メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

ジュリエット・ビノシュ in ラヴァーズ・ダイアリー

2013-08-16 22:14:24 | 映画

ジュリエット・ビノシュ in ラヴァーズ・ダイアリー (ELLES、2011仏・独・ポーランド、97分)

監督:マルゴスカ・シュモウスカ

ジュリエット・ビノシュ、アナイス・ドゥムースティエ、ヨアンナ・クーリグ、ルイ=ド・ドゥ・ランクザン

 

それほどドラマチックでもなく、結論もはっきりしていない、それでも映画としてまずまずという、フランス映画にはよくあるパターン。ビノシュを主演にしているから、多少とも注目はされる。

 

主人公アンヌは雑誌ELLEの記者、今は日本的にいうと援助交際をしている女子学生二人を追っかけ記事にしようとしている。彼女には夫と、反抗期とまだ幼い二人の男の子がいる。

 

女子学生にたいして最初は余裕をもって取材していたが、それまでとは違う男と女の関係に接するうち、自らの「仮面の夫婦」的な面が気になってきて、かなり危ないやり取りにもなるが、最後はあまり激烈なことにはならず、本質的な解決などないわけだが、なんとか少しだけ折り合いをつけて、生きていく、というもの。

 

前述したように、こういうフランス映画は、ちょっと見るのに悪くない。必見というわけではないけれど。

 

ビノシュは、ここでは抑え気味の演技だろうか。だから、見ている方が「でも、、、」と想像すればいい、という枠組みになっていると思う。

 

最後に夫が仕事で付き合いがある人たちを家に呼び、主人公は気の進まない中で料理をつくり相手をする。そのうちに幻覚で、客の人たち(数も増えている)は違う人たちで、しかも映画の観客は「えっ、どうしてこの人たちがここに?」というように見えるのだが、全員笑顔で機嫌よくあの「枯葉」を歌う。もちろんフランス語だからジャック・プレヴェールの歌詞だが、この場面であの歌詞は絶妙である。改めていい歌だと思う。

 

またキッチンにある大きな冷蔵庫、いくつもある開け閉めの場面で必ずといっていいほどうまく閉まらない。それは中にたくさんのものをいれている、入れ方がいいかげん、などからなのだろうが、まさにこの家庭、人間関係を示している、と受け取れる。ここはうまい。

 


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