その人は、突然
『帰ってきた』
そう言って、全神経を扉の外に集中させ耳を傾ける。
『……誰?』
『ちょっと見てくる』
『……?』
そして、おもむろに立ち上がるとそのまま扉に向かった。
『ちょっと来て』
扉を開けて外を確認すると、そう言って
こちらを振り返り満面の笑みを浮かべた。
“こんな顔もするんだ”
そんな事を思いながら扉の方を眺めていたら
『グーテンモルゲン』
そう言って、やけにハイテンションな人が部屋の中に入ってきた。
“うわっ、松潤だっ”
突然のスターの訪問に
(すでに国民的アイドルスターと対談中だったけど)
緊張感が走る中、その人を見ると
まるで見ていなかった。
“松潤だよ? 松潤がこの部屋に!”
そう叫びたくなる気持ちの中
櫻井さんは、その後ろから続いて入ってきた
その人の事だけを見ていた。
『TBSのTVショー?』
松潤が、そうご機嫌に言っている中
その後ろから付いてきた人は(こっちも国民的アイドルスターだけど)
相当お酒が入っているのか、てろんてろんのふにゃんふにゃんで
子供みたいな無邪気で可愛らしい顔をしながら
櫻井さんの首に両手を回していた。
って、めちゃくちゃ笑顔だけどはっきり言って
すごい状況なんですけど。
そう思いながら、櫻井さんを見ると
櫻井さんは両手で首に手を回されている
そんな状況にも関わらずまるで動じることなく
当たり前のような顔をして
平気な顔をしてされるがまま満面の笑顔で
うんうんと頷いている。
その姿を見て
“あ~慣れている。いつもの事なんだな”
って思った。
でも、今まで
なんとなく、櫻井さんのテリトリーというものが
普通の人よりも
社会的にも、パーソナル的にも
そして、こういう仕事を幼い時からしてきた事も
大きく関係しているのだろうか
踏み込めない範囲が、踏み込んではいけない範囲が
とても大きい気がしていた。
そして、それは精神的なものだけではなく、身体的なもの。
例えば身体を触られる、ましてや、首に手を回されるっていうのは
絶対にダメな状況に違いないと思っていた。
(これは櫻井さんに限らずだろうけど。そして他の人だったら確実に拒絶される)
でも、大野さんが相手だと
(大野さんに限らず同じメンバーでもそうだろうけど)
笑顔で受け入れてしまうようだ。
まあ、あんな無防備な顔をしている相手だからってのもあるんだろうけど、ね。
そして首から手をゆっくり離すと
『すげえ、いい匂いがするぅ』
最年長のその人はやっぱり子供みたいな顔をしてそう言った。
“これがあの国民的アイドルグループのリーダーなのか!?”
そう思いながらその人を見ると
松潤の腕はその人の肩に回されていて
何だか守られているみたいだった。
『パンケーキの匂いがする』
『卵焼きだね』
そう言うとその人は、食事会を終えてきたのにも関わらず
うわぁ卵焼きだっていいなぁ~って顔をして
やっぱり子供みたいな顔をしてふにゃふにゃ笑った。
そして櫻井さんがドアに手をかけようと少し屈むような体勢になると
大野さんの手がまた伸びてきて櫻井さんの首に手がかかる。
“もう、どれだけスキンシッパーなのだ!? しかもまた首に手が~”
そんな事を思いながら櫻井さんを見ると
櫻井さんは嬉しそうに大野さんの左腕を掴み自分の方へ引き寄せた。
そして、大野さんはというと相変わらずふにゃふにゃしていて
翔くんの顔だねぇ~って感じで無邪気に松潤を見た。
“もう、かわいすぎるでしょ~~”
そう叫びたくなるのをなんとか抑え
あんな無邪気で可愛らしい顔でベタベタ甘えられたら
デレデレになってしまってもそりゃ仕方がないよね。
そんな事を思いながら二人が楽しそうに帰っていくのを眺めた。
『ハワイに15年ぶりに今回行くんですけど飲むと毎晩大野が泣くんです。
嬉しいのか、達成感なのか、もう分かんないですけど
もうごっちゃになってなぜかハワイにいるって言って泣くんです』
『ハワイに着いて、昨日の夜、一人でベランダに出て、浸ってました。
15年前、あの時の僕を、あまり覚えてませんが。
その中で、少し記憶に残っていることを思い出しました。
当時、その時、まだわけがわからなかったけど、
もやもやしてた気持ちとか、すごい思い出して
でも
その時のモヤモヤや葛藤は
今は、もう、ありません。
メンバーのみんな。スタッフの皆さん。マネージャーさん。
そして、何より、15年支えてくれた皆さんのおかげです』
そう言って智くんは綺麗な涙を流した。
デビュー時、智くんは自分達二人とはまた違った。
松潤と相葉ちゃんは前向き。
ニノとはお互い後ろ向き。
だけどデビューが分かった上での
後ろ向き。
そして智くんは
別だった。
もう辞めることを決意していた智くんを
なんとか引き伸ばし引き伸ばしして
やめさせなかった社長。
昔からその才能を買っていた社長はどうしても
デビューさせたかったようで
もともと嵐に入る前に、デビューをさせようとしていたが
本人に嫌がられできなかったという噂もある。
でもどうしても諦めきれなかった社長は
15年前のこの日。
半ば騙すような形でハワイに連れて行って
そしてそのままデビューさせた。
本人にとっては本当に訳分かんないうちに
勝手に勧められた不本意なできごとで
モヤモヤや葛藤があって当たり前の事だった。
まあその後は余りにも忙しすぎて何が何だか
分からなくなってしまったけど。
でも
どこかその事に対して負い目というか
わだかまりがずっとどこかに残っていて
いつもどこか不安に感じていた。
だから今日、この地で
この言葉を智くんの口から聞けて
何だかすごく
すごく、ほっとしたんだ。
「やっと普通の生活に戻ったね」
「うん」
ハワイから戻ってきて久々に二人で過ごす時間。
そうは言っても年末に向け、またこれまで以上に忙しくなるけど、ね。
そんな事を思いながら思い思いに酒を飲む。
「ずっとハワイでは泣いてばっかりだったから、少し心配になっちゃったよ」
「んふふっ」
そう言うと智くんは少し照れくさそうに笑った。
まあ、多分色々思うところがあったのだろうけどね。
「でもまあ、智くんがもやもやも葛藤も今はないって
言ってたから安心はしたけど」
「……心配してたの?」
「そりゃ、ね」
心配しないはずないでしょ?
そう思いながら智くんの顔を見ると智くんは意外って顔をして
見つめてきた。
そんな意外なことかな?
「だから、智くんの言葉を聞いて凄くほっとした」
「ふふっ。いつも俺のこと気にかけてくれて、ありがとね」
そう言って顔を近づけてきたかと思ったら
頬にちゅっとキスをして、んふふって笑った。
かわいすぎる。
その後2 のお返事の方に夜会の話も一緒に書いてしまっています~。
コメントありがとうございます。
私も何度見ても山の二人がかわいくってかわいくってまだまだリピ中です。
普段でも十分可愛らしい人ですが、あんなにも翔くんに対して
無邪気でふにゃふにゃ甘えて可愛らしくなってしまうんですね。
もうホントびっくりです。
そして翔くんの受け入れている感じがまた凄くいいんですよね~。
やっぱりリピがとまりません。
Jはやっぱり隠していますよね。
そして色々カットもされちゃってますよね。
番組での予告だったり雑誌だったりいつも期待しても
カットされちゃうのが本当に残念でなりません。
でもそんな風に言って下さると嬉しくてたまりません。
楽しみに待ってると言ってくださってありがとうございます。
私は あの 夜会 の嬉しい衝撃から まだ抜けられないでいるので このお話を読むことができて 感激です。
も~あのふにゃふにゃの智くん それを見るでれでれ顔の翔くんのたった数分の映像を何度見返したか…。
Jが思わず隠したシーン 反対から見たかった!!
それにおっしゃっる通り きっといっぱい カットされてると 私は にらんでいます(笑)
VSでも テレビ誌では載っている山萌えの場面が TVでは映らない…(泣)
なので、きらりさんが こうして智くんと翔くんのお話を書いて下さるので、こうしてお邪魔して癒して頂いてます。
また二人のきゅんとするお話 楽しみにお待ちしています(^-^)ゝ゛
そうなんですよね。
翔くんもやめたかったけど、もう後戻りできない状況で。
智くんの事も気づいていたけど大人の事情もあって、
どうにもできない状況で(今ならまだしも16,7では到底無理ですよね)。
でも、それだけじゃなくて単純にこの人と一緒ならっていう気持ちも
あったのではないのかなという気がしてならないのです。
でも、ずっとそのことを気にしていて今回智くんの口から
この地でその言葉が聞けてほっとしたんじゃないかなと
思ったんですよね。(私も山ファンなのでそう思ってしまうのかもしれませんが)
夜会良かったですよね~。本当に衝撃的でした。
もう全然タイムリー(人様より何テンポも遅れている!)じゃないのに嬉しいって言って下さるなんて~。
あれでもかなりカットもされていたようでホントは
どうだったんだろうって気になっちゃいますよね~。
翔くんのデレたお顔が素敵でした。
癒されたと言ってくださってありがとうございます。
デビュー当時の智くんの気持ちを考えると本当にせつなくなります。
でも、きっと、翔くんは (彼にもいろいろと複雑な感情がありましたよね。) 智くんと同じグループで活動できる事を嬉しく思ったんじゃないかな。とおもっています。(山ファンゆえの思い込みかな。)
「夜会」は衝撃的でした。
ふにゃんふにゃんの智くんのかわいいこと!
そして翔くんは首にまとわりつかれても当たり前のように慣れていて。デレていて。
これをTVで放送してもいいのか~。と焦っておりました。
ハワイから戻ってきたお二人。
相変わらず翔くんは優しいね。
いつもどおり、あま~い二人に癒やされました。