・300FNは30.5cmF4の短焦点ニュートン式反射鏡筒です。
・短焦点ニュートン式反射鏡筒では、無駄な光路遮蔽を減らす
ため、斜鏡をオフセット配置しなければなりません。
・オフセット配置された斜鏡である以上、レーザとコリメータ
で光軸が一致するように調整しなければなりません。
完全に光軸が合っている状態。
ドローチューブの偏りは、カメラの撮影位置によるもの。
中央のぼやけた黒点は5mmオフセットポイント。
やや右側のぼやけた黒点は斜鏡のセンターマーク。
中央に主鏡のセンターマーク◎が見える。
コリメーションアイピースで見たところ。
ハッキリした十字がスパイダー。
ぼけた十字がコリメーションアイピース内の十字。
向かって右手が主鏡側。
上記状態でのレーザ位置。
これは主鏡のセンターマークへ当たっているところ。
これは、主鏡から戻って来たレーザ光。
光軸調整ツール。
レーザコリメータはVブロックで回転させ、芯ずれ無き事を確認済。
斜鏡のオフセット位置決め用型紙。
完璧です!
さぞかしスバラシイ星像と、フラットな像面を見せてくれることでしょう!
-----------------------
っと、
まあ、分かったようなことを当然のごとく、偉そうに書きましたけど、
ココまでの道のりは長かったあ~~(*_*)
えっ!? アンタはニュートン反射の光軸合わせにも苦労
していたんかい!!
って聞こえて来そうですけどね、そりゃあ斜鏡のオフセットも
無い、しっかりと作り込まれたF8鏡筒ならば簡単なのですよ。
昨今の短焦点ニュートン反射鏡筒は、ほぼ全数が何らかの
斜鏡オフセットを施されています。
1.斜鏡ごと接眼部と反対側へオフセット。
2.斜鏡だけを45度のままスライドさせてオフセット。
3.1.と2.の組合せ。
300FNは2.の方法で斜鏡を”スライドオフセット”してあります。
F2.8などの超明るい鏡筒では3.を採用するでしょう。
300FNの光路図はこんな感じ。
主鏡から852mm付近で90度に折り曲げ、鏡筒面から201mm付近に
焦点面が配置されています。
この場合、主光束をカバーするには短径97.58[mm]の大きな斜鏡を
12[mm]スライドオフセット配置しなければなりません。
実際の短径は88[mm](メッキ面87[mm])、長径124[mm](メッキ面122[mm])
となっています。
仕様上はオフセットされていることになっていますが、
写真に撮ってみると・・・うーん、あまりオフセットされていない?
裸眼で見ると錯覚もあり、大きく左側にオフセットされているように
感じます。購入当初より気付いてはいましたが、金尺で斜鏡ホルダー
などを図っていました。おおよそのオフセットを4.5[mm]と決め、
√2X4.5=6.36[mm]として斜鏡に黒点を打って光軸調整を実施して
来ました。
以前より、光軸調整はコリメーションアイピースで実施しており、
その場合には概ね良好な結果を得ていました。
フルサイズのK-1で撮っても、周辺の星像乱れはあるものの納得
出来る範囲に収まっていました。
ところが、
ここ数年は撮影現場でレーザを使って再調整を実施しており、
これによって以前よりも星像が悪化していることに気付きました。
実際、コリメーションアイピースで光軸を合わせた後、
レーザで確認すると結構なズレがあったのです。
まあこれは、
接眼部が鏡筒中心を正確に向いていないのだろう・・・
とか、
主鏡セルが鏡筒に対して正確に組付けられていないのだろう・・
などと思っておりました。
しかし、
最近の粉DSO撮像をやればやる程、
ラッキーなイメージングをやればやる程、
微小な星像の乱れが看過出来なくなって来ました。
そもそも、何故レーザとコリメータで位置がズレるのかを確かめる
必要がありました。
アホか!って思われても構いませんよ。
恥を承知で備忘録として貼っておきますよ。
2021/06/18 追記
上記画像中に、
”斜鏡のオフセット貼りが何mmであれ、コリメーションアイピースで
センタリングすれば、真の斜鏡位置となる。”
とありますが、これは間違いでした。
コリメーションアイピースだけで、オフセット量不明の鏡筒を
光軸調整することはできません。
・斜鏡を取り外して定盤にねじ止めし、正確に”メッキ面”の
オフセット量を測定した。(3回)
|
+->オフセットは6.36[mm]ではなく、4.95[mm]だった。
・接眼部取付位置に対するオフセット量が5.5[mm]少なかった。
そのため、斜鏡と斜鏡に映った主鏡の位置がズレることが判明。
|
+->ズレていて正しいと言う、教科書には無い現実。
・接眼部から見た斜鏡の左側の無メッキ部(砂ずりコバ)+
斜鏡ホルダーの厚さ分が鏡面同様に円形に観測されており、
ここも含めて斜鏡の外観であると見誤っていた。
|
+->コレが一番のクセ者だった。
と言う事で、一から定量的にやり直してみました。
1.コリメーションアイピースで斜鏡の4.95[mm]オフセット点が
ドローチューブセンターに来るように調整。
この時、スパイダー十字とコリメーションアイピース内十字
が一致するようにすると、ドローチューブセンターに対する
斜鏡の光軸方向の配置、回転も決まる。
2.主鏡センターマークがコリメーションアイピースの中心に
来るように調整する。
3.再度斜鏡側を調整する。
4.再度主鏡側を調整する。
-------------
ここまでで、十分に光軸が合っています。
なーんだ、当たり前田のクラッカーかよ!!って思うでしょ?
だけどさあ~、斜鏡のコバまで含めて斜鏡外観と見誤ったり、
そもそも、オフセットが約5.5[mm]も違っていたら迷いますよ。
いくら調整しても斜鏡オフセットの黒点に乗って来ないし、
乗せてしまうとレーザとの位置ズレが激しいし・・・
それでも、レーザで調整するよりはコリメーションアイピース
だけでやっていた時代の方が良好だった訳です。
レーザで現場再調整をやってしまうと、接眼部平面に対して
光軸がやや曲がってしまっていた訳ですね。
これは、
斜鏡のオフセット位置がどうであれ、
ドローチューブ中心線と主鏡の光軸線の交わりポイントが
1点しか存在しない事に由来します。
コリメーションアイピースだと、それでもかなり良好に光軸が
合っていました。オフセット位置さえ間違えずに黒点を打って
いれば、それだけで十分に実用になるでしょう。
一方、
レーザだけで調整を始めた場合、
一番大切なドローチューブ中心線に対する斜鏡の光軸上配置が
いくらでもOKになってしまいます。
例えば2[mm]主鏡側に寄り過ぎていても、また、2[mm]筒先側に
寄り過ぎていても、斜鏡を調整すれば、いくらでも主鏡の
センターポイント◎へレーザを落とせます。
|
+->この段階で、既に光軸は曲がっています。
曲がった光軸に対して主鏡をいじって接眼部へレーザが戻って
来ても、それでは撮像面が盛大に傾いて片ボケになる道理です。
----------------------
<レーザとコリメータで位置がズレる原因>
・斜鏡のオフセット位置が不正確であった。
・斜鏡の外観を見誤っていた。
以上2点を正したことにより、冒頭画像の様にスッキリと理屈通り
の光軸調整が出来るようになりました。
これで、次回からは現場でもビビらずにレーザで微修正が出来ます。
主鏡の微修正をレーザでやると楽ですからなねえ~(^^♪
----------------------
これだけ固めて尚、全方向振り回しで30[μm]動く・・・
美しい星像を求めて・・・
2021/06/14 追記
1.オフセット斜鏡では正しく打点し、そこへ合わせ込む必要がある。
これは、コリメーション・アイピースでもレーザでも同様である。
2.市販品が正しく作り込まれていることは稀である。
3.最大限合わせ込んで尚、APSC以上ではスケアリング機構が必須である。
4.ニュートン式反射鏡筒では、主光束を100%カバーする大きな斜鏡で
ない限り、画面右側の光量が落ちる。接眼部の配置精度もあり、
光量中心や光量の偏りに神経質になり過ぎない。
現状、300FNの真の斜鏡オフセット量は4.95[mm]であり、
コリメーション・アイピースとレーザで光軸が一致している。
逆に言えば、斜鏡のオフセットが何ミリであれ、コリメーション・
アイピースとレーザで光軸が一致すれば、それが正しい斜鏡配置である。
接眼部や鏡筒精度は仕方なく受け入れ、不足であればスケアリング機構を
設けるしかない。
プライムフォーカスや屈折式望遠鏡は良いねえ~・・・
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