西の空は晴れている

絶望の向こうに希望がある............、はず!

国家の品格◇藤原正彦

2006-10-08 09:07:37 | 
数ヶ月前から書店で目にして、気にはなっていたのだが、
先日の出張の際、空港の本屋さんで購入。

内容に付いては、ほぼ満足というか、今の言葉でいう”激しく同意”。

欧米型の理論至上主義では、学校でも企業でも歪がどんどん大きくなるばかりで
理屈と現実が合っていない昨今。
そもそも『自由』と『平等』なんて両立するはずが無い。
経済を自由化すれば、金持ちと貧乏人との格差が大きくなり不平等になるんだから。
”機会均等の平等”なんて詭弁にすぎず、『平等』の化身:アメリカでは、
2004年時点で、企業経営者の平均年収が13億円で、一般労働者の平均年収が300万円。
貧困の為、医療を受けられない人が3500万人。
そら~、ハンバーガーでも喰わなきゃ、生活はできんわなー。
すばらしいね。”自由の国”、アメリカ。

”原理、原則”などと、声高に叫んでみても、
『どうして”いじめ”がいけないか?』
『なぜ、人を殺しては駄目なのか?』
ということについて、子供が心底、理解できるように説明できる大人が何人いるだろうか。

”『理論』の前には必ず『出発点』があって、
それを間違えると『理論』が正しければ正しいほど、結果は悪いものなる”
と数学者である著者は言う。
『出発点』を決めるのは『文化』や『教育』であり、
短時間で結果(今の世の中じゃ”カネ”と混同されがちだけどな。)は出せないから難しい。
更に、『文化』や『教育』を支えるのは、『伝統』や『風習』。

先の”いじめ”についても、日本人には惻隠の情というすばらしい感性があったはず。
”武士は喰わねど高楊枝”というと、今じゃ”空元気”のイメージなのかもしれないけど、
本来は”金には使われない”、”卑怯なことはしない”みたな意味で
江戸時代とはいわず、つい数10年前までの日本では、
”金”以外の価値観があったのだ。
まあ、身分に限らず、
弱いモンいじめするやつ、思いやりのないやつは糞って文化。
今だって、学校の先生は同じようなことを言われるけど、
現実の世の中は弱いモンいじめしたやつ = 勝ち組 でしょ。

椎名誠(作家)さんとかも、言われてますね。
-お金の使い方に価値観を求めなきゃいけないのに、
お金そのもののに価値観を求めているから、おかしなことになっている。
日本の子供達は危ないですね。非常に過保護に育っている。
精神も体も弱く、世界子ども仕事選手権みたいなものがあったら
一番、最初に負けるのは日本の子どもでしょう。
勉強していればいいという育ち方は相当ヤバイですよ。-

『国家の品格』という本の内容にうなずくことしきりなんですが、
自分も生き方を見直さないと、子どもたちに未来はないな~。