自分は金融アナリストでもなければ、政治記者でもない。なのでこれは素人の推測だ。
安倍晋三自民党総裁が、金融緩和によるインフレ誘導を言ってからすったもんだがあった。実は日銀の国債引き受けに言及したと言うのは新聞各社の誤りのようで、安倍総裁はその後市場に流通している国債の買い付けなどだと限定している。建設国債の引き受けは考えているようだが、これは年間5兆円程度なので市場にインパクトを与えるほどではない。とは言っても自民党の掲げる国家強靭法による建設が100兆円とも言われているので、もしもこの法案と建設国債日銀引き受けが合体したら、それはインパクトはあるだろう。
さて安倍総裁の発言から一気に円安に振れた。これを報道では安倍総裁の発言を受けて市場が動いたと言うが、本当の所はどうなのだろうか。
実はドル高要因がある。
ロイターの記事だけでも注目すべき記事がある。
シェールガス革命で長期的にドル高加速の見込みなんてどうだろうか。
ここではシェールガス革命でアメリカが世界最大の産油国になり国内エネルギー問題が解決され、経常赤字が減ると見られている。後半で日米比較がある。
「こうしたなか、日本に目を向けると、円は高い流動性を背景に逃避先としての魅力を備えているものの、その一方で、貿易収支はこのところ赤字が続くなど日本経済の見通しは依然さえない。また2011年3月の東日本大震災に伴う原発災害以降、日本のエネルギー輸入依存が高まっていることも見逃せない。
日米はいずれも純石油輸入国であることから、石油価格の値上がりがドル/円に及ぼす影響はこれまでほぼ皆無だった。しかし米国がエネルギー資源を自給できるようになれば、石油価格の値上がりに伴い状況は変化せざるを得ず、実際に「多くの投資家が現時点でドル/円のロングポジションに関心を寄せている」(ドイツ銀のFXストラテジスト、ダニエル・ブレホン氏)という。」
つまり円は今はいいが、将来的には不透明だ、特に震災以降のエネルギー問題は大きいと考えている向きがあるようだ。
さて現実はどうかと言えば、おなじくロイターでこの記事なんてある意味衝撃的だ。
投資ファンド米大統領選直後の30年債入札で大量落札
アメリカが財政の壁にぶち当たり、中産階級以下の大打撃で不景気になると言う短期リスクから、投資ファンドがアメリカ長期国債を買ったと言う事だ。確かにアメリカ国債は株式に比べれば安全だが、長期債となればこれはまた違う。短期的には厳しいがアメリカの将来は明るいと彼らは考えていると言う事なのだろう。外国投資家が減ったのは、現在短期が不透明なために一旦手じまいの感じがあるからか?外国中銀の落札が減ったのは、ドルの備蓄も十分にあるが各国とも外貨備蓄には財政が許さないと言う事なのだろうか。
現実に2012年の世界選挙の年だったが、体勢が固まりつつあるが先行きがイマイチ明るくなっていない所がある。そこで市場が手じまいにかかっていると考えている。特に円は投機的水準に達してからもう何年なのかと言った具合だ。しかもだ、震災があったにもかかわらず進んだのだ。ファンダメンタルと円高は関係なかった。
ここで市場はタイミングを模索していただけだ。オバマが再選され、ユーロが小康状態にある時点で次のターゲットに移っていたのだろう。実際格安だった韓国ウォンが高くなった。
安倍総裁がこのタイミングを狙って発言したのだとすれば、かなりのものだろう。しかし次期首相候補であって、首相になれたとしても今の野田首相より厳しい運営が予測される。ねじれ国会は収まったとしても小党乱立で、どの政党と連立を組んでも、政局運営だけで胃炎になりそうだ。これは誰が見てもそうだ。現在安倍総裁の言っている事がすべて実現する事は、全くない。市場もそれはよくわかっているだろう。その上で、顧客への言い訳のタイミングを狙っていたと考えるのが、ただしいと思う。
安倍総裁の、日銀への勝利宣言はいかにも稚拙と思う。私が安倍総裁を嫌っているとしても、そうだろう。彼らを手なずける前に、敵としてしまった。
しかしだ、敵味方の二原論でしか物事を語れないマスコミも、納税者も問題がありすぎる。ここまで来ると、日米構造協議と言う外圧は、以外と正しいものなのだと認識し直す。
2013.1.10追記
最近では80円半ばで安定して来ているような円安ですが、これと民主党がどうのと言うより、やっぱりあの経済恐慌寸前の状況で、何も出来ない状況にあったのかと思います。その上でやっぱりアメリカの経済政策がとんでもなく大きかったと思います。壮絶な火消しでしたから。例えれば核爆発を止めるために、小型の水爆を投下したようなものです。
理論的には正しかったのですが、日本やスイスに思いっきり飛び火しました。
おまけにEUでしたから。
話しの前後をいわずに、一言。だれだ、通貨の誘導はダメ、自由主義経済にあわないと言っていた奴は。日銀ではないよ。
さて突っ込みどころ満載な記事ですが、確実にいえるのは約束を守らない奴は、市場から排除されると言うことです。民主党の政策と実効の反面から極端に動く事は避けてもらいたいものです。とはいっても自民党はどうもそれがうまく出来なさそうと。
市場は判断しているフシもあります。国土強靭法案がどうなるのかが見所です。この時点で日本の銀行が国債をどう扱うのかが楽しいポイントになるでしょう。
国家が地球に飲み込まれつつある、そういった危機感を、あの右翼言説以外で欲しい所です。