グノー: 歌劇 「ロメオとジュリエット」
指揮:プラシド・ドミンゴ、演出:ギイ・ヨーステン
アンナ・ネトレプコ(ジュリエット)、ロベルト・アラーニャ(ロメオ)、ロバート・ロイド(神父)、チャールス・テイラー(キャプレット)、マーク・ヘラ―(ティバルト)、ネイサン・ガン(メルキューティオ)、イザベル・レオナード(ロメオの小姓ステファーノ)
2007年12月15日 ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場 2012年1月 WOWOWで放送
人気はあるようだが聴くのも見るのも初めてのオペラ。
「ロメオとジュリエット」はシェイクスピアだから人気があるのだろうが、よく考えてみると若い二人が表面的に一目ぼれし、いがみ合う両家の反対から結ばれるのは困難となるが、情熱にほだされた神父が案じた一計で「間違いの悲劇」となる、しかもそれがきわめて短い時間内で進行する、というものである。
これで演劇として感銘をうけるのはほとんど不可能である。だから、オペラ、ミュージカル、バレエなどで演者の魅力をたっぷり見せることにむしろ力点がいった形が好まれるのだろう。
このグノーのオペラも、聴き終わって耳について離れないというほどのメロディーの魅力には欠けるけれども、主役二人の美声と、二人を中心にした場面に酔いしれて一晩楽しむには好適といえる。メトロポリタンならなおさらである。決してここの悪口を言っているのではない。
そしてここでの中心はジュリエットで、ほとんど出ずっぱり、歌う時間もながく、可憐なヒロインにしてはイゾルデ歌手なみ(?)と思ってしまうパワーを要求される。ネトレプコはそれに十分こたえているし、長い黒髪の容姿も似合っている。
ロメオのアラーニャは歌唱ならいいけれども、そしてテノールとしては外見は二枚目であるけれど、突っ走るロメオとはちょっとイメージがちがう。
ロメオの小姓ステファーノとして一場面の冒頭を担うイザベル・レオナードは、キュートな容姿、シャープな歌唱と動きで人気がありそうだ。いずれケルビーノなんかやるのだろうか?
指揮はドミンゴ、歌う側で出たこともあるそうで、こういう作品には合っているのだろう。今回で評価はできないが、出演者をうまくまとめていく能力はありそうだ。
驚いたのは舞台装置、二人が内密に結ばれる新婚のベッドが宙吊りで出てくる。客席から拍手というのもちょっと恥ずかしいが。
この上で、二人がラブシーンを演じながらかなり長い二重唱を歌う。ライブ・ビューイングでは客席と異なり天井からのカメラで見ることが出来る。