これほど魂を揺さぶられた詩は久しぶりでした。
訳詩にあたり、訳者がどんな経験をお持ちでどんな心情で臨んだのか…。
それを知りたくて『最後だとわかっていたなら』をアマゾンで取り寄せました。
これだけのシンプルな言葉で思いの丈を表現できるなんて、詩はなんてすてきなんでしょう。
ヨーガ・スートラ(3.17)にも言葉のことが出てきます。
ヨーギン(ヨーガ行者)は最終的には言葉を超えた世界に行こうとするので、言葉、対象、観念が別々のものと分かれば、より微細な洞察が得られ、あらゆる生物の声を察する…と。
先月、通信講座で取り上げたところなので詳しくはもう一度テキストをご覧ください。
つまり、言葉は人間同士が「ある」と認め合った世界と自我意識がつくり出した世界がある。だから言葉で考えることが混乱を引き起こす…と言っています。
サクラが開花しました。
「サクラ」という言葉を発すると「サクラ」の姿が現われます。そして、共通の桜と自分の経験が織りなす桜の知識が浮かぶというのです。それが分かっていれば、言葉による混乱がなくなると…。
私たちは同じものを見ても聞いても、人それぞれ違ったものを見、違ったものを聞きます。しかし、このスートラを知ることによって、少なくとも見解の違いに腹を立てずに済みます。
これは言葉のマイナス面ですが、真理に裏付けされた言葉から私たちは多くの教えを学ぶことができます。
言葉のプラス面とマイナス面を知っていると本当に便利です。
さて、この訳詩をされたのは佐川睦さんというかたです。
佐川さんが、この詩に出会った経緯はここでは省略します。
佐川さんも自身の悲しい体験と後悔を重ね合わせて訳されたようです。
この一文で私は何か救われたような気がします。
【この詩を翻訳してみて、なんとなくわかったことがある。愛する人を失った時、どんなに心を尽くしても自分の足りなさを嘆かずにはいられない。それはもしかしたら、その人を忘れないでいたいという心の表れなのかもしれない。自分のためよりも、むしろその人の魂のために。「誰が忘れても、わたしはあなたを忘れない。あなたの命の輝きを、あなたの笑い声を、涙を、ぬくもりを、みんなが忘れても、私だけは忘れない。あなたの魂は、決して孤独ではない」―そんな思いで、その人の魂に必死につながろうとしているのではないか。できなかったことを後悔したくないという利己的な思いではなく、愛する人の幸せを心から祈る、聖い思いゆえではないのか。答えは出ないが、わたしはそう気づいたことで後悔のループを少しだけ抜け出すことができた】
この現象世界は三次元の世界です。自分の真意を伝えるのは本当に難しいです。しかし、この三次元の言葉で伝えるしかないのです。
このシンプルな詩は、今現在私が皆さんにお伝えしたい胸のうちを表現してくれているのです。だから私は泣けて泣けて仕方ありません。
姫神山さん、本当に発信ありがとうございました。
感謝を込めて、ここにもう一度載せさせていただきます。
我が子を亡くしたアメリカ人女性がその思いを綴った詩です。
「最後だとわかっていたなら」
ノーマ コーネット マレック 作 佐川陸 訳
あなたが眠りにつくのを見るのが
最後だとわかっていたら
わたしは
もっとちゃんとカバーをかけて
神様にその魂を守ってくださるように
祈っただろう
あなたが
ドアを出て行くのを見るのが
最後だとわかっていたら
わたしは あなたを抱きしめて
キスをして
そしてまたもう一度呼び寄せて
抱きしめただろう
あなたが
喜びに満ちた声をあげるのを聞くのが
最後だとわかっていたら
わたしは その一部始終をビデオにとって
毎日繰り返し見ただろう
あなたは言わなくても
わかってくれていたかもしれないけれど
最後だとわかっていたら
一言だけでもいい・・・
「あなたを愛してる」と
わたしは 伝えただろう
たしかにいつも明日はやってくる
でももしそれがわたしの勘違いで
今日で全てが終わるのだとしたら、
わたしは 今日
どんなにあなたを愛しているか
伝えたい
そしてわたしたちは 忘れないようにしたい
若い人にも 年老いた人にも
明日は誰にも
約束されていないのだということを
愛する人を抱きしめられるのは
今日が最後になるかもしれないことを
明日が来るのを待っているなら
今日でもいいはず
もし明日が来ないとしたら
あなたは今日を後悔するだろうから
微笑みや 抱擁や キスをするための
ほんのちょっとの時間を
どうして惜しんだのかと
忙しさを理由に
その人の最後の願いとなってしまったことを
どうして してあげられなかったのかと
だから今日
あなたの大切な人たちを
しっかりと抱きしめよう
そして その人を愛していること
いつでも いつまでも
大切な存在だということを
そっと伝えよう
「ごめんね」や「許してね」や
「ありがとう」や「気にしないで」を
伝える時を持とう
そうすれば
もし明日が来ないとしても
あなたは今日を後悔しないだろうから