「つぐない」(Atonement、2007年、英、123分)
監督:ジョー・ライト、原作:イアン・マキューアン『贖罪」
キーラ・ナイトレイ、ジェームズ・マカヴォイ、シアーシャ・ローナン、ロモーラ・ガライ、ヴァネッサ・レッドグレーヴ
1935年、まだ幼い文学少女が、嫉妬からついた嘘で姉の恋人に罪の嫌疑をかけることになり、その恋人は罪を晴らすことが出来ず刑務所へ、そして刑期削減のため欧州戦線に志願して出て行く。
恋人達が再会しようと苦闘するさま、妹の悔悟とつぐないへの道のストーリーである。
この演出では、映画でないと出来ない仕掛けをふんだん使う。すなわち同じ場面を、当事者、妹からそれぞれどう見えるか、カメラ、音声、そして認識可能な前後の違い、などを、あっそうだったのかと見るものに理解させていく。そのカット割りとテンポはうまい。
マンガや劇画の影響を思わせるが、これもあまり何回も出てくると、大きなサイクルでまだるっこしさが出てしまうのはいたしかたないところである。
画面構成としては、戦争に行ってからの、ダンケルク?、そして退却、これらはこんなに長く、戦争の多様な面を見せる必要がこのストーリーであっただろうか。半分にしてもよかったと思う。
贖罪がどうなったか、それはそう簡単ではないはずで、そういう意味で最後の方にこういう結婚式を持ってきたのはうまい、というかずるい。
シアーシャ・ローナン、ロモーラ・ガライ、ヴァネッサ・レッドグレーヴの3人がそれぞれ13歳、成人、老齢の妹役を演じている。特にシアーシャ・ローナンは印象が強く、オスカー助演女優賞ノミネートは理解できる。
ただヴァネッサ・レッドグレーヴの場面は必要だっただろうか。長じて作家となり、この物語は彼女が書いたものということがわかる仕掛けであるけれども、そうすると全体が彼女にとっての贖罪として強引にまとめられてしまう。しかし、こういうことになった以上、姉とその恋人にとってもこれは重く、解き難い問題なのだ。
このようにいくつも問題がありながら、それでもこの映画は記憶に残るだろう。それは取り上げたテーマが、形を変えてよくあるものであり、その悔恨は、キリスト教徒でなくても、つまり贖罪という言葉とは別に、消えずに残るものだからである。
姉と恋人役のキーラ・ナイトレイ、ジェームズ・マカヴォイは風貌も含め、役柄に合っている。
音楽は全体にうまくフィットしており、効果的に使われているピアノは、クレジットによると、ジャン=イヴ・ティボーデが弾いているようだ。
監督:ジョー・ライト、原作:イアン・マキューアン『贖罪」
キーラ・ナイトレイ、ジェームズ・マカヴォイ、シアーシャ・ローナン、ロモーラ・ガライ、ヴァネッサ・レッドグレーヴ
1935年、まだ幼い文学少女が、嫉妬からついた嘘で姉の恋人に罪の嫌疑をかけることになり、その恋人は罪を晴らすことが出来ず刑務所へ、そして刑期削減のため欧州戦線に志願して出て行く。
恋人達が再会しようと苦闘するさま、妹の悔悟とつぐないへの道のストーリーである。
この演出では、映画でないと出来ない仕掛けをふんだん使う。すなわち同じ場面を、当事者、妹からそれぞれどう見えるか、カメラ、音声、そして認識可能な前後の違い、などを、あっそうだったのかと見るものに理解させていく。そのカット割りとテンポはうまい。
マンガや劇画の影響を思わせるが、これもあまり何回も出てくると、大きなサイクルでまだるっこしさが出てしまうのはいたしかたないところである。
画面構成としては、戦争に行ってからの、ダンケルク?、そして退却、これらはこんなに長く、戦争の多様な面を見せる必要がこのストーリーであっただろうか。半分にしてもよかったと思う。
贖罪がどうなったか、それはそう簡単ではないはずで、そういう意味で最後の方にこういう結婚式を持ってきたのはうまい、というかずるい。
シアーシャ・ローナン、ロモーラ・ガライ、ヴァネッサ・レッドグレーヴの3人がそれぞれ13歳、成人、老齢の妹役を演じている。特にシアーシャ・ローナンは印象が強く、オスカー助演女優賞ノミネートは理解できる。
ただヴァネッサ・レッドグレーヴの場面は必要だっただろうか。長じて作家となり、この物語は彼女が書いたものということがわかる仕掛けであるけれども、そうすると全体が彼女にとっての贖罪として強引にまとめられてしまう。しかし、こういうことになった以上、姉とその恋人にとってもこれは重く、解き難い問題なのだ。
このようにいくつも問題がありながら、それでもこの映画は記憶に残るだろう。それは取り上げたテーマが、形を変えてよくあるものであり、その悔恨は、キリスト教徒でなくても、つまり贖罪という言葉とは別に、消えずに残るものだからである。
姉と恋人役のキーラ・ナイトレイ、ジェームズ・マカヴォイは風貌も含め、役柄に合っている。
音楽は全体にうまくフィットしており、効果的に使われているピアノは、クレジットによると、ジャン=イヴ・ティボーデが弾いているようだ。