このところ極限等級について多くのコメントを頂いています。
星爺さんによれば、望遠鏡の極限等級は焦点距離のみによって
決まり、口径やFとは無関係とのことです。
吉田正太郎先生のご著書
天文アマチュアのための
望遠鏡光学・反射編
誠文堂新光社
P-48 12望遠鏡の実視極限等級
から引用します。
-------- 引用ここから ----------
望遠鏡で、やっと見える恒星の等級を、極限等級(limitting magnitude)
と言います。瞳孔径7.0mmの人が6.0等星まで見えるとすれば、
望遠鏡の極限等級Mは、つぎの式で計算できます。
M=5logφ+1.774(等)・・・・(2・24)
φの単位はmm、logは常用対数です。
以上は実視極限等級ですが、写真の場合は感光材料の種類、露出時間、
ピントの良否などにも関係するので、実測してみるほかはありません。
ただし、その星像は円形で、黒さが均一でなければなりません。
オムスビ形やコンマ形の小さな像は、星像にはかぞえません。
------- 引用ここまで -----------
P-49には、
表2.1 望遠鏡の有効径と性能の一覧表
が記載されています。
また、望遠鏡の光学的な性能は、ほとんどすべて口径によって
定まりますから、望遠鏡の大きさは口径で表示します。
たとえば30cm望遠鏡といえば、口径(有効径)30cmの望遠鏡の
ことです。
と書いてあります。
では、65cmF12と10cmF78の望遠鏡は同じ性能なのでしょうか?
<65cm望遠鏡>
分解能:0.178"角
実視極限等級:15.84等星
集光力:8622倍
<10cm望遠鏡>
分解能:1.160"角
実視極限等級:11.77等星
集光力:204倍
両者間には、5段プラスの露出倍数(43.1648倍)もの差があります。
65cmF12で600secを適正露光とすれば、10cmF78では7h10mもの時間を
要する計算です。
10cmF78の望遠鏡があったとすれば、理論的には1カット7h10m露光
すれば、65cmF12で600sec露光した時と同じ極限等級を得られる
というのが星爺さんのおっしゃられていることです。
また、
このM51は何センチの望遠鏡で撮影したのですか? ではなく、
このM51は何mm望遠レンズで撮影したのですか?
と聞くようになることが必然だと言うことです。
確かにカメラの世界では、このF22は何ミリ望遠で撮りましたか?
のような聞き方をしますね。
しかし望遠鏡の世界では、このM51は何センチの望遠鏡で撮りましたか?
と聞きます。
論点は、
焦点距離が同じ場合、適正露光であれば極限等級は同じであり、
得られる結果は同じである・・・
と言う点です。
星爺さんのコメントに、
>星や銀河自体のフォトン数が重要なのは当然です。
>銀外自体とは=単位面積ということですね。
>星は点像なので口径が大きいと短時間露出でも良く
>写りますが、飽和まで露出する(=適正露出)場合は
>口径が小さい(=Fが暗い)とバックグラウンドが暗い
>ので飽和までの露出時間を長くでき、結果として
>最微光星は焦点距離が同じなら同じになります。
>露出が不足した場合は面積体は良く写らないで星ばかり
>写ります。こうした写りの状態を見て
>「大口径は良く写る」と感じやすいのでしょうかね?
>例の公式は、相反則不規のないデジタルになればより
>算数になるので、結果はより正直で理論と現実の乖離は
>フィルムよりも少なくなります。
>これらの概略がどういうことかというと、
>①口径が大きいほど良く写って
>②露出が長いほど良く写って
>③焦点距離が長いほど良く写ります。
>すなわち、望遠鏡の大型化は永遠のテーマです。
>が、①②③は相関関係にあるということです。
とあります。
ハイ、「大口径は良く写る」と感じます。
それは、65cm鏡の場合8622倍もの集光力があり、
7800mmという超々望遠レンズでもF12という現実的な明るさ
を得られるからです。
また、最近の画像処理技術の進歩により、
日本のシーイングでも、前出のM51程度の画像はアッサリ撮影できて
しまうというブレイクスルーもあります。
”日本のシーイングでは1”角以下は期待できない”
”日本のシーイングでは30cm以上の口径は無意味”
本当でしょうか? 様々な画像復元処理法、
ラッキーイメジングやスペックル干渉法によって、
もはやそのような常識は崩れました。
やはり、望遠鏡は口径が大切です。
口径が大きければ、結果的に焦点距離が伸びて限界等級も上がり、
現実的なF値に収まって、実用性が確保できるのです。
焦点距離が同じ場合、適正露光であれば極限等級は同じであり、
得られる結果は同じである・・・
これは正しい理論かもしれませんが、10cmの分解能は1.160"角です。
6cmでは1.933"角しかありません。
大口径、長焦点、明るいF、微細撮像素子、補償光学系、
様々な画像復元処理を使えるならば、口径こそ望遠鏡の性能指標
という考え方は間違っていないと思います。
星爺さんによれば、望遠鏡の極限等級は焦点距離のみによって
決まり、口径やFとは無関係とのことです。
吉田正太郎先生のご著書
天文アマチュアのための
望遠鏡光学・反射編
誠文堂新光社
P-48 12望遠鏡の実視極限等級
から引用します。
-------- 引用ここから ----------
望遠鏡で、やっと見える恒星の等級を、極限等級(limitting magnitude)
と言います。瞳孔径7.0mmの人が6.0等星まで見えるとすれば、
望遠鏡の極限等級Mは、つぎの式で計算できます。
M=5logφ+1.774(等)・・・・(2・24)
φの単位はmm、logは常用対数です。
以上は実視極限等級ですが、写真の場合は感光材料の種類、露出時間、
ピントの良否などにも関係するので、実測してみるほかはありません。
ただし、その星像は円形で、黒さが均一でなければなりません。
オムスビ形やコンマ形の小さな像は、星像にはかぞえません。
------- 引用ここまで -----------
P-49には、
表2.1 望遠鏡の有効径と性能の一覧表
が記載されています。
また、望遠鏡の光学的な性能は、ほとんどすべて口径によって
定まりますから、望遠鏡の大きさは口径で表示します。
たとえば30cm望遠鏡といえば、口径(有効径)30cmの望遠鏡の
ことです。
と書いてあります。
では、65cmF12と10cmF78の望遠鏡は同じ性能なのでしょうか?
<65cm望遠鏡>
分解能:0.178"角
実視極限等級:15.84等星
集光力:8622倍
<10cm望遠鏡>
分解能:1.160"角
実視極限等級:11.77等星
集光力:204倍
両者間には、5段プラスの露出倍数(43.1648倍)もの差があります。
65cmF12で600secを適正露光とすれば、10cmF78では7h10mもの時間を
要する計算です。
10cmF78の望遠鏡があったとすれば、理論的には1カット7h10m露光
すれば、65cmF12で600sec露光した時と同じ極限等級を得られる
というのが星爺さんのおっしゃられていることです。
また、
このM51は何センチの望遠鏡で撮影したのですか? ではなく、
このM51は何mm望遠レンズで撮影したのですか?
と聞くようになることが必然だと言うことです。
確かにカメラの世界では、このF22は何ミリ望遠で撮りましたか?
のような聞き方をしますね。
しかし望遠鏡の世界では、このM51は何センチの望遠鏡で撮りましたか?
と聞きます。
論点は、
焦点距離が同じ場合、適正露光であれば極限等級は同じであり、
得られる結果は同じである・・・
と言う点です。
星爺さんのコメントに、
>星や銀河自体のフォトン数が重要なのは当然です。
>銀外自体とは=単位面積ということですね。
>星は点像なので口径が大きいと短時間露出でも良く
>写りますが、飽和まで露出する(=適正露出)場合は
>口径が小さい(=Fが暗い)とバックグラウンドが暗い
>ので飽和までの露出時間を長くでき、結果として
>最微光星は焦点距離が同じなら同じになります。
>露出が不足した場合は面積体は良く写らないで星ばかり
>写ります。こうした写りの状態を見て
>「大口径は良く写る」と感じやすいのでしょうかね?
>例の公式は、相反則不規のないデジタルになればより
>算数になるので、結果はより正直で理論と現実の乖離は
>フィルムよりも少なくなります。
>これらの概略がどういうことかというと、
>①口径が大きいほど良く写って
>②露出が長いほど良く写って
>③焦点距離が長いほど良く写ります。
>すなわち、望遠鏡の大型化は永遠のテーマです。
>が、①②③は相関関係にあるということです。
とあります。
ハイ、「大口径は良く写る」と感じます。
それは、65cm鏡の場合8622倍もの集光力があり、
7800mmという超々望遠レンズでもF12という現実的な明るさ
を得られるからです。
また、最近の画像処理技術の進歩により、
日本のシーイングでも、前出のM51程度の画像はアッサリ撮影できて
しまうというブレイクスルーもあります。
”日本のシーイングでは1”角以下は期待できない”
”日本のシーイングでは30cm以上の口径は無意味”
本当でしょうか? 様々な画像復元処理法、
ラッキーイメジングやスペックル干渉法によって、
もはやそのような常識は崩れました。
やはり、望遠鏡は口径が大切です。
口径が大きければ、結果的に焦点距離が伸びて限界等級も上がり、
現実的なF値に収まって、実用性が確保できるのです。
焦点距離が同じ場合、適正露光であれば極限等級は同じであり、
得られる結果は同じである・・・
これは正しい理論かもしれませんが、10cmの分解能は1.160"角です。
6cmでは1.933"角しかありません。
大口径、長焦点、明るいF、微細撮像素子、補償光学系、
様々な画像復元処理を使えるならば、口径こそ望遠鏡の性能指標
という考え方は間違っていないと思います。