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山コンビ大好き。

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きらり

ALL or NOTHING Ver.1.02 2

2015-11-22 16:42:39 | ALL or NOTHING Ver.1




吉田さんにようやく開放してもらったのは
始発の電車が動きだす時間だった。


くそっ。
貴重な休みがもう朝かよ。
いくらお世話になった先輩の誘いでももう2度と行かねぇ。
そんな事を心の中で愚痴りながら電車の来るのをホームで待つ。


ホームはこんな時間だからだろうか
人もまばらでこれから仕事なのだろうか
どこかに出かけようとしている感じの人々。


遊んでいて帰れなくなってしまったのだろうか
始発を待っているような感じの人が数人いた。


反対側のホームにも同じような感じで人がまばらにいて
そこにはなぜか学生服を着た男の子二人が
ぼんやりとベンチに座っている姿が見えた。


土曜日のこんな時間に高校生が一体何をしているのだろう?
明らかに、これから試合か何かで遠征のために早起きして
ここにいるという感じではない男二人の姿。


一人は、細身でストレートの茶髪が綺麗な今どきの男の子といった感じ。
もう一人も同じく茶髪で肌が白くて鼻筋の通った綺麗な顔をしていた。






……って。


あの茶髪の色白の方。


見たことがある。


「……あっ!」


あのフロアの中心で踊っていた少年だ。


あの中にいた時はさすがに学生服ではなかったけど


でも、間違いない。


あの人だかりの中心で見事なダンスを披露していた少年。


若いんだろうなとは思って見ていたけど、まさか高校生だったとは。











「……」


っていうか、そもそも高校生があの店を出入りしちゃダメだろ。
ああいう場所は高校生はもとより未成年は出入りできなかったはずだ。


しかもこの時間にまだここにいるって事はずっとあそこにいたって事か?
高校生があの場所にいるのも、こんな時間まで遊んでいるのも
何もかもがダメ過ぎる。



そう思いながらも





その時は





電車が来たのでその場所を後にした。
















「驚いたな~」

「……へ?」

「いや、あん時大して楽しそうでもなかったからさ~
今もここに一緒にきているのが不思議なんだよね」


そう言って吉田さんは不思議そうな顔をする。


確かに、あの時は一刻も早く帰りたいと思っていたし
もう二度とここに来るものかと思っていた。


「もう2度とご一緒しませんって言われるのかと思ってたよ」

「……」

「ま、俺は嬉しいけどね。女の子の方からめっちゃ声かかるし」


そう言って吉田さんは、にっと笑った。


そう。


確かに言われたとおりだ。


もう二度と来ないと決意していたはずだったのに
あれか毎週のようにここに通っている。


何でだろう?


自分自身よくわからない。


ただ。


あの少年の事がなぜか無性に気になっていた。


高校生でこんなところの来ている事も


こなれた感じで踊っていていた事も。


そしてあの容姿。


男の人なのに綺麗でどこか儚くて


とても放っておけないようなその存在。


そんな事を思いながら、ついその姿を探してしまう。


なぜか目で追ってしまう。


他の人なんて目に入らない。


気付くとなぜかその姿を探している自分に気づき苦笑いをしてしまう。


なぜかなんて分からない。


ただ。


高校生という大人でもなく子供でもない。


その少年が持つ独特の儚さと美しさと、その空気感。存在。


そして。


ここに毎週のように来ている割にどこかつまらなさそうで


何か持て余しているような、そしてどこか寂しそうなその瞳に


目を離す事ができなかった。








ただ、最初に見かけた時と印象はかなり変わっていた。
あの時は周囲に取り囲まれるように踊っていて
かなり目立っていたけど、それはたまたまだったらしい。


あれからあのような場面に出くわすことは全くなかった。
見かけるといつもフロアで踊っている人たちをぼんやり眺めていたり
たまに踊っていたとしても軽く音楽に合わせている位で
目立つ事はなかった。


それでも。


もともとのリズム感が優れているせいなのか
ダンスの才能があるせいなのか
ただ軽く音楽に合わせて身体を動かしているだけのように見えるのに
どんな音楽にも綺麗に馴染んでいて美しいダンスを踊る。


その少年の踊っているのを見ると


つい見惚れてしまっている自分がいる。





その少年が踊っていると





そこだけ空気が違って見えた。










そして。


いつもその姿を見つけるとついつい凝視してしまうせいなのか
自分の存在に少年も気付いているみたいだった。


だからなのか、たまに目が合うと何見てんだよって顔をして
睨んできて、ぷいっと顔をそらされる。





それでも、その少年から目が離せなかった。














ちょっと一休みと手を洗っているとドアが開く。


思わずドアの開いたところに目をやると人が入ってきた。



「……!」


あの少年だ。


思わず目が離せなくなってそのまま見続けていると目が合った。


「……」

「……」

「……」

「また見てる」


お互い無言で見つめあう。
そしておもむろに少年が口を開くとそう言った。


「……」

「いつも俺の事見てるでしょ、何で?」


何も言えなくてそのまま無言で見つめると
少年が詰め寄るようにそう言ってきた。


「何でって……」

「気になるから見ないで」


その言葉に戸惑い答えに詰まっていると
その少年はまっすぐな視線で気になるから見ないでという。


やっぱり気づかれていたか。
まあ、あれだけ見ていれば当然か。


「ごめん、でも気になるんだよ」

「……」


正直に謝りそう答える。
その言葉に少年は何でって顔をして不思議そうな顔をして見つめてきた。


そのまっすぐに向けられる視線に
そしてその瞳に吸い込まれそうになった。


「……君さ、高校生でしょ?」

「……」


思い切ってそう言うと少年は何で知っているのかと
びっくりした顔で見つめてくる。


「帰るところ見たんだよ、学生服姿で」

「……だから、何? 今どきみんな出入りしてんじゃん」


そう言うとちょっと不機嫌そうにそう答える。


「そうかもしれないけど、何だか毎週のようにいるし凄く気になるんだよ」

「……」


その言葉に少年は押し黙ってしまった。
その美しい顔を見つめる。


「……」

「関係ないでしょ、もう、見ないで」





そしてそう吐き出すように言ったかと思うと





扉を開け走って行ってしまった。


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
続きが嬉しいです (白紙)
2015-11-22 22:21:11
 続きが読めた嬉しさに、またコメントしてしまいました。私は昔の大野君をあまりしらないので、年齢設定で既に舞い上がってます。更にとっても続きが楽しみです。
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きゃーきゃー (しーな海里)
2015-11-23 07:26:52
いい夫婦の日の更新ありがとうございます。
やった!言葉を交わした!あ、でもね、言葉をかわす前の視線でのやり取りがすきです。
もう一人の高校生はだれかな、にのかな。またにのがせつないのかな。どうしたってにのが切ないことになっていつも申し訳ないけれど、どうしようもないですよね。切ないにのが好きときているので、ますます本当に申し訳ないです。
もう直ぐお誕生日ですね。誕生日に拘りを見せる翔くんと淡白でどうでもいいけどそれにしょーがねーな感満載で付き合ってやる智くんの構図は相変わらずなのかなーかわいい二人ですよね。最初は付き合いなんだけど、何気に最高のキスを贈る智くんがツボなんです~
あれ、智くんが最初から積極的だったら翔ちゃんはどうするんだろう。やっぱり喜ぶというより慌てますよね?
くだらない話題でだらだらごめんなさい!
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白紙さんへ (きらり)
2015-11-23 16:34:07
白紙さん、コメントありがとうございます。私の方こそ嬉しいです。

私もこのくらいの年代はあまりよく知らないのですが
この時代の話を書くのは好きなんですよね。
あと、茶髪の色白美人さん時代が好きで。
年代的には2002年で二十歳は超えているのですが
この容姿で高校時代でって想像するのが凄く楽しいので
舞い上がって下さってると聞いてとても嬉しいのです。
続きが楽しみだと言って下さって嬉しいです。
サクサクっとアップ目指しますね♪
ありがとうございました。
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しーな海里さんへ (きらり)
2015-11-23 17:07:03
しーな海里さん、コメントありがとうございます。

はい、言葉を交わしました。嫌がられてますけど♪
言葉を交わす前のやり取りが好きだと言って下さって嬉しいです。
もう一人の高校生は相葉ちゃんがイメージなんですよ。
この話が思い浮かんだ時に相手は相葉ちゃんだってもう決まっていて。
多分ディスコスターの話も混ざっているせいもあるかと思うのですが。

そうなんですよ。私の話でのにのちゃんは本当に申し訳ないくらい切ない役が多いんですよね。
いつも重要で大切な役どころではあるのですが。

ほんと、あとちょっとで誕生日なんですね。
色々あってすっかり頭の中にありませんでした!←
私の描く誕生日の二人がツボという事でしょうか。嬉しいです。
そうですね~智くんが積極的にでたら翔くんは嬉しさよりびっくりの方が強くて
素直に受け止められないと思います♪
ありがとうございました。
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美少年。 (ルクパト)
2015-11-23 18:58:49
きらりさん、こんばんは!
新しいお話しをありがとうございます♪すっごく嬉しいです。

この頃の智くんは、ほんとうに綺麗で(今もですが)儚くて、心ここにあらず、、、みたいな感じで。
その美しさに心が奪われてしまいます。

お話しの続きがどうなるのかなあと、ドキドキしています♪

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うれしい ()
2015-11-23 20:47:59
きらりさん、
出遅れてしまいましたが新しいお話ありがとうございます♪前回、、主張はげしいコメント連投してしまって、負担になってしまったかも。。と反省してましたm(__)m
でもこうして続けてくださって本当に嬉しいです。私もALLの智くん大好きです。続き楽しみに日々頑張れそうです(*^^*)
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ルクパトさんへ (きらり)
2015-11-24 17:04:44
ルクパトさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
私の方こそ嬉しいです。

本当にこの頃の智くんは綺麗で美少年という言葉がぴったりですよね。
ふわふわしていてつかまえていないと、どこかにいってしまいそうなそんな雰囲気で
儚げな感じなのがまたいいんですよね。

ドキドキして下さって嬉しいです。
今後この儚げで美しくて妖しく魅力的な部分が出せていけたらいいなぁと思っています♪
ありがとうございました♪
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桃さんへ (きらり)
2015-11-24 17:37:08
桃さん、こちらこそコメントありがとうございます。

コメントは貰う方は凄~く凄~く、もう小躍りしちゃうくらい嬉しい事なのですが
出される方は本当に勇気がいることですよね。

それが本当によくわかっているので感謝する事はたくさんあっても
負担だなんてことは全くありませんでした♪
たくさん伝えて下さった事、そして戻ってきてからの優しい言葉、ありがとうございます♪

ALLの智くん本当に綺麗でいいですよね。
私の堕ちた瞬間の映像でもあります。

日々頑張れそうだなんて嬉しい言葉をありがとうございました♪
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