メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

アン・タイラー「ブリージング・レッスン」

2007-03-08 21:29:08 | 本と雑誌
アン・タイラー「ブリージング・レッスン」(Anne Tyler  Breathing Lessons 1988、訳:中野恵津子、文春文庫(1998))
 
1956年にボルティモアの高校を卒業(ということは1937年あたりの生まれ?)の男女たち、そのうちの一人の女性マギーが48歳のとき(1985頃)、同級生の夫が死んだとの知らせを受けて2歳ほど上の夫と車で少し離れたところに出かける。そしてそこで同級生達に会い、喪主の友人の結婚式が回想され、自分の結婚、子供の結婚・離婚、孫のことなどが、極めて詳細に回想される。この回想が織り込まれていくこの一日の行き帰りには、車のトラブルがいくつか、また夫婦の喧嘩、息子と別れた嫁と孫のところに寄ってつれて帰ろうとするなど、盛りだくさんある。
 
これだけのものごと、そして回想、その詳細となると、一日の話のはずはないのだが。
そしてディテイルを書くのが作者は得意だから、一つ一つの場面は目の前に展開されるように鮮やかだけれど、この主人公マギーのしつこさ、おせっかい、性懲りなさ、読んでいていらいらする。そしてこの頭のよい作者、こういうことも理解したうえで丁寧に書いていますよ、という顔が見えてしまうのだ。
これがアメリカの庶民の実像だよといわれればそれまでだが、読んだ後には多少カタルシスが欲しい。
ピュリッツァー賞を取ったらしいが、同じ著者の「ここがホームシック・レストラン」、「歳月のはしご」、「結婚のアマチュア」と比べてこの主人公が一番苦手だ。その同じところが、もしかしたら、アメリカの人たちには何か感じるものなのだろう。
  
題名のブリージング・レッスン、直接これを思わせる場面に気づかず不明。レッスンが複数になっているのは授業、日課? もしかしたら水泳とくにクロールの息継ぎ、その練習を、人生の何かにたとえているのかな。

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