの生き物だなっていうのはひしひしと感じるよねえ。それを神と言うのかもしれないけども、まあ、人間の願望に対して云々というものとも全く違うように思う。
ところで、一応1529mの山なので、ヤッパ、それなりの装備で行くべきでした。雪が積もっている所もあり、ぬかるんでいる所も多々。空は、晴天なのに、ダスト状の雪が降ったり、大粒の雪がザーっと来たり、変な天気でした。途中、完全な登山装備のカップルと出くわしたんだけど、向こうは俺を見てびっくり!そりゃ、こんな山の中を、ブレザーにスニーカー、コンビニの透明傘を持った40オヤジが一人で歩いたいたら、ぎょっとするでしょ(普通に俺の通勤時の恰好だからね)。道を譲ってあげたんだけど、”あっ、あっ、ありがとうございます。”って顔が引きつっていた。基地外と思われたんやろか?
イチイの木に細かい雪が積もって、バックは青い空。変人オヤジの一人旅。楽しかったわ。途中、とても良い立て看板があったのです。
”ひとりで歩くことを教えるのが生きた学問です”
登山者向けの励ましなんでしょうけど、今回の登山で、これが一番の収穫かな。正直なところ、今直ぐ、逃げ出したい様な悩みを幾つか抱えているのだけど、この歳で平々凡々っていうのも、生まれて来た意味が無いっつーか、男はロンリー・ファイトっしょ。