すみません。
すっかり神出鬼没状態になってます…
「中村監督って本当に智くんの事好きだよね~」
「へ?」
「いや、前から思ってはいたけど特典映像見て確信した」
「特典映像って、見たの?」
もうすぐオリンピックが始まるせいか
智くんは驚いたようにそう言って目を丸くした。
「見るよ」
当たり前でしょ?
忍びの国だよ?
無門だよ?
見ないなんて選択肢ないでしょ?
そう思いながら当たり前のように答えると、ますます智くんはびっくりした顔をする。
「見るよって、もう現地入りしなきゃでしょ? 資料だってこんな山積みだし…」
「ふふっ散らかってるって言いたいんでしょ~」
「でも準備だってあるだろうし…」
「それとこれとは、別」
「別って…」
この時期忙しいのが分かりきっているせいだろう。
途端に戸惑いの表情を浮かべる。
「凄く良かったよ? 未公開映像とか見どころ満載だったし、
監督の深意とか意図とか舞台の裏側とかも知れて凄く面白かった」
「まあ俺も、知らないこといっぱいあって面白かったけど…」
「細部の細部まで考えられた監督のこだわりの作品だもんね」
「うん、もう、監督凄すぎちゃって頭の中どうなってるのかわかんない」
そう言って、んふふっと可愛らしく笑う。
「ふふっでもその中村監督は智くんに絶対的な信頼をおいているよね?」
「そっかなぁ?」
「そうだよ」
それまでにも散々監督の口から語られてきたことだけど、あれを見たら一目瞭然だ。
演技を指導する立場である監督が、智くんには
何を考えてのあの表情だったの?って嬉しそうに聞いていたし
それに智くんが場面場面でどんな表情を魅せてくれるのかと
監督自身がワクワクしているようにしか見えなかった。
でも考えてみるとあれって、
智くんがあの時どう考えてああいう表情になったかというよりか
無門としての智くんがどういう事を考えていたか知りたくて聞いていたんだよね。
完全に役を掴んでいるからこそのその言葉。
普通はこういう表情でとか演技指導するのが監督なのに
その監督がこの表情がいいんだよねえとか嬉しそうに語っていたのは
やっぱり凄いことだと思った。
しかも本人が全くその時の心情を覚えていないっていうね。
それがまた役に入っている智くんらしい答えというかなんというか。
そのやり取りを見ながらやっぱり智くんは凄い人だなと思う。
「何度見ても見ごたえあるし、見るたびに新しい発見があるから
何度だって見れる不思議な映画だよね」
「んふふっ」
監督も18回見たという人がいるという話をしていたけど
でもその人だけが特別というわけではなく回数に差こそあれ
他にもそういう人が多くいたという話をよく聞いていた。
「だから俺、現地にも持っていくんだ~」
「マジで⁉」
「だって気分転換によさそうでしょ」
「気分 転換?」
智くんが意味わかんないって顔で見る。
「そ。頭がパンクしそうになった時に、智くんの凄いアクションや殺陣を見たり
ゆったりしたトークを見たりして気分転換するんだ~」
「変なの」
そう言って説明するとおかしそうにクスクス笑った。
「だって色々面白いんだもん。あの亮平くんのやり取りで
圧をかけるためにわざと殺陣の練習をしてたっていうのもうけたし」
「あれねぇ、亮平くんホント酷いよねぇ」
「あん時の唖然とした智くんの顔面白かった~」
「もう信じらんないよ」
そう口をとがらせ文句を言いながらも笑っている姿が可愛いなと思う。
そんな事を思っていたら、ふと智くんが何か言いたげにじっと見つめてきた。
「ん? どした?」
「……」
そしてそのままゆっくりと右手を伸ばしてきて、優しく俺の前髪をかきあげた。
「……!」
突然の事に驚いて何も言えないでいると、智くんはその額をじっと見つめた。
それは。
ずっと髪の毛で隠し続けていた場所。
あの日。
心配そうな眼差しを向けられていた事を知っていた。
でも心配をかけたくない一心で気付かないふりをして
何でもない事の様にふるまっていた。
でもけがとか病気とかに特に敏感な智くんの事だ。
ずっと心配し続けていたのだろう。
そのかきあげた智くんの手を包み込むように握る。
そしてその手を掴んだまま静かにおろした。
智くんは右手を握られたままの状態で静かに見つめている。
その瞳は不安げにゆらゆらと揺れていた。
「もう、大丈夫だから。綺麗になっていたでしょ?」
「…うん」
そう言うと、小さな声でうんと答える。
あの日。
あの後。
そのまま正月休みに突入してしまい連絡は取りあっていたけど
お互い家族に会ったりなんだりで暫く会えない日々が続いた。
だから。
今日、来たのだと思った。
無理してでもここに来て、俺に会っておきたかったのだろうと思った。
いつもは忙しいとわかっていたら絶対に遠慮してこない智くんが。
自分としては嬉しかったけど、けがや病気を誰よりも心配する人だから
どうしても出国する前に会っておきたかったのだろう。
智くんだって忙しいのにその気持ちが痛いほどわかって申し訳ない気持ちになる。
「ホントは俺もついていきたいくらいなんだよね~」
でもその俺の気持ち瞬時に察したのか、
負担をかけたくないと思ったのかおどけるようにそう言って誤魔化す。
「おっいいじゃん。選手の取材とかしちゃう?」
だから気付かなかったふりをしてそれにのっかる。
「それは、絶対無理」
「ふふっ智くんが取材したら面白そうなんだけどなあ」
「面白くねえよ」
「そうかな~」
そんな話をしながらゆっくりとその身体を自分の方へ引き寄せ抱きしめた。
「テレビの前で応援してるから」
「うん、たくさん選手の応援してね」
そしてお互い抱き合ったまま話をする。
「ううん」
「え?」
「俺は翔くんを応援をするの」
「え?俺? 選手の皆さんを、じゃなくて?」
「うん、テレビの前で応援してる」
「ふふっありがと。じゃ俺は毎日無門見て元気貰うわ」
「んふふっ」
そしてその華奢な身体を抱きしめながら
心配しているのは実は自分の方なのだ、と思った。
忍びの国は本当に素晴らしい作品だった。
殺陣は言わずもがなすごい迫力と演技だったし
そして無門の心情の移り変わり、そしてその表情。
どれをとっても素晴らしかった。
でも。
智くんの凄いアクションや殺陣を見るたびに。
ため息の出るような芝居を魅せられるたびに
そして圧倒的なダンスを魅せられるたり歌を聞くたびに
心の底では不安を感じている自分がいる。
凄い事を次々にやり遂げてしまう智くん。
でもその時に智くんがやりきったと満足してしまって
何の躊躇も迷いもなくこの世界から去ってしまうのではないかと無性に心配になる時がある。
今の立場にも、芸能界にも、何の未練もないあなたの事だから。
昔ダンスを極めたからと言ってあれだけの才能がありながらも
あっさりとジャニーズを辞めようとしていた時のように
何の躊躇いなくこの世界から去ってしまいそうな気がして、時々無性に不安になる時がある。
丁度今回の映画を見た時の様に、凄いものを魅せ付けられるたびに
この手からふっといなくなってしまうような気がして、怖くなる時がある。
「待っててね?」
「うん、待ってる」
そんな事を思いながら待っててねと言うと
何も知らないあなたはにっこりと笑って待ってると答えてくれる。
その言葉に嬉しくなって身体をきつく抱きしめると
背中に手が回ってきてぎゅっと抱きしめ返してくれる。
「智くん」
「ん?」
「まだまだ嵐でいてね?」
「うん」
そう言うとやっぱり何も知らないあなたは不思議そうな顔をしてうんと答えてくれる。
きっと本人は全然わかってはいないだろうけど、その言葉にほっと安心する。
「よかった」
「当たり前でしょ?」
そして、いたずらっ子みたいな顔をしてくすくすと笑う。
「好きだよ」
「知ってる」
そして好きだというと、
あなたはいつものように少し照れくさそうに笑って
知ってると答える。
まだまだここにいてと、この腕の中にずっといてと
そう願いながら、その身体をきつく抱きしめると
背中に回った腕に力が込められる。
そして。
今日来てくれてありがとうと言うと真っ直ぐな目で見てうんとうなずく。
そしてもう一度好きだとつぶやくと嬉しそうに笑って俺もだよと答えてくれる。
そして。
ゆっくりと智くんの腕が頬に伸びてきて優しく頬が包み込まれると
智くんの優しいキスがおりてきた。
18回観に行かれたのですね、監督の話にも出てきましたが18回は本当に凄いです~。
やっぱり大画面で見ると違いますよね。
リピートして観にかれてる方も本当に多いと聞きますしやっぱり凄い魅力的な映画なんですね。
特典映像良かったですよね。私はビジュアルコメンタリーから見たのですが
ビジュアルコメンタリーを見てからまた映像を見るとまた違った見方ができてまたリピートしてって感じで終わらないです…
今回迷ったのですが車では見られなくなってしまいますがブルーレイにして本当によかったです。
努力のこと、監督にも見抜かれてて、まあやってるけどねって言ってましたね。
メンバーは間近で長いこと見ている分思うところは大きいでしょうね。
翔くんがどう感じたか詳しく聞いてみたいですね~。
健康大切ですよね。映画を撮る前にも智さんは怪我だけはしないようにって言っていましたし。
色々な憶測もとび、心配していましたが元気な姿を見る事ができて本当によかったです。
やりとりが素敵過ぎると、そして嬉しいと言って下さって私の方が嬉しかったです。
ありがとうございました🎵
『忍びの国』たぶん18回観に行きました。14回目くらいまではカウントしてましたが、途中からよく分からなくなりましたが。できればあと1回、スクリーンで観たいところです。そして特典の素晴らしいこと!共演者との対談から進めなくて、最後まで見ていません。ビジュアルコメンタリーが気になって仕方がないのですが!
最近、知念君やさとみ女史が智っさんに影響を受けて、密かな努力を惜しまない、という話を読みました。それを見たとき、すっごく嬉しくて、更に、それなら人生の半分くらい一緒に居るメンバーはもっと感化されているわ!と思ったのでした。昔は「大野君は凄い」とか、才能があるみたいな言い方だったけど、最近、努力家な面もちゃんと言ってくれるので、智っさんとしては不本意かもしれないけど、ファンとしては嬉しいです。
映画を観てくれた翔さん、本当はもっと感想を聞きたかったです。なんなら特典に翔さんのコメントもいれて欲しかったくらい。だから今回のお話嬉しかったです。年末の翔さんは心配でしたが、ちゃんと元気で良かったです。本当に健康第一です。