県庁と同じパノラマから始まります。全体ではビルが多いのですが、ここだけボコっとへこんでいます。実は南部藩の盛岡城(不来方城)の史跡です。南部藩は維新のとき奥羽六藩同盟の最後に残った藩です。なので官軍から徹底的に城が壊されました。残された武士たちも維新政府に協力して、盛岡の行政部を作るため家屋を進んで提供したようです。
古い写真を見ると、官庁と学校が並んでいます。
さて桜山稲荷をアップで見てみます。新しい家がない事に気がつきます。実はこの土地は、たまたま学校の移転とかあって使われなかった土地に、市が立ったのが起源なようです。これにはもう一つ話しがあるようです。
国土地理院の航空写真に米軍の撮影写真があります。撮影が昭和23年ですが既に門前町が出来上がっています。
盛岡は爆撃にあわなかった土地です。そのため軍の施設が残ったため引揚者の受け入れも行いました。経済が止まった状況で、市が立ったようです。完全に伝聞ですが、初めに駅前に市が出来たようです。ただそれでは交通の問題があったので、いったん移転したのが桜山稲荷の境内でした。しかし史跡だったので移転します。盛岡の神子田にある朝市はその名残のようです。
それでも残った人がいるようです。写真には明らかに建物が写っています。
昭和40年の、国土地理院の写真です。実はこの掲載、許可を取っていません。一応著作権の切れた映像なはずですが、あまりいい事ではありません。なので文字を打って加工しています。
その上で国土地理院様、この写真は私が購入したものだから見逃して?
先の航空写真は映像が悪かったと思いますが、この映像はかなりいいものです。
この12年間の間で桜山稲荷の境内が固定化されて来ているのがわかります。
戦後のドサクサで建物が建ってどうしようもなくなっている実例です。盛岡市は土地の借地権を認めています。借地賃も戦後価格で維持しています。ただ盛岡市の設定した借地権には、建物の立て替えを許可しない事になっています。内装の変更は許可されているので、ずっと残ったまま今日に至ってます。
なお、立て替えなしでどうやって建物を維持出来たかと言えば、魔法があります。柱と屋根さえあれば建物なのです。柱は4本ある必要はありません。そこまではやっていないにせよ、まめな改修で維持してきたのです。
昨年騒動が起きました。盛岡市側がすごい提案をしてきたのです。発掘に協力した場合土台からの立て替えを許可するというものです。ここは市の土地ですが、史跡なので文化庁の管轄地でもあります。盛岡市としても観光地として整備して行きたいし、そのためには文化庁からのお金も欲しい。城内にあった県立図書館を史跡博物館的なものに整備し、観光拠点としててこ入れをしたい。桜山の境内は史跡としては都合が悪いのです。そこで、発掘調査と土塁などの再現、堀の再整備等のプランを文化庁に、町内会には立て替え出来る事を提案したのです。
ものすごい二枚舌なのですが、盛岡市はここで大きなミスをしました。町内会から市議会議員が出ているにも関わらず根回しを怠りました。そして町内会への説明会のときに文化庁に提出する図面を出してしまったのです。
その図面は暫定のもので文化庁向けだったため、町内会が大幅に妥協をしないと無理なものでした。盛岡市としては文化庁にはこれで行きますといいながら、やっぱり無理でしたと言い訳をする予定だったようなのですが、これで町内会は反対で一致。
さらにこの土地の実態が話しを複雑にしています。実は全部盛岡市の土地ではないのです。所々に小さく民有地があるのです。なんでこうなったのかはもはや歴史の影に隠れてしまっています。
この騒動は、一般市民を巻き込みました。あまりここで酒を飲んだりしていない人も、市の横暴だと感じたようです。まあ古い人でなければ、江戸時代から続いていそうな門前町に見えますから。
なお私の意見ですが、ちょっと町内会のエゴが強すぎるように思います。代々ここで商売している人はわかるが、建物を持って賃貸ししている人もいる。もう当初の避難民の保護から意義が外れている。
お堀の水質汚染の原因を作った過去もありますし、この一等地で商売してきたのだから移転するなりの費用もあるだろうに。手にした権利を永遠にできるチャンスをつぶしてしまったと考えています。
まあその市議会議員はがんばりました。そしてついに市長から計画の撤回を取り付けました。しかしそのがんばった市議会議員は今回の選挙でブービー落選。正直な所この町内会にはあきれています。
そういった歴史の詰まった桜山の境内です。ここには勘定所があったようです。
今後どうなるのかといえば、盛岡市は文化庁からしかられる事必至です。二枚舌がバレてしまったのです。もう二度とこの手は使えないでしょう。文化庁は更地に一旦する事を求めてくるでしょう。そしてこれは本当の事ですが、消防法上問題のある施設ばかりなので、イザとなったらこの手で営業停止も可能です。盛岡市はこの手段は取らないようですが、将来的に文化庁のクレーム次第ではあり得ることです。
とりあえず住民の方々は、火の用心と麻薬だけはくれぐれも気をつけてもらいたいものです。