鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

No.399 (緩和ケア特別講演会)

2014-10-05 10:19:28 | 日記
10月2日、18:30~、医師会講堂で、蘆野先生の緩和特別講演会が行われました。

ご存知のように蘆野先生は鶴岡出身で、十和田市立病院院長を経て、現在青森県立中央病院の医療管理監の職にあります。日本における地域緩和ケアの先駆者でもあり、緩和ケア医とても高名な先生ですね。現在、月1回ほど荘内病院でカンファレンスなどの参加し、多くの助言・指導を受けているとのことでした。

さて、今回の講演のタイトルは「地域ケアシステムと緩和ケア。ホスピスの歴史から始まり、在宅で看取ることの重要性、なぜ病院で自然と考える死を迎えるのかその理由と反論、包括ケアシステムと在宅緩和ケアの類似性、包括ケアシステムのあるべき姿など、大変高い次元での講演を聴講しました。

以下、どうして病院で死を迎えるのかの理由と、それに対する先生の考え方です。私も同じように考えますし、多くの医療者にとって共感する部分も多いのではないかと思います。最後に挙げられた「自宅で看取りたいが希望を叶えてくれる医療機関がない」対しては、もしそうなのであれば、われわれ医療者とくにかかりつけ医は重く受け止める必要があると思います。

☆最後まで「最善の医療」を受けたい。できれば治りたい。まだ元気になって自宅に戻りたい。

・治療によって治ることがない病態では治療はかえって身体的精神的苦痛を増すだけ
・狭い不自由な環境では、安静(仰臥)を強いられるため、虚弱となり、むしろ余命が短くなる
・社会的役割の喪失、家族も含めた面会者の減少などによる孤独で、スピリチュアリティーが失われる。

☆病気に伴う苦痛を和らげて欲しい

・痛みの治療など症状緩和治療は以前より進歩しているが、病院勤務医は病気を治すことに興味をもっているため、症状緩和治療には無関心なことが多い
・病院によっては緩和ケア医が誕生しているが、地域での生活を視野において治療を行う医師はまだ少なく、症状緩和治療にあけくれている専門医を少なくない
・入院が長期化することで苦痛が増す可能性がある
・緩和ケアはプライマリケアーとして在宅医が実践しつつある

☆自宅で死ぬことに不安がある、居宅/施設で死なせることに不安がある

・自宅/居宅/施設での看取りの経験を持った人がすくないため当然の不安である
・しかし、経験することが、その後の経験知となる
・十分な経験を持った医療従事者/介護従事者の支援が必要
・それでも不安が強い人には後方支援病院にいつでも入院できる体制をとることが大切

☆家族には迷惑はかけられない、介護力がない、世話したくない、お金がない

・居宅/施設で対応できる体制(外付けの医療も含め)があれば病院でなくともよい
・「すまい」と「介護支援体制」の問題であり、医療の問題ではない

☆「最後は自宅/居宅/施設で」と希望しているが、希望を叶えてくれる医療機関がない
・訪問資料をしてくれる医師がいない地域もある
・24時間訪問看護をしてくれる看護師がいない地域もある
  ◆早急に解決すべき課題!

https://drive.google.com/file/d/0BzItwTwB_6zeNHF5OU5sOS1acGs/view?usp=sharing
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