庄内南部地域連携パス推進協議会講演会
本年度の講演会は、以前より連携パスの研修会などでお世話になっている北里大学の下村さんをお呼びしました。
これからの地域医療の課題と方向性、あらたに導入された退院支援加算1、と次期に予想される診療報酬の改定、クリニカルパスの定義と基本的な知識、地域連携パスの役割とその必要性など、広範にわたる内容で、大変興味深く勉強させて頂きました。
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演題:地域医療の処方箋と地域連携パスの役割
演者:下村裕見子
北里大学大学院医療系研究科臨床医科学群精神学
日時:2017年9月12日 18:30-20:00
場所:荘内病院講堂
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良いリーダとは
状況判断、目的の共有、評価、分析できる人材。
人口構造の急速な変化
急速な人口構造の変化(例をみない高齢化のスピード)
地域差があるのに、制度は一律
高齢者が働き続ける社会
地域の経済活性化も同時にやらないと医療は良くならない
高齢者医療の特徴
おなじ病気でも、若い人と高齢者では異なる
75歳以上は術後合併症が多い
ケアサイクル(長谷川):後期高齢者は医療と介護のケアサイクルを循環する
医療を受ける場所の変化:時々入院、ほぼ在宅
その対応としての、地域包括ケアシステム
高齢者にとって必要なのは、「きょうよう(用事)」と「きょういく(行くところ)」
超高齢社会で病院がやるべきこと
需要の予測
地域の中での病院の位置づけ(役割)
退院支援、退院調整
早期からの退院支援は有効 →退院支援加算1が新設された
退院支援加算1を取得しないと、150点の減額
退院支援加算1を取得しないと 地域連携パス加算を取得できない
次の改定で、退院支援加算は外来から退院を見据えた支援を行う入退院支援加算へ
退院支援加算と地域連携パス
退院調整加算から退院支援加算へ
退院支援加算1の要件
退院困難患者の早期抽出、入院早期の患者・家族との面談、多職種カンファレンスの実施、
退院調整部門の設置、病棟への退院支援職員配置、医療機関間の顔も見える連携の構築
介護保険サービスとの連携
地域連携パス
疾病による対象患者の規定がなくなった
地域連携パス活動が地域医療質改善ツールとして評価された
計画病院が退院支援1,3の要件を満たさないと加算対象にならない
平成30年度改訂
25:1の廃止、
DPC調整係数は廃止
介護療養病床 廃止→ 介護医療院 創設
地域連携クリニカルパス
地域連携パスとは?
多職種協働で多用な医療資源の活用を適切に行うために用いられる
患者は医療者とともに目標を共有する
結果として、自分が受ける治療ケアの計画を事前に理解し、シェアード・ディシジョン・メイキングの実践ツールとして活用される
また体調等の変動・逸脱を伝達するツールとして活用され、医療者にアドバイスをもらうきっかけとすることができる
成功事例:青森市の大腿骨頚部骨折地域連携パス、鶴岡:脳卒中地域連携パス
パスが解決してくれる(かも)
ただし、パスを正しく理解していることが必要
パスの定義
患者状態と診療行為の目標、および評価、
記録を含む標準診療計画であり、標準から
の偏位(バリアンス)を分析することで医療
の質を改善する手法
アウトカム
治療によって達成される患者の目標・成果
患者を主語にする
バリアンス
アウトカム・タスクが達成されないこと
目標通りにいかない部分(正常な経過からのずれ、異常、予期せぬこと)
パスはマネジメントツール
日々の「アウトカム評価」「バリアンス」は異常の早期発見!
クリニカルインディケータ
治療経過に重大な影響を与えるアウトカム
パスは手段であって、目的ではない
パス作成・運用することで医療の見直しを
よいプロセスはよい結果を生む