こんばんは。
今日は月一度の「ヨーガまんだら」講座。
皆さんと賑やかに懇親会をした後、中村元東方研究所の講演会とパーティーに出かけてきました。
そこで、まさか風水の話がでるとは驚きです。
風水と言えば何か商業ベースに乗せられ怪しげなものが闊歩しますが、実は中国の禅宗や寺院と深く関わり、中国の風水と日本の風水。とりわけ、福建省の萬福寺と宇治の萬福寺の関係もはじめて聞く内容で面白かったです。
風水も奥が深いものなんですね。
そして、主役は何といっても学者として油が乗り切った(前田専学先生の受売りです)斉藤明先生(東京大学大学院教授)。
アヴァローキテーシュヴァラ(観自在)が正しいのかアヴァローキタスヴァラ(観音)が正しいのか?
アヴァローキタスヴァラ(観音)が元来の語形であると言われた背景には鳩摩羅什の意図的な一部の付加があったとか…。
svara(スヴァラ)は伝統的に音と訳すのが一般的だったようですが、それだけではなく鳩摩羅什は観音、つまり音を観ることに意義を見出し、人々が一心に唱えたその音声を観るという、後世、大きな影響力をもった一文を『妙法華』に挿入したようです。
しかし、玄奘三蔵はこれを問題視したようです。
つまり、本当はアヴァローキテーシュヴァラだ…と。
そして、内容的にイーシュヴァラと同義語なので、観察することが自在な菩薩の意味を持つ「観自在」が適切な訳語…だと。
斉藤先生は、正否はともかくとして、いくつかの背景があっての鳩摩羅什の一文の挿入に違いはないし「観音」という冴えた語感が人々に定着していった事実は重く受け止めるべき…だとも。
鳩摩羅什に玄奘三蔵という偉大な漢訳者に触れることができ、もう目から鱗の一日でした。
田原豊道先生のお陰でこんな深い内容も興味を持って最後まで身を乗り出してお聞きすることができました。(荻山貴美子)
斉藤明先生と田原豊道先生