どうでもいいこと

M野の日々と52文字以上

てつがくカフェ残りネタ

2013-07-11 03:29:18 | インポート
Dsc_3769


用意していたネタの中で、これはと言うのがあったのだが、結局使わなかったのがある。

DJポリスだ。

これのどこが「震災後の共同体のゆくえ」なのかと思うかもしれないが、実はオオアリクイなのだ。
行政から見た次の形なのかもしれない。

ワールドカップ予選で日本が決勝進出なるかと言う時、渋谷スクランブル交差点前に巨大な雑踏が出来るのは間違いがなかった。警察はそこで機動隊員まで動員して警備体制を作りました。あのスクランブル交差点ぜんぶを両手広げて線を引ける人数、角では肩を付けて並ぶ人数。少なくとも400人以上でしょうか。報道でも数百人とアバウトですが、多分その程度だろうと。バックアップまで含めれば1000人近いのではないのかと思います。


さてそうなると当然反発も起きやすくなる訳です。残った映像から見る限り警察もかなりその辺は気にしているようです。ソフトな対応をしようとしています。
ここで後方支援というか広報支援したのが、このDJポリスの話術でした。

この話しを聞いた時に、ああやっぱりと思ったものです。この話術は心理学・行動心理学を駆使して作られていると感じたからです。代表が「おまわりさんもうれしい」でしょうか。自分も共感していると表明して、「皆さんは12番目の選手です」と自覚させ、サッカーも公共の場もルールを守ろうと言います。そしてサッカーのルールとあわせて「イエローカードですよ」という。
共感を取る、次に自覚させる。次がないまぜにした上で自発的行動を起こすような発言をする。

これは ITで言われるアーキテクチャーの手法です。制度設計やほんのちょっとを工夫する事で人をどう誘導出来るのか、心理学や社会学まで使かって考えたものです。
解りやすい例えでは、ウエッブのバーナー広告でしょうか。広告が邪魔にならないようにしながら目立つようにどうするのか、そして効果的であっても見る人のシステムによっては本当にジャマなだけにならないように、様々な工夫が凝らされています。出来る限り衝動的にポチっとするようなれば良いのですが、衝動的では後々トラブルにもなりかねない。どう誘導するのか、が問題です。出来れば自発的にポチっとしてもらいたい。

アーキテクチャーの手法ですが、「自発的に」誘導するのがポイントです。人から強制されたのではなく、自分で選択して「自発的に」選んだものが一番満足出来る、と言うのが人です。そうなるようにする、と言うのが今後の行政課題です。
ただ根幹からの制度設計は難しいと思います。法や法令のしばりが大きいからです。ただ出来る所で、窓口業務や警備ではじまっているのかと考えています。


今回の件では、警備誘導コンテストが警察内であると言う事が解りました。彼はそのチャンピオンなのですが当然想定される事態での言葉は用意していたと思います。伝わる限り、半分アドリブと言う事は半分は用意してあったと言う事です。

それは当たり前ですよね。私でも絶対準備します。というかチャンプなら完璧に準備したでしょう。
それが彼個人だけかどうか、なのです。


憶測ですが、警備計画の中に彼の台詞は入っていたと思います。

実は彼が表彰された時に、考えたのです。なぜ彼が表彰されたのかです。確かに警察しかも機動隊のイメージを変えたかもしれません。賞としては一番ランクが低いのですが、本来は今回の警備隊長にあたえられるものが、彼に与えられた事に、とても違和感を感じるからです。

もちろん警視庁も柔らかくなっているのでしょう。上下とではなく。
ただ火消しに回っているように感じるのですよ。なので一気に表彰してコイツ凄いで終わらせようとしているのかと疑うのです。

組織として計画したと思います。


今の所、こういった手法はもっと増えてゆくと思います。その時まったりと暮らせる環境が出来上がるのですが、あんまりうまく行き過ぎると、悪い事しか起きなくなるような不安を感じています。

マキャベリだったと思うのですが、良い君主が3代続くと人民に悪いことが起きる、みたいな事を書いていたと思います。アーキテクチャーの手法は、そういた危うさを持っています。


今現在知りたいのは、あそこで日本が負けた場合のDJポリスの用意した原稿だ。これはあるはずだ。



プライスコレクション後期を見てきました

2013-07-11 02:59:14 | インポート
Dsc_3767


さて岩手県立美術館でのプライスコレクションも後期展示にかわり、残す所5日となりました。
梅雨空の中、行って見ました。


Dsc_3770


太田地区の田んぼです。今年は豊作になるでしょうか。多分この田んぼチッソ分が多いようです。葉色が濃いです。今年は多分猛暑ですが、お盆過ぎにガックっと気温が下がる可能性もあります。そうなったらイモチ病が出るんでしょうね。


Dsc_3771


水曜日の三時過ぎを狙っていったのですが、つまりガラガラを期待したのですが、駐車場が満員です。タクシーまで行列を作っています。
タクシーの運転手に聞くと、こんなのモネ展以来だとのこと。歴代でもトップクラスの入館者のようです。


Dsc_3772


県立美術館は畑や田んぼが、すぐそばにあります。隣の公園もちょっと草刈りが甘くて、野趣に富んでいます。


Dsc_3774


さて二階にある芦雪の黒牛図・複製です。記念写真も撮れます。

やはりですが、表具を見たり印を見たり、落款や賛を読んだりするので時間がかかります。今回改めて見て、面白かったのは、曾我蕭白の落款。前も気になっていたのですが、「蛇足直下十世孫」とあります。室町期の曽我蛇足という画家にインスパイアされて画風を築いたと言う意味でもありますが、それを直下十世孫と言い切る所に、自負と自分を大きく見せようという意味合いがあります。しかし蛇足という絵描きが本当にいたのかどうかと思うのですが、どうなんでしょうか。江戸時代まで名のしれた絵描きだとすれば現代でも何点かありそうな気がするのですが。今の所、伝承があるのが一点です。
曾我蕭白の場合、室町期の蛇足と言うより、そのあたりの禅林の絵画の影響のような気もするのですがどうなのでしょうか。蛇足と言う雅号も、禅林の影響を感じますし、それ以上に絵描きとしてへりくだった印象か、もしくは本当に書きすぎる画家だったのか。少し自虐の号でもあります。


Dsc_3776


今度は白像図です。しかし芦雪と若冲を混同している拝観者がいるのはオドロキでした。


若冲の落款も面白いものです。「平安城若冲居士藤汝鈞画於錦街隠室」となっています。隠居後の画だと言う意味ですが、伊藤汝鈞と書いていないのがなぜなのかは解りません。他にも違う落款があります。最晩年になると、また違う落款になっていたりします。なんというか使い分けがあったのか、年代別にあったのかは解りません。
ただやはり字体が面白いです。清朝期の字体の影響なのかどうか、何かそんな感じです。このあたり、賛助出品の葡萄図屏風の落款と見比べれば面白いかもしれません。



Dsc_3777


あと美人図で、字ををあえて左から書いているものがあります。本来は右から書くものなのですが、筆跡をたどるとどうも右利きの画家です。つまり左から書くのはかなり難しいのですが、もの凄くうまいです。なんでそうしたのかは解りませんが、なんか意図はあるはずです。
歌川国直の料理屋梧桐林店頭図の賛も面白いです。

後期は、円山派の絵画がまとまって出ています。この辺りも見所です。応挙の赤壁図なんか見所です。青い墨色と筆線がとても美しいです。円山派が流行る訳ですよ。

そう、墨って実は色があるのですよ。そして落款で濃墨を使う場合のテクニックもあるのです。濃墨って時間が経つと固まっちゃうんです。それをどうしたのか。ここいらも見所です。


Dsc_3778


もうここまでまとまった江戸期の日本画を見る事はそうないのではないのでしょうか。落款を間近で見れるのもそうそうないです。
酒井抱一と鈴木基一も飽きるほど見れました。いやなんでこの二人が伝統的に有名なのかよくわかりました。
もう芦雪とか若冲なんか使いにくい絵画だったのは間違いがありません。明治期ならなおさら使いにくいと思います。もう枠を外れていますから。

このコレクション、もしかすると南画がない。あの元祖ヘタウマがないというのが面白い所です。もしかすると来日の際に除いたのかもしれません。美人画では系統だったコレクションなのに、南画がないと言うのは実は良く解ります。
ヘタウマ作品は、偽物が多すぎると言う事でしょう。おまけに本質的な魅力のある画が少ないというのがあると思います。

江戸期の美術は、解りやすいんだけど解りにくい。日本人だから解る部分もあるのだけど、当時のあの古典文学やら歴史物にやたら博識な人たち、人口の20%以下の人たち、そのトップが愛した画です。おまけに道具です。

なにか負けた感が残りました。

伊勢物語を読み直すとするか。