ブラームス:ピアノ協奏曲第1番(作品15)、第2番(作品83)
ピアノ:エレーヌ・グリモー
指揮:アンドリス・ネルソンズ バイエルン放送交響楽団(第1番)、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(第2番)
DG 2012年の録音、第1番はライヴ
この2曲をあわせていきなりリリースというのはあまりないと思う。それだけ大変な仕事なのだが、グリモーにとってはデビューのころからラフマニノフと並んで思い入れの強いブラームス、それにかける意気込みと今になっての自信のあらわれなのだろう。
第1番は1997年のクルト・ザンデルリンク指揮ベルリン・シュターツカペレとの録音があり、第2番はこのところよく弾いているようで、デーヴィッド・ジンマン指揮NHK交響楽団との演奏は4月にTVで放送された。
このCDの演奏、第2番はその印象と共通しており、それをさらに洗練したというべきだろう。立派な曲の第4楽章、明るさ、軽快感は理想どおりでうれしい。第1番も、この若々しくかぐわしい、しかも大家を目指したというようなスケール感のある曲を、たっぷりと味わうことができる。
4月にも書いたけれど、ここまでオーケストラに負けないでしかも溶け合った演奏を十分に楽しませてくれたことはうれしい。それでいて、力が入りすぎたということはなく、彼女らしい洗練もある。
欲を言えば、録音というかミキシングのバランスでもう少しピアノをオンにしてほしかった。数年前にサントリー・ホールで「皇帝」を聴いたとき、ピアノの音はオーケストラに対して的確なバランスを持っていた。
それにしても、ジャケットの写真、ますます美しくなってきたのは、、、