「高橋誠一郎浮世絵コレクション名品展」(慶應義塾創立150年記念 夢と追憶の江戸)
三井記念美術館(9月19日~11月23日)
高橋誠一郎(1884-1982)は慶應義塾大学で長らく経済学の教授をつとめていて、名前くらいは知っていたが、これほどの浮世絵コレクションを持っていたというのは驚きである。調べてみると新潟の廻船問屋の出ということだから、裕福ではあったのだろうが、この人が生きた時代がこのようなことが出来る最後だったかも知れない。
先週のNHK日曜美術館の後半で紹介されたように、浮世絵の成り立ちから、その多様な対象、様式など、バランスよく目配りされている。さらに保存状態がよいものが多く、また今回の展示はガラス越しに水平から少し上に向いた状態が多く、見やすい。
春信、歌麿、写楽、北斎、広重はやはり格別だ。前の三人については、顔や着物が他の人とは一目でわかるほどちがう。そのほか幕末の歌川一門や月岡芳年など、その後のわが国の挿絵、マンガ、イラストなどにつらなる「かぶきもの」ぶりが見えてくるのも面白い。
なお、このコレクションは慶應義塾大学に移譲されており、大学図書館(メディセンター)では、このデジタルアーカイブを作っている。