宇宙(そら)を見上げて

謎の天文機材技師 ☆男(hoshiotoko)のブログです。

K-30 + O-GPS1 アストロトレーサー・ファーストライト

2012-07-02 19:36:00 | アストロトレーサー
PENTAX K-30 + O-GPS1 アストロトレーサーでテスト撮影を
行いましたので、レポートをしたいと思います。

<総感>

・精密キャリブレーションがやりやすくなった(気がした)。

・K-5よりも赤い星雲は良く写るようである。

・高感度耐性がK-5よりも半段上のような気がする。

・K-5並みにバッテリーが持つ。K-rの1.5倍は持ちそうな感じ。

・GPSユニットの青色LEDとオレンジ警告LEDをOFFにできる設定が
 ある。実際、作動中はOFFに出来た。
 しかも、途中でGPSユニットのバッテリーが限界になった際、
 二つのLEDがフラッシングして知らせてくれた。有難い。

・アストロトレーサーの使い方が変更されていた。
 K-5 , K-r ではアストロトレーサーの設定画面に”撮影開始”
 というメニューがありましたが、K-30にはありません。
 アストロトレーサー設定画面で設定後、撮影は通常のBモードで
 行います。
 例えばアストロトレーサーの設定画面でタイマー露出時間を
 1分30秒に設定し、その後、メニューボタンを3回押すと通常の
 バルブ撮影画面のようになります。ここでシャッターを全押しすると
 アストロトレーサーでの撮影が開始されます。この時、
 グリーンボタンにアストロトレーサーのON-OFF機能が自動的に
 割り振られており、押すとアストロトレーサーをOFFにでき、
 その場合は通常のバルブモードになります。
 もう一度押すとアストロトレーサーモードに戻ります。
 今までと使い方が異なる(アストロトレーサーの格上げ?)ので、
 初めはアレ?って感じです。

 アストロトレーサーモード中は★///アイコンが出ます。
 ここで感度、露出時間、ISOを変更でき、設定した露出
 時間はアストロトレーサーの設定画面にあるタイマー露出時間に
 反映されます。Bモードでの撮影となったことから、タイマーリモート
 コントローラーによる連続撮影が出来るのではないか?
 これは次回試してみよう。

・Bモードでアストレ撮影を行う場合、グリーンボタンにON-OFF機能
 が割り当てられているが、OFFで撮影してもアストレが作動してい
 るようだ。これも次回の確認事項とする。

・アストロトレーサーモードで撮影を開始した際、K-30のSRユニット
 から”コトン、コトン”という音が聞こえてきた。
 SRが誤動作している。星空追尾でSRユニットが音を出すほど
 動く筈は無いため撮影中止。→ 実際に撮影は失敗していた。
 この現象が4時間のうち2カット発生した。原因は不明。

・アストロトレーサーのタイマー露出設定が10秒ステップになって
 しまったようです。K-5 , K-rでは1秒単位で設定できていましたが、
 K-30では10秒ステップです。

・LVがX6までしか出来ない。K-5 , K-r はX10まで可能。
 ピント合わせの時に役不足です。

<共通設定等>

---------------------------------------------------

撮影日時:2012年6月29-30日 23:54:20~02:54:30
撮影地:南魚沼市
星空指数:80点
気温:15℃ → 12℃
カメラ:K-30_RAW
レンズ:DAL18-55mmF3.5-5.6 , DA70mmF2.4 Limited
感度:ISO 3200~6400
露出時間:***
WB:Auto

ディストーション補正:OFF
倍率色収差補正:OFF
RAWファイル形式:DNG
拡張ISO:ON

D-Rangeハイライト:OFF
D-Rangeシャドウ:OFF

高感度NR:中(開始感度ISO800)
長秒時NR:OFF
色空間:sRGB
画像仕上げ:鮮やか
彩度:0
色相:0
キー:0

コントラスト:1
ファインシャープネス:OFF

赤道儀:無し → O-GPS1 アストロトレーサーを使用
ガイド鏡:無し

----------------------------------------------------

RAW現像:SILKYPIX DS3.0 for PENTAX
画像処理:CS5
プリンター:EPSON PX-G5300
カラー処理:Photoshopによるカラー管理
プリンタープロファイル:PX-G5300 photo crispia
マッチング方法:絶対的な色域を維持
用紙種類:クリスピア
色補正:ユーザ設定 -> 色補正無し
印刷品質:詳細設定-品質優先-双方向印刷 OFF

----------------------------------------------------
18mmF3.5(4.5) , ISO3200 , 120sec


18mmF3.5(4.5) , ISO3200 , 120sec


70mmF2.4解放 , ISO3200 , 90sec


70mmF2.4解放 , ISO3200 , 60sec


70mmF2.4(5.6) , ISO6400 , 90sec


55mmF5.6 , ISO6400 , 60sec


アストロトレーサーのB撮影時にグリーンボタンを押すと、
アストロトレーサーをON-OFFできる。この作例はOFFとして通常の
B(バルブ)撮影をしたのだが、星を追尾してしまっている。
LCDの表示は確かにOFFだったのだが・・・


4時間の撮影中に2カット、SRユニットが誤動作した。
その時の写真がコレ。


------------------------------------------------------

K-30とO-GPS1アストロトレーサー


アストロトレーサーの設定画面。


アストロトレーサーの設定画面で"MENU"を3回押して撮影画面に
戻る。ここが K-5, K-r と異なっている。つまり、
アストロトレーサーでの撮影も通常のB撮影と同じ所で行える
ように変更になった訳です。K-5 , K-rでは、アストロトレーサー
の設定画面の中に”撮影開始”メニューが出て来ましたが、
これでは連続して撮影する時に不便でした。改善された模様。


この状態で前ダイヤルで露出時間、後ろダイヤルで絞り、ISOボタン
で撮影感度を変更できます。変更した露出時間は、
アストロトレーサー設定画面の”タイマー露光”に反映されます。


<その他>

K-30にはリモート端子が付いていますが、カメラだけでもバルブ
撮影が出来るようになっていました。 それは・・・
K-rではIRリモコン時のシャッター動作をメニューで設定できます。
IRリモコンを、

”一度押してシャッター開”

”もう一度押してシャッター閉”

という設定です。
K-30では、メニューの設定画面にIR時の項目がありません。
そのかわり、B(バルブ)時のシャッター動作を指定できるように
なっており、IRリモコン使用時にも反映されます。
これを設定すると、IRリモコンが無くてもK-30のシャッターを

”一度押してシャッター開”

”もう一度押してシャッター閉”

が出来るようになるのです!! 素晴らしい♪

もうひとつ。
今回はシャッターを指で押したのではなく、純正のIRリモコンを
使いました。3秒後レリーズに設定して使用したわけですが、
その動作は・・・
IRリモコンを押すとまず、ミラーアップします。
3秒経つと”チャッ”っと音がしてシャッターが動作するんです。
凄い!自動ミラーアップではありませんか。素敵です。

--------------------------------------------------------

以上、駆け足でテストレポートをまとめてみました。
6月29日の夕方にカメラを受け取り、急いで動作確認を行い、
晴れている場所を探したら、新潟が良さそうでした。
埼玉県入間市から南魚沼市の撮影現場まで、片道3時間弱です。
梅雨なので関東は全滅でしたが、関越トンネルの北側は快晴。
しかし、米どころですから水蒸気が凄かった。
標高を上げるしかありません。結局910mまで登っての撮影でした。
下界は水蒸気でモヤモヤ~~~

六日町方面


塩沢石打&湯沢方面


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14 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (gleeman)
2012-07-02 21:45:13
Nice pictures,星男 桑
Did you buy this k30?
Have you compared the performance between k5 and k30?

Best regards,
gleeman
返信する
Unknown (シャトー)
2012-07-03 00:29:28
いつも興味深く拝見しておりす。
K-30について早速試写されありがとうございます。次回修正されるときに、以下について情報を記載していただけると助かります。
・感度、露出時間、NR有無、K-5,Krとの比較(特に関する写り具合)
よろしくお願いします。
返信する
Unknown (eti_forest)
2012-07-03 11:41:39
Dear gleeman

I bought a K-30.
I think K30 is better than K-5 for Astrophotography(Red nebula).

Thanks regards,
☆男
返信する
Unknown (eti_forest)
2012-07-03 11:45:04
シャトーさま

ようこそおいで下さいました。
近日中にこの記事の追加を行いますから、しばらくお待ちください。
今後とも宜しくお願い致します。
返信する
Unknown (demio1948)
2012-07-05 19:48:27
こんにちは。
K-30のレポート、興味深く拝見しました。
アストロトレーサーとの使い勝手も改善されている様子で最新機種のメリットが感じられます。
梅雨時でも新潟は比較的晴れる場合が多いようですね。
撮影場所は魚沼スカイラインあたりでしょうか?
私は未だ新潟方面には遠征に行ったことはないのですが、今度機会があったら出かけてみたいと思います。
返信する
Unknown (eti_forest)
2012-07-05 20:16:46
demio1948さん今晩は。
K-30を6月29日の夕方に受け取り、そのまま魚沼スカイライン展望台まで行きました。
この季節の新潟は底水蒸気が凄いので、少しでも標高を上げなければまともな
写真は撮れません。今回は運良く晴れ、しかも水蒸気が500m辺りで止まってくれたので
大丈夫でした。この場所は南西と天頂が良いですが、
写真の通り夜景がバッチリ見えちゃいます。北東に六日町、北に十日町、南東に
塩沢石打と湯沢があります。キレイですが・・・
たぶん一番良いのは湯沢の西側に上がって行った辺りだろうと思いますが、
まだ行ったことがありません。
私的には奥秩父などの、周りに一切街明かりが見えない所の方が好きです。

K-30ですが、これだけ撮れればDSLRとしては十分ではないでしょうか。
防滴・防塵というのも☆撮りには適しています。

*モノクロ冷却CCDと、ワンショットカラー冷却CCDを購入しました。
 今いじっていますが、コレ持って遠征はキツイなあ~。
 ケーブルだらけでたまらないです。
 皆さんこんな大変な思いをしているのですね、頭が下がります。
 何時もの10cmF6鏡筒に取り付けるにしても鏡筒が古すぎ、接眼部付近の改造は
 避けられそうもありません。ヒートシンクの大きさとフィルタホイールの大きさ
 からして、30cmクラスを想定した製品だと思います。
 10cmに付けてみたらデカくて笑ってしまいました。
 梅雨明けまでに改造を済ませたいと思います。
返信する
Unknown (M45osaka)
2013-02-27 20:03:46
はじめまして。

検索でこちらのブログを見つけて購入する際の参考にさせていただきました。
先にK-30を買ったので、O-GPS1も使ってみたくなりました。

>Bモードでの撮影となったことから、タイマーリモート
>コントローラーによる連続撮影が出来るのではないか?
>これは次回試してみよう。

複数枚撮影によるコンポジットを考えています。
タイマーリモートコントローラーで連続撮影が可能なのか教えていただけませんか?
お手数ですがよろしくお願いいたします。
返信する
Unknown (eti_forest)
2013-02-27 20:39:55
M45osakaさん、ようこそ。
ゴメンナサイ、実はK-5Ⅱsを購入する時にK-30を手放してしまい、
ご質問の内容を確認することができません。
価格.comのK-30板かO-GPS1アストロトレーサ板でお聞きになれば、
お使いの方が試してくれると思いますよ。

お名前から想像して、☆撮りには慣れておいでとお見受けいたします。
アストロトレーサでのコンポジット撮影はお勧めできません。
特に広角レンズでは画面周辺で露光時間に応じて星像が放射状になったり
横ズレして写ってみたりします。
これを重ねるとかなり醜い写真になってしまいます。
K-30は高感度耐性が良いので、ISO6400一発撮りでも対象によっては見られます。
私はISO3200を多用しています。(K-5 , K-5Ⅱsでも)
K-30とK-5系はアストロトレーサの操作仕様が違うため戸惑いますね。
と言うか、K-30だけ違います。

アストロトレーサ+300mm望遠で撮影出来たとチャレンジしている人も
いますが、私個人の意見は85mm程度までが吉というものです。
広角の星景写真でポータブル赤道儀すら使わず、30秒~60秒で撮る。
これはたまらない撮り方ですよ。
最近はポータブル赤道儀が流行っていますが、技術的には何も進歩がない。
対してアストロトレーサは凄い技術だと思います。
M45osakaさんが美しい星景写真を沢山撮られ、ネットで発信してくれたら
とても嬉しく思います。でも、私はPENTAXの回し者では無いですよ(^^♪
返信する
Unknown (M45osaka)
2013-03-01 20:03:52
eti_forestさま
ISSを撮るの際の連続撮影を検討していたのですが、アストロトレーサ使用時は一発撮りで使用することにします!
eti_forestさまがお使いのSAMYANG14mmF2.8にも魅力を感じておりますが、当面は18-135mmWRを120秒以内でいろいろ試してみます^^
貴重なアドバイスをどうもありがとうございました。
返信する
Unknown (toshi埼玉)
2016-09-17 07:43:35
はじめまして。最近アストロトレーサーを購入したので手持ちのK30に取り付けて試してみましたが良く使い方がわかりません。昨日、新宿のPENTAXに行って聞いてみましたが担当者も完璧には回答できない感じでした。質問ですが、K30との組み合わせでも「最大追尾時間」の情報がちゃんとカメラの液晶画面に表示されるものでしょうか?PENTAXでは表示されると言っていましたが家に帰って試してもその情報が出ません。またカメラを向ける方向を変えるとこの時間が変化して表示されるのでしょうか?ご教授ください。
返信する
Unknown (☆男(hoshiotoko))
2016-09-17 09:06:15
toshiさん

レンズの焦点距離情報は入力していますか?
レンズ情報を自動取得出来ないマニュアルレンズを使う場合は
焦点距離情報を設定しなければなりません。
最大撮影可能時間は焦点距離情報と天体の位置
によって変化します。SR機構の物理的可動範囲と、天体の位置に
よる見掛けの移動距離で変化する訳です。
返信する
Unknown (toshi埼玉)
2016-09-17 11:07:34
はい、焦点距離の情報は最初に入力しています。追尾可能時間の情報は、どの液晶画面の状態で表示されるものでしょうか?
返信する
Unknown (☆男(hoshiotoko))
2016-09-17 13:47:39
toshiさん

アストロトレーサーのユーザインターフェイスは3回変更されていて、
K-5系、K-rでは↓のように”追尾可能時間”が表示されていました。
http://sky.ap.teacup.com/eti_forest/81.html

K-30では本記事のようにUIが変更され、バルブにアストロトレーサー機能が
盛り込まれました。バルブ撮影時にアストロトレーサーが有効になっていると、
言わば、アストロトレーサーモード画面になる訳です。
この画面で”追尾可能時間”は出ていないようですね。
但し、アストロトレーサーの最大追尾可能時間=5分であり、
レンズと天空の方向によってダイヤルにて設定できる追尾可能時間に制限が
掛かる筈です。K-3系やK-1では更にUIが変更され、バルブモード時の
アストロトレーサーモード画面に”追尾可能時間”がちゃんと表示されています。
K-30が既に手元にないので確認できませんが、向ける方角によって
設定できる時間が変化することを確認してみて下さい。
北天では5分まで可能で、天の赤道上だと2分30秒などになるかと思います。

18mmなどの広角で長時間露光すると、画面四隅が放射状に流れますので、
ISO1600で90秒辺りが丁度良いと思います。
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Unknown (toshi埼玉)
2016-09-17 16:32:31
ご丁寧にご回答いただきありがとうございました。ここのところ天気が悪くてテスト撮影もできないでおりますが、カメラの設定だけはテストできると思います。もう一度最初からいろいろカメラをいじってみようと思います。ひとまずありがとうございました。
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