<毎日新聞より転載>
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「ウィルコム 会社更生法適用申請 負債総額は2060億円」
2月18日18時24分配信 毎日新聞
経営再建中のPHS事業者、ウィルコム(本社・東京)は18日、自力再建を断念し、東京地裁に会社更生法の適用を申請した。負債総額は09年末時点で約2060億円。ウィルコムは同日、官民共同出資の企業再生支援機構に正式に支援要請し、来週中に支援が決まる見通しだ。ウィルコムは約430万人が利用するPHS事業などを継続しながら早期の再建を目指す。
民間信用調査会社によると、通信事業者の破綻(はたん)としては、05年の平成電電(負債総額1200億円)を上回り、過去最大規模となった。
ウィルコムは、ソフトバンク、国内投資ファンドのアドバンテッジパートナーズなどから出資を受ける方向で交渉を進めており、支援機構の支援を前提とした事前調整型の法的整理になる見通し。支援機構の支援は日本航空に続き2例目。
ウィルコムは94年設立の旧DDIポケットが前身の国内唯一のPHS事業者。携帯電話通話料の低下で顧客離れが起き、07年末から加入者が減少していた。09年3月期連結決算は66億円の経常黒字を確保したものの、過去の設備投資などで同年3月末時点で1285億円の有利子負債を抱え、経営の重荷になっていた。
同年9月には私的整理の一つである事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)を申請。取引銀行と再建策を協議してきたが、債権放棄の割合を巡って調整が難航したため、より透明性の高い法的整理で再建を図ることにした。ADRは18日で打ち切られた。
18日、都内で会見した久保田幸雄社長は「PHSが優位だった点が携帯電話でもカバーできるようになった」と、業績悪化の理由を説明した。さらに、破綻の責任を取って「全取締役が辞職願を提出した」と報告した。ただし久保田社長は管財人として会社に残り、更生計画の策定に関与する。【中井正裕】
<転載終わり>
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ウィルコム社が会社更生法の適用を申請したと、今日の読売新聞で知りました。昨日も元ウィルコムの社員と別件で打ち合わせをしていましたが、会社更生法が適用されるらしいと言ってました。現行の420万回線のPHS事業と、次世代PHS事業の2社に分割されるようだと言ってましたが、今日の新聞を読んで、やはり2社に分割されると書いてありました。
2006年からウィルコム社と仕事でお付き合いをさせていただいてましたが、まさかこんな最期を迎えるとは思ってもみませんでした。当時はAirEdge(エアーエッジ)というPHSカードが全盛で、私もノートPCに装着して、外出先からデータ通信を行っていました。外出先からLotus Notesメールを見たり、返信したりできましたし、社内のWebシステムにアクセスすることもできましたので、売上情報や顧客情報も外出先から照会していました。とても便利でした。
更に、ウィルコム社では2006年にW-ZERO3というWindowsMobileというOSを搭載したスマートフォンと呼ばれる端末をリリースしました。これは非常に画期的な端末で、業界でも高く評価されました。端末のハードはシャープが作りましたが、ザウルスをモデルに作ったようです。
この端末は、PHSで電話とデータ通信が可能で、それにノートパソコンの機能も付いた当時は魔法のような端末でした。携帯ゲーム機のような形状ですので、電車の中でも使えます。PHS通信は電波が微弱なため病院でも医師や看護師が使用していますから、電車内のシルバーシート付近で使うこともできます。
しかも、WordやExcel、PowerPointなども使えますので、メールに添付されているExcelシートなども見ることも、修正することも可能という優れものです。
私も2007年には初代W-ZERO3を購入し、便利に使っていました。その後2008年にAdvanst esという更にコンパクトでスタイリッシュな後継がリリースされたため、そちらに機種変更しました。今でもそのW-ZERO3 Advanced esは使用していますが、ウィルコム社との取引が少なくなるにつれて、あまりメールも電話も来なくなってしまいました。そろそろ解約かななどど思っていたころです。
ウィルコム社には大変お世話になり、ウィルコムフェアを始め年に2、3回イベントに出展させていただいていました。普通の企業は有償でイベントにブースを出展するのですが、ウィルコムさんにはいつも無償で出展させていただいていました。なんて太っ腹なんだろうと
思ってましたが、顛末が会社更生法とは...
当時の喜久川(きくがわ)社長とは、池尻大橋の「つくしの子」という日本酒専門店でたまたま飲んだこともありました。松平健に似ている方で、社員のみなさんは「マツケン社長」と云って、親しんでました(もちろん本人目の前では言いませんが。まだ43歳くらいの若い社長でした)。
ウィルコム社の社員の方とも随分と懇意にさせていただきまして、今までに100回以上は飲みにいきました。本社が虎ノ門なので、だいたい虎ノ門か新橋が多かったですが、新宿、渋谷、田町にもよく行きました。今でも3ヶ月に1回くらいは社員の方と飲んでますが、頻度はかなり減りました。
ウィルコム社の前身のDDIポケットの時代からの社員の方も多くいて、懇意にしていただきました。東北6県はDDIポケット社が強かったので、ウィルコム社になってからも回線数は他の地域よりも多かったそうです。仙台支社をはじめ山形営業所や福島営業所にも何度も行きました。ウィルコムの社員の方と一緒に、ユーザに訪問し、デモなどを何度もやったことを昨日のことのように思い出します。
結局のところ、ソフトバンク社がソフトバンク同士は通話・メール無料のサービスを始めてから、ウィルコム社の回線をソフトバンクに乗り換えする人が多くなったように思います。また、法人の内線としてのウィルコムPHSも、ソフトバンクに乗り換える法人が多くありました。ソフトバンク社が日本テレコムを買収することによって、ソフトバンクテレコムの法人の固定電話と、ソフトバンクモバイルとの通話が無料になってしまったことも、ウィルコム社衰退の大きな原因になったと思います。
固定電話とPHSが無料というのは大きなアドバンテージだったのですが、ソフトバンク社も同じ無料サービスを始めたので、そちらに大きく流れたということです。
日本の独自技術であるPHSの最期の牙城であったウィルコム社の命運も尽きました。これで、一つの区切りとなったように思います。
ただ、そもそもウィルコム社の株をアメリカのファンドのカーライルが60%取得した段階で、ウィルコム自体は外資になったわけです。そういう意味では、その時点で日本独自の技術もアメリカに移転したということになります。
今回ウィルコム社が会社更生法の適用を申請した背景は、資金の手当てが出来なかったからです。本来ならば、筆頭株主であるカーライルが資金を手当てするはずですが、2007年のサブプライム、2008年のリーマンの影響で、カーライル自体がガタガタになってしまったため、手当てができなかったことが主な原因だと思います。
そのカーライルはブッシュ一族のファンドです。このような石屋系企業も資金の面から根本的に痛手を負っているようです。
私の会社にとっては、ウィルコム社が元気で、ドンドン仕事をいただくことが一番ありがたいことなのですが、石屋の力がこれからドンドン弱くなっていくのが歴史の流れですから、仕方ありません。これも良い世の中に変わるための、大きな変革の一つですので、歓迎されるべきことかも知れません。
ウィルコム社の社員の方は、次の就職先を決めるにもなかなか簡単にはいかずご苦労されると思いますが、私の少ないコネも今後はご紹介したいと思います。ソフトバンク社に行く人、Googleに行く人、別の業界に行く人など様々かと思いますが、それを良いチャンスに変えることもできますので、腐らずにやった方が自分のためだと思います。
私もリストラの憂き目に遭ったことがありますが、それがあったからこそ今があると思っています。今ではむしろ、リストラに感謝さえしています。(負け惜しみでなく、本当に 笑)ピンチとチャンスは同時にやって来ると、今でこそ解りますが、その当時はツイてないなぁと普通に思ってました。でも、本当は最高にツイていたんですよ。正に人生のターニングポイントでした!
意識の変革というところが、キーです。
●毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100218-00000027-maip-bus_all
●私が使っているウィルコム W-ZERO3 Advanced es
http://www.willcom-inc.com/ja/lineup/ws/011sh/