鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

No.21 (和光視察2)

2013-06-10 11:55:34 | 日記
和光市のケア会議の主催者は市、司会、進行も市の職員(部長あるはその代理)
が担当します。

出席者:
市長寿あんしん課担当(4-5名)
各地域包括支援センター(20名程度)
外部講師(栄養士1名、歯科衛生士1名、理学療法士1名、薬剤師2名)
検討する事例ごとのケアマネ、介護事業所担当者(3-5名程度)
出席者の座席はあらかじめ決まっている。

会議のおおよその流れ
プラン作成者より概要説明:4分
事業者からの評価、今後の方針:4分
全出席者から質問意見:10分
まとめ:2分

事前に統一されたフォーマットで資料が配布される。資料には、事例の要点、支
援計画、アセスメントシート、主治医意見書などが含まれ、1症例、5-6ページ。
かなりのボリュームがある。

事例の内容は、個人因子(身体機能、認知機能、廃用・疾病の状況、回復の可能
性、性格など)、環境因子(家族・近隣住民・知人などの背景、在宅や地域の日
常生活動線、かかりつけ医などとの関係)など、具体的、かつ詳しく記載されて
おり、これをみるだけで凡その生活の状況が把握できる。

特徴的なのは、ADL、IADLの見極め整理票によるアセスメント
ADL:室内歩行、屋外歩行、外出頻度、排泄、食事、
IADL:入浴、着脱衣、掃除、洗濯、買い物、調理、整理、ゴミだし、
通院、服薬、金銭管理、電話、社会参加
の個々の項目について、
自立で楽にできる(○1)、自立で少し難しい(○2)
一部介助で改善可能性高い(△1)、一部介助で改善可能性低い(△2)、
全介助で改善可能性高い(×1)、全介助で改善可能性低い(×2)
の6段階で評価し、例えば、ADLの分野の外出頻度の生活機能で△1の状態を○2
へ改善させるというかたちで、領域ごとの改善目標を記載し、事後評価を実施す
る。

見学時に検討したのは7ケース、いずれも興味深いもの。
なかには、要介護3から要支援1へ改善した事例も。

司会や外部講師からのするどい突っ込みが満載で、そこが和光のケアカンファレ
ンスの醍醐味というか、エッセンスと感じた。

一方、「あなたはいつまでたってもプレゼン能力が低いね」、「課題だけ挙げて
もしょうがいでしょ。大事なのはそれをどう解決するか。」など、つっこまれる
側のケアマネも大変。だからこそ、OJT(on-the-job training)として、スキル
が磨かれるのかもしれません。
(同行したケアマネさんは、これじゃ鶴岡のケアマネはびびって出席できないと
のコメント)

開催日:
毎週木曜日の午前、
1事例あたり約20分 合計で3-4時間程度
全ての包括が参加する「中央会議」と日常生活圏ごとに実施する「包括別会議」がある

検討対象事例:
中央会議では、要支援者の新規の介護プランのすべて
サービス利用後の悪化した要支援者・2次予防事業対象者の事例、
支援困難事例、権利擁護の対応が必要な事例を中心に検討
それ以外の事例を包括別会議で検討
事例は、市が指定するのではなく各事業所からあがってくる


全体の印象

1、ケア会議をアクティブかつ実のあるものにしているのは司会者の能力による
ところが大きい。ケア会議を仕切れる人をどう育成するかはどの地区でも課題と
なるだろう。

2、和光市のケアマネのスキルは高い!
それはケア会議でのOJTによるところが大きい。会議で鍛えられている。

3、行政の政策とその実行力こそが、地域を変える最大の原動力
一方で、その実現は、東内さん(部長)という「人」にかなり依存している。
では、第2の東内さんを育成するには、何が必要か

4、地域包括ケアの中心的な職種はケアマネ、
ケアマネのスキルアップこそが課題だが、
課題の多くは、多職種協働をどれだけ活用できるかにかかっている
そのために地域ケア会議が果たす役割が大きい

5、和光市といえど、医師会との関係は良くない(市のコメント)
事例検討のなかでも、医療とくに医師との連携が課題となっていることが
多い。医師も、患者の生活背景を知る努力が必要である。
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