メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

エド・ウッド

2007-03-04 21:47:50 | 映画
「エド・ウッド」(Ed Wood、1994、米、124分)
監督: ティム・バートン、脚本: スコット・アレクサンダー、ラリー・カラゼウスキー
ジョニー・デップ、マーティン・ランドー、サラ・ジェシカ・パーカー、パトリシア・アークエット、ビル・マーレイ、ジョージ・スティール、ジュリエット・ランドー
 
1950年代に実在したらしい映画監督エド・ウッドの伝記映画仕立てのもの。結果としてB級映画作家であり、それも後世評価されるよなものを作ったわけでもないようで、そういう映画作りの細かいつたなさに注目させないためだろうか、モノクロである。
 
ただ感心してしまうのだ。映画を作りたいから、ちょっとアイデアが出来るともう資金作りに売り込む、少し撮影してから金が尽きるとそこまでのものを見せてまた資金を集めたり、俳優に声をかけたりする。なんともいい加減なプロデュースというのは簡単だが、この勢い、いい意味での志にティム・バートンも感じたのだろう。彼の「ニュー・シネマ・パラダイス」なのだ。
 
主人公が往年のドラキュラ俳優ベラ・ルゴシに目をつけたのは偶然だが、次第に彼に入れ込みだし、この麻薬中毒の落魄者に添いとげる。ベラ・ルゴシを演ずるマーティン・ランドーは、どぎついメイクだが文字どおり怪演で、オスカー(助演男優賞)にふさわしい。
 
女装癖があった主人公を演じるジョニー・デップ、モノクロだからか、この時期そうだったのか、頬など今のようにちょっとこけた風もなく、山っ気たっぷりの男を気持ちよく演じている。この人のいいところは、斜に構えたいう感じをいつも見せるわけではないことだ。
 
終盤エドが開き直るきっかけがオーソン・ウェルズに偶然会い、話をきいたというのは、そっくり俳優を使ったこととともに、なにか「反則」(それはないだろう)であるが、どうなんだろう。
 
ベラの運命がいよいよというところで使われる「白鳥の湖」はなかなかぴったり。
 
なおこの映画の予告編を劇場で見た記憶があるけれど、史上最低の映画監督というキャッチ・コピーばかりが頭に残っている。そう言われたのは事実らしいが、出来るだけ見てもらうという目的からすれば、あの予告編はないだろう。

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