どうでもいいこと

M野の日々と52文字以上

ついにエボラ?

2014-10-28 03:50:35 | インポート
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産經新聞だ



男性は日系カナダ人ジャーナリストで、8月18日にリベリアに入国。首都モンロビアに滞在し、今月18日に出国した。その後、ベルギー・ブリュッセルに滞在していたという。

27日午後4時ごろ、ロンドンを経由して羽田空港に到着。検疫所で滞在歴を自ら申告し、空港で体温を測ったところ37・8度あったため搬送された。

エボラ出血熱などの1類感染症に対応する国立国際医療研究センター(東京都新宿区)に搬送され、国立感染症研究所村山庁舎が男性の血液を検査しており、28日未明にエボラウイルスかどうか判明する見通し。




ちょっと文面を読みやすく入れ替えた。強調も入れたし、削った部分もある。原文はリンク先で読める。なおこのカナダ人の男が乗って来た全日空機には206人搭乗している。となりの席に座っていた人なんて今から戦々恐々だろう。




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エボラウイルスは、症状が発症した患者との接触感染でしか観戦しなといわれている。CNNだ



2次感染した1人目の看護師、ニーナ・ファムさんの治療にかかわった別の看護師は16日、CNNとのインタビューで、病院から与えられた防護服では首の部分が覆われていなかったと明かした。病院側に「どうして口や鼻に近い部分が露出しているのか」と尋ねたが返事はなく、新しい防護服を発注済みだとだけ告げられたという。



看護婦の手順違反があったと政府は発表しているが、そもそもダラスの病院では手に負えなかったのが解る。そして日本の対応だが、全国で45施設92床しかない。そしてエボラやマールブルクに対応した事はほとんどない。そして検査体勢だ。バイオセーフティレベル4の施設は国立感染症研究所だけだ。そして地域住民からの反対でレベル3でしか運用出来ない。特例で動かすのだろうか。法改正が必要なはずだ。





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WEDGEの緊急特集「 エボラウイルス出血熱」がかなりいい。ここから引用して行く。


「日本上陸も秒読み!? エボラウイルス米国人看護師感染の意味」の最後の編集部注。


厚生労働省は、「感染疑い段階の検体は感染研で取り扱うことができ、簡易診断までは行うことができる」としている。ただし、確定診断を下し、その後の治療につなげていくためには、ウイルスを抽出・分離した状態で扱うことが必要になるが、BSL-4レベルの第一種病原体等取扱施設としての指定を受けていない感染研ではエボラウイルスを扱うことができない。




さて実は日本には画期的な検査法がある。長崎大学が開発した物だが、エボラに感染したかどうかは確か2時間で判断出来る。だが国立感染症研究所ではPCR法を使うようだ。だから28日未明まで検査がかかる。精密測定にはいいのだが、スピーディーな判断が求められるエボラウイルスのような物だとPCR法は不向きだと思う。最新検査法が使えないのは法令関係だろう。



そして疑陰性というが、発症はしているがウイルスの数が少なく検出されない事も多い。「エボラ防衛のハードル
「偽陰性」と「自己申告」」




エボラの発症(通常は発熱)から72時間以内は、血液中のウイルス量が少なく、感染していても陰性とでる「偽陰性」が多いことが知られている。シエラレオネにある「国境なき医師団」のエボラ患者管理センターからの報告では、発症直後にPCRの検査を実施した14例中8例が偽陰性であったという





スピーディーに繰り返し検査する体勢が最も望ましい。だがそれでは医療従事者の2次感染が起きる確率が高くなる。ここも問題になる。




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そして問題なのは、エボラがあるかどうかを検査するのはレベル3の施設で出来る。しかしエボラがあると解っている物にはレベル4の施設でないと検査出来ない。



「エボラ患者は入院できても退院できない レベル4ラボを正式稼働せよ!」




厚労省によれば、「エボラ疑い」の段階の患者から採取された血液検体は、レベル3の施設でも取り扱うことができる。そのため、エボラかどうかの診断までは現状でも下すことができる。しかし、エボラと確定して以降は、エボラウイルスの含まれた血液などの検体を、レベル3で扱うことができなくなる。




エボラだと確定してからは、治療方針として血液内のウイルス量を見ながら治療方針を立てなければいけない。しかしそれが出来ない状況だ。だからどうなるのかと言えば、当てずっぽうの治療をするしか無く、それで治ったとしても、体内にウイルスが無い事を証明する手段が無いのだ。


もちろん手段はある。海外に検体を送る事だ。だが医療としてはその時間が問題だ。届いて検査して、その間に急変する可能性もある。この記事では、このままでは患者は延々と隔離される可能性もあると書いている。




なぜこんなことが起きるのか。これは住民の反対で起きる。


「長崎大学病院敷地内にエボラウイルス等扱うBSL-4研究施設開設へ」



BSL-4研究施設は、日本にも2ヶ所あったが、万が一のことを心配して住民が反対運動を起こし、格下げ研究施設になり、存在しない。




この記事全体では、情報としては反対と推進を等しく扱っているが、筆者が「長崎県には、東シナ海に向け多くの島々があり、そうした島など隔離された場所でのBSL-4施設の建造では、万が一の問題も少ないだろうが、市内での研究施設建造は問題がありすぎるのではなかろうか。」と批判的だ。



ただ現実に長崎大学ではエボラやマールブルクのワクチン開発の基礎研究を行っている。だがその度に海外の研究機関に試料を送って検査してもらう体勢が続いている。日本にレベル4の施設が無いからだ。そして海外からその体勢がかなり批判的になっている。先進国と言われる国で。レベル4が無いのは日本だけなのだ。ベラルーシやチェコやシンガポールや南アフリカや、ガボンやインド・台湾、なぜかスウェーデンにあっても日本には無い。


だから海外から批判される訳だが、それを国辱とか言うつもりは無い。だが、こういった施設が近くにあれば検査が早く、治療も早くなり致死率が下がるのだが。


デング熱でも誤診があったと思うが、医師でも思い出せないくらい滅多に無い感染だ。エボラならほぼあり得ない物だった。それが今目の前にある。




ただ住民の反対も良くわかる。日本にはタタリ神の信仰がある。そしてこういった病原菌やウイルスを扱う学者への不信感もある。その上レベル4が作られた頃はバイオブームだった。レベル4は強毒性ウイルスを扱える。そして遺伝子改造するのではないのか、という怖れがあった。そう、科学者は信用されていないエリート達だ。それがうっかり漏れだす可能性はある。そして地域からすぐに逃げ出す人たちだ。地域の安寧に貢献する事は無い。

タタリ神を取りなす神官は、地域にずっと住む人だ。コミュニティの中にいる人だ。だから安全。子供の頃から知っているし行動も把握している。しかし新しいタタリ神を祀る神官はコロコロ変わるし地域に根ざさない。全く安心出来ない。そういった所があると思う。



我々は、ダイオキシンやらセシウムというタタリ神を新たに加えてしまった。そしてデング熱とエボラを迎えてしまったようだ。ただこの神の祭り方は解っている。エボラは祭り方がまだ良くわかっていないが、初めにきちんとしていれば致死率は下がると言うのが解っている。



エボラはもの凄く複雑な事を思い出させる。ワクチンを作るにしてもレベル4の施設が必要になる。そしてワクチンを投与した場合発症して死亡する人が出る可能性がある。または別な障害が起きるかも知れない。そしてワクチンの効果を調べるために、違う薬を投与する方法がとられるが、その違う薬を投与された人が「オレはエボラは怖くない!」といってかかってしまうかも知れない。そして死んでしまったら、倫理的に大問題だ。


それでは死んでもいいと言う人を集めたら?それはとっても問題ではないのか?自殺幇助になる可能性もある。一筆書かせたとしたら、それがどう解釈されるのか解らない。計画的殺人として扱われるのだろう。





人類全体に対するベネフィットとは何か?以前はSFでしか取り上げられなかったテーマだが、現実に目の前にある。この解答は無い。エボラ多発帯で大虐殺が起きていない事が救われる事だ。