昨晩は、島根大学の精神科の教授である堀口先生をお呼びして、本年度1回目となる医師会勉強会でした。
日頃遭遇することの多い、不眠、うつ、せん妄、認知症の薬物療法のちょっとしたコツと題した講演でしたが、処々に身振り手振りでの笑いを誘う小話もあり、とても楽しい講演でした。一方で、先生のメッセージは、薬の副作用を自覚しないまま、安易に薬を使い過ぎている今の医療に対する警告にあったのではないかと感じました。
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第110回 鶴岡地区医師会勉強会
「臨床全科で遭遇することの多い不眠やうつ、せん妄や認知症の薬物療法のちょっとしたコツ
~自験例のビデオも用いて~」
島根大学医学部精神医学講座 教授 堀口 淳 先生
日時:2016年6月10日 19:00~
場所:医師会講堂
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●堀口先生の略歴
宇和島市出身
福島県立医大卒(本田先生の同期) → 愛媛大学 → 広島大学 → 島根医科大学精神科教授
http://www.med.shimane-u.ac.jp/psychiatry/professor/01_01horiguchi.html
おもに、薬の副作用の研究をしてきた
■睡眠障害
メタボや高血圧症になりやすい
睡眠障害を見逃さない!
以下は、どんな患者にも質問する
1、眠れてますか? 昼間、眠くないですか?
2、ムズムズして眠れないことは?
3、いびきをかくと言われますか?
(マイスリーなどの筋弛緩作用のある睡眠薬は要注意)
■閉塞性無呼吸症候群:
高血圧、不整脈、心不全を合併することがある
■高齢者、無呼吸症候群、認知症患者の不眠治療
抑肝散(ツムラ54)、酸棗仁湯(ツムラ103)
+ ロゼレム 1T、ベルソムラ(15 か 20mg) 1T
■ロゼレムとせん妄
REM睡眠行動障害
ロゼレムは、せん妄に効果がある
術後せん妄をロゼレムで予防できる可能性がある
■各種精神病薬で生じることがある症状
・ジスキネジア(口唇、下顎、舌) 薬で生じる
不規則な不随意運動 振戦とは異なる
抑肝散(リスペリドンと効果は似る)が効果ある
・歯軋り (下顎のジスキネジア)
抗うつ剤ででることがある
・食道ジスキネジア
・呼吸筋群ジスキネジア
ジスキネジアと紛らわしい運動
ジストニア(発作性、持続性)
姿勢保持障害
ビリルビンが高い統合失調症
■うつ病
がん患者に多い
新型うつ病は、性格異常
軽症例(不眠、いらいらタイプ)
リフレックス(15㎎)1~2T
抑肝散 2から3包 (朝夕~毎食前後)
軽症例(不安、憂うつタイプ)
リフレックス(15mg)1~2 錠
補中益気湯(ツムラ41) 2-3包(朝夕~毎食前後)
■認知症
一般的に安易に薬を投与し過ぎ、時間をかけた診療が前提
抑肝散:病名とは無関係にイライラ・カリカリに奏効 → 対人関係の円滑化
ママリー:興奮や感情不安定で易刺激的な症例
アリセプト:自発性の低下が前景にみられる症例
レミニール:両方の色彩のある症例