TATSURO SHIBUYA + ARCHITECTURE LANDSCAPE DESIGN STUDIO

アーキテクチュアは建築、ランドスケープは景観。風景を生かす建築環境デザインに取組んでいます。

川合健二邸(ドラム缶の家)

2009-10-18 13:21:54 | サステナブル建築
こちらに来て、ずっと見たいと思っていた建物を見学する機会をいただいた。


川合健二邸(ドラム缶の家) 1966年


北海道の上遠野邸が1967年竣工だから、ほぼ同時期に建ったセルフビルド建築。

川合健二氏は、香川県庁舎など、丹下健三建築の多くを手掛けた設備設計のエンジニアだ。

ドラム缶の家は、その思想において、最小限のコスト、最小限の材料で最大限の居住環境を作るというバックミンスター・フラーのダイマキシオンハウス(1929年)と重なる部分も多いように感じた。

川合氏がフラーのことをどこまで知っていたか、今となっては知る術はないが、フラーの出世作となったジオデシック・ドーム@モントリオール博アメリカ館が1967年竣工なので、当時フラーは日本ではあまり知られてはいなかったのではないか。。

川合邸では、自家発電装置や実際には施工されなかったが床暖房システムまで考えられていたようである。
このことからしても、この住宅の先端性をうかがい知ることができる。

このドラム缶の家は石山修武氏に多大な影響を与えたことは知っていたが、この住宅を知って、セルフビルドで家を建てた方々が他にも少なからずいたことを初めて知った。


一つの建築が、住民だけでなく、様々な人に影響を与えること、そして、この建物が、現在も素敵に住み続けられていることに、建物に関わる人間として元気をもらうことができました。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

固くて柔らかいデザイン

2009-08-07 20:34:15 | サステナブル建築
削り出しの上に削り出し。
金属は固いものだが、時として柔らかく感じる瞬間がある。

ソリッド感と柔らかさ。矛盾するようで共存している。そのバランスが好き。。

建築することは、少なからず環境にダメージを与える。しかし、場所の制約条件に耳を澄まし、環境とうまく応答することで、サステナブルな建築を作りたいと思う。
そんなデザインを目指したい。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金

2009-08-01 22:01:59 | サステナブル建築
世間ではエコポイントがもてはやされていますが、もうちょっと役に立つ補助金の情報。

地域協議会民生用機器導入促進事業

ざっくりいってしまうと、地球温暖化対策に貢献する機器の新規導入や改修に対しての補助金。
薪ストーブやペレットストーブの導入やペアガラスへの改修、太陽熱利用システム、風力発電の導入などが対象になる。地域単位で10件以上まとめて申請すると、事業費の1/3の補助金が出るというもの。
(詳細は環境省のHPで確認。お住まいの地域の地域協議会に確認のこと。)

はっきりいって、補助率は、エコポイントの費ではない。ただし、地域協議会単位の申請になるので、地域によっては取組みに温度差がある模様。。
先日は、青森で夏なのに、薪ストーブの購入者殺到!!とニュースになっていた。

選挙とかエコポイントとか、猫も杓子も同じような報道ではなく、本当に役に立つ情報をしっかり発信するメディアはないものだろうか。。

はっきしいって、こういう便利で有益な制度があるのにもかかわらず、こっちからアクションを起こさないと何もしてくれないのが行政というものなのだ。。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Good design Dieter Rams' ten commandments

2009-07-24 13:32:44 | サステナブル建築


建築を学んだ後、ブラウン社(ドイツ)で長らくデザインを行っていたインダストリアルデザイナーDieter Ramsの言葉。ソースはWikiより。

特に9番目の「よいデザインは環境にもやさしい」は、すごく共感する。
デザインのためのデザインではなく、あらゆる意味で長持ちするデザインこそが
よいデザインだと思う。
そして、これはサステナブル建築にもいえることだと強く思う。

Ten commandments on design
1. Good design is innovative
2. Good design makes a product useful
3. Good design is aesthetic
4. Good design makes a product understandable
5. Good design is unobtrusive
6. Good design is honest
7. Good design has longevity
8. Good design is consequent down to the last detail
9. Good design is environmentally friendly
10. Good design is as little design as possible

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

駒沢オリンピック公園総合運動場 陸上競技場by村田政真

2009-07-20 22:34:14 | サステナブル建築
写真は目黒区のHPより。
久しぶりに自転車。早起きして駒沢オリンピック公園へ行ってきた。
横浜からも意外と近くて、自転車でも1時間くらいで着いてしまう。

お目当ては、芦原義信さん設計の管制塔と体育館だったのだが、圧倒されたのは競技場(1964)の方。
設計者は、村田政真。

ネルビにも引けを取らないくらいの構造美。

力強い造形は、代々木体育館にも引けを取らないくらい。
竣工から45年経っても、私の眼にはとてもカッコよく映った。

なんといっても、丹下健三とは対照的に地面にへばり付くように高さが低く抑えられているのがいい。
建物の造形は、この時代の建物らしく、無骨でブルータルだが、高さを低く抑えることで、将来的に周りの樹木が育って、建物を覆い尽くす。そんなやさしさを感じるような建物である。

スタジアムのような大規模施設で、高さを低く抑えるというのは、構造的にもかなり難しいはずなのに、そこに果敢に挑戦している。
今の建築業界を取り巻く経済原理からすると、こんな形の建物は二度と作られることはないんじゃないか。。

やはり、昔の建物ほど、空間にゆとりや余白があるような気がする。
ゆとりがあるということは、変化にもフレキシブルに対応しやすいということなのだ。


ニューヨークの超高層ビルが今でも現役で使うことができるのは、建物の階高が贅沢に取られていたりして、空間にゆとりがあるおかげらしい。
時代の流れで、空調設備などを新たに導入しても、古い建物ほど、スペースにゆとりがあるから、それを格納する場所が十分にあるのだ。

一転して、今の東京を見てみると、六本木ヒルズにしても、ミッドタウンにしても、建物は、「キチキチ」の密度で設計されている。
はたして、50年後、現在の超高層はどうなってしまうのか。。設計者はそこまで考えているのだろうか。。

建物は建てて終わり、ではない。
単なる経済原理だけでは割り切ることのできない部分も含めて、デザインすることが「設計」なのだと私は思う。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

リニューアルした横浜マリンタワー

2009-06-12 19:40:18 | サステナブル建築
リニューアルした横浜マリンタワー

古い建物をリニューアルした事例としてCLASKAを以前取り上げましたが、このマリンタワーもなかなかよかったです。

デザインひとつでこんなにも生まれ変わるものなのだと、改めて建築の奥深さを感じました。

建物のデザインだけでなく、サインやアイコン、ノベルティといった部分までトータルにデザインされていて、「新しいマリンタワー」というブランド価値にとても好感を持ちました。

今のところ入場者数も好調のようですが、今後も続いていてほしいと思いました。
開港博、中華街とセットで回れるのでお勧めです。

個人的には、レンタルサイクルがあると、もっとよいなと思いました。
周辺を周るのに、歩けなくはないのですが、自転車だと更に楽しいので。。
(以前はあったという情報もあったのですが、今回は見つけることができませんでした。)

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「答えはひとつじゃない」ということ。

2009-06-06 22:15:13 | サステナブル建築
昨日の講義で、とてもよいことを聞けた。

建築教育においても、かつて近代建築が正しいこととされて、何となく、建築も解が一つのような教育がなされてきたということ。

しかし、そうではないということ。
必ずしも、この建物が絶対という解はなくて、敷地や法、コストなど様々な制約条件の中で、答えも変わってくるということ。

当たり前のことですが、改めて、すごく腑に落ちた。

とかく、分析系の研究をしていると、答えは一つ!!みたいな強迫観念にとらわれがちだけれど、きっと、もっと肩の力を抜いてみるのも大切なのかもしれない。

久しぶりにいい話を聞けた講義でした。

なかなか「正解」というのは見つけることは出来ないけれど、たくさんの試行錯誤の中から、「ベスト」と呼べるソリューション(解)を提案したいものだ。



さて、ここでいい話をもう一つ。

建築家H&dMが言っていた言葉。

「建築はワイングラスのようなものだ。」

―どんなワイングラスでも、ワインは注ぐことができるが、ガラスの形状、厚み、口にあたる部分のカーブなどによって、ワインの味は全く変わってしまう。
建築も同じで、設計次第で、いい空間もそうでない空間も生まれてしまう。だから、建築家は、そのワインに合ったよいワイングラス(よい空間)を作らなくてはいけない。

(というような内容だったと思う。間違っていたらごめんなさい。。)

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

箱根プリンスホテル(1978) 村野藤吾

2009-05-27 22:54:43 | サステナブル建築
箱根の名建築と言えば。。
村野藤吾の「箱根プリンスホテル(ザ・プリンス箱根)

村野作品は、昨年「広島世界平和記念聖堂」(1953)を見て以来。

旧読売会館(現ビックカメラ有楽町)(1957)と新歌舞伎座(1958)、横浜市庁舎(1959)など都内近郊の作品は、しょっちゅう見ていますが。。

谷村美術館」(1983)など、晩年の作品は、どこかおどろおどろしいような建築にも特徴がありますが、プリンスホテルは芦ノ湖の湖畔にしっとりと佇む建物。

上品さと優雅さが絶妙のバランスで配されたデザインは、落ち着いた色調と相まって、とても荘厳な印象を受けました。

ホテルの宿泊料金も以前では考えられないくらいリーズナブル。
一度は泊ってみたい場所の一つです。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サステナブルか、サスティナブルか、はたまたサステイナブル?

2009-05-11 23:35:12 | サステナブル建築
とある申請書書き。
細かい文言で悩み中。


サステナブル:約 409,000 件
サスティナブル:約 458,000 件
サステイナブル:約 353,000 件

(2009年5月11日23:35,google調べ)

なんだか、調べる時間によって、結果が大きく違うのだが・・・。

ひとまず、「サスティナブル」が一般的なのかもしれない。


おおもとの持続可能な開発を調べると、Wikiでは、「サステイナブル・ディベロップメント」となっており、また混乱。。

Sustainableなら、ひとつなのに、日本語って、ややこしい。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

芝の家

2009-04-27 22:27:22 | サステナブル建築
港区と慶應大とで共同運営を行うコミュニティ拠点施設「芝の家」の説明会に行ってきました。

三田キャンパス近くの昔ながらの木造密集地域の一角に、それはありました。
空き家を再生したスペースは、いわば地域のサロンのような場所。
子どもからお年寄りまで、みんながふらっと立ち寄れるその場所には、とても居心地の良い雰囲気がありました。。

先発の「三田の家」同様、これから地域コミュニティの再生拠点として、その活動が期待されます。

持続可能な建築同様、人の活動やこうした「場」づくりが、サステナブルな社会には必要だと私は思います。
これからも注目していきたい活動の一つです。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする