TATSURO SHIBUYA + ARCHITECTURE LANDSCAPE DESIGN STUDIO

アーキテクチュアは建築、ランドスケープは景観。風景を生かす建築環境デザインに取組んでいます。

釜屋建て民家/地域固有の屋根のデザイン

2011-06-14 23:48:11 | サステナブル建築
新城市桜淵公園に隣接して建てられている釜屋建て民家を見学した。



釜屋建てあるいは釜屋造」とは、この地域固有の民家の屋根形式て、寄棟風の屋根を90度回転させて2棟隣り合わせて設置した民家の形式。

非常に珍しく、大胆な屋根の架け方だ。
この地域の温暖な気候が登り梁を廃し、それほど大きくない部材を用いて屋根を架けるというこの地域固有の「解」を屋根に見出したのだと思う。
書籍で見たときは目を疑ったが、実在する建物を目の当たりにして大変興味深かった。

特に、屋根と屋根の軒先が接するところでは、当然ながら、雨水の納まりが難しくなる。
そこに、木製で幅広の横樋を豪快に架け流している。

雪国で用いる「無落雪屋根」の考え方に通じるものがある。

残念ながら、建物はひどく傷んでいて、横樋も後付と思われる2次製品の樋が設置されていたが、その朽ちかけた佇まいもなかなか味があるものだった。

いま現在完全な形で残っているものは、愛知県内ではこの復元された住宅と「望月家住宅」の2棟を残すのみだという。

こうした地域固有の「解」の価値は、残念ながら地域の人々はあまり意識することがない。
こうしたお金に代えることのできない「資源」を建築にどのように活かしていくのか、建築に携わる者の良識が問われると思う。

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