どうでもいいこと

M野の日々と52文字以上

料理屋の材料偽装?

2013-11-04 18:54:08 | インポート
最近また食品偽装事件が続いている。阪急阪神、名鉄、近鉄系のホテルで使用していた食材の産地と、表示していた産地が違ったりした。エビでは、元々の名称の混乱があった。特に中華料理ではサイズでしかエビを区分していなかったのに、それを芝エビとか大正エビと翻訳していたのが間違いだった。


こういった産地の問題がなぜ今問題になるのだろうか。過去には船場・吉兆の偽装事件があった。これは経営者の確信的な犯行だった。おまけに超一流の料亭での事だった。支店もあるがかなりこじんまりとしたものだ。本来守れるものを守らなかったと言う点で、かなり悪質性が高い。
料亭は接待で主に使われるから、かなり始末の悪い話しだった。接待した側もされた側も、しばらくは気まずかったろう。


昔、港町の民宿の料理を撮影した事があった。そのとき私に社長が全部のメニューの産地を説明してくれた。一番驚いたのは、あわびのとびっこあえだった。アワビはロコ貝でししゃもの卵のトビッコはロシア産だった。これは冷凍、これはどこそこと、その港で上がったものは一点しかなかった。
さすがにこれは過去のものだろう。とはいえ、2食付きで6000円の民宿ではこれでもがんばっているのだろう。だから彼らは、何も言わすに食事を提供していた。今日浜で上がったものだとかは一切言わなかった。


エビに戻るが、本物の大正エビを食べられた世代はいつ頃までだろうか。多分80年代を境に食べられないものになっているはずだ。で、消費者は以外と解っていたはずだ。90年代に大正エビとブラックタイガーの偽装事件があったと思う。もうこの頃には決定的に大正エビの価格は高騰して庶民の口には入らなくなっていた。
この辺りから、産地表示が始まったと思う。その前には大正エビと書かれていたものがブラックタイガーと書かれるようになった。

この頃からだろうか、ファミリーレストランが流行りだした。だがその価格はよくよく考えても安すぎた。確かにアメリカ産の牛ステーキ200gが1200円だった。もちろんご飯もスープとサラダも付いてだ。原価30%と言われる世界だから、400円の原材料だ。肉の占める割合が半分として、この牛肉は100g当たり100円になる。

100円のサーロインはない。少なくともスーパーで見ている値段ではない。でもこれが可能になるのが大量買い付けだが、農産物ならではのバラツキからは逃れられない。そこを安定させるのが、実は加工肉だったりする。
不安定なものよりは安定した供給の方がいい。そう考える人は必ずいる。だから仕入れはそうした。

ちなみに阪急で仕入れていた加工肉だが、キロ3000円と言う。同等品の加工していない肉はキロ6000円という。値段は確かに倍違う。加工賃を入れたら四倍以上違う肉だろう。
しかしスーパーで、グラム300円の加工肉があるだろうか。そして加工していない肉がグラム600円と言う事は、どこのスーパーにでも並んでいる牛肉の話しになる。現実には「別格」の加工肉だったのだろう。


今回凄いと思ったのは、何食出たのかカウントしていると言う事だ。ここはさすがだと思う。吉兆の時には何食でたとか報道がなかった。把握していないのだろう。
次なのだが、彼らの技術を持ってすれば、誰にも加工肉だろうが何だろうがバレないと言う事だ。さすがに吉兆ではバレていた。理由は客層が違う事と単価の違いだ。
嘘をついたのは悪い。だが飲食業と言うのは、正直だから良いと言うものでもない。そのサービスから調理技術までを持ってこそ価格だ。わたしはそう思う。

しかしだ。このホテルの経営者は、料理人を単なるオペレーターだと考えていたのだろうか。だから偽装したのだろう。それでは余りにも料理人がかわいそうだ。


PS
この記事を書いてから、更に話しは混迷している。各部門が独立しすぎてタコツボ状態になっているからこういったことが起きると言う記事もあったが、もう少し複雑かもしれない。
1)食品工学の発展
これは大きいと思う。加工肉もそうなのだが、例えば圧力釜での高圧調理、いや更に超高圧の調理法や、逆に減圧調理法などなど、様々な調理法と機材がある。酵素で柔らかい唐揚げ粉なんてどこのスーパーにもある。

そう言った技術が大きいと思う。コストダウンを指示されても同等のものまでもってゆけれる技術がある。

2)ブランドへの依存
これは誰もが指摘するが、そうだ。だが今現在そのブランドでがんばれるホテル飲食がどの程度あるのかは解らない。かなり厳しい状況にあるのではないのだろうか。昔は高級洋食はホテルの代名詞だったから、食事だけでもお客は来た。だが今では選択肢は広がっている。競合が増える中で苦境に立っているのは確かだろう。


3)客の頭の問題
残念ながら、今回どっかのホテルで「ステーキが固い」と言うクレームで加工肉にした例がある。もちろんそれはそうなのだろう。だがそれは150gで1万円のステーキの柔らかさをもとめている。もちろんホテルのブランドがそう言った思い込みを持たせているのだろう。
だが3000円の定食の肉は、固いだろう。それは解っているはずだ。

対顧客満足度を高めるために、偽装したと言うフシもある。


牛肉の塊を焼いたものはステーキだと思うのだが、その生肉に脂肪を注入した加工肉を焼いたら、ステーキではないと言う、その論理がよくわからない所がある。法律はよくわからない。

ステーキって何だろう。小さい牛肉が焼き肉で、大きくなるとステーキだと思っていたのだが。