鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

庄内地域医療情報ネットワーク研究大会

2014-12-08 11:13:28 | 日記


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第3回 庄内地域医療情報ネットワーク研究大会

「知っていますか、つながる医療」

日時:12月7日、13:30 ~ 16:00
場所:鶴岡市 グランド・エルサン
対象:医療・介護・福祉関係者および一般住民
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1、開会

2、主催者あいさつ 鶴岡地区 三原会長

20年程前から、病院を中心に電子カルテが普及、今では、大きな病院のほとんどに電子カルテが普及した。一般の診療所でも、30%程度が電子カルテの時代である。

患者さんのカルテ情報を電子化することの最大のメリットは、さまざまな職種間で、リアルタイムに情報を共有できることで、チーム医療に貢献できること。また、今日のテーマでもある、患者さんに関わる人たちを「つなげる」ことに大きな効果がある。

一方で、インターネットが急速に普及したことで、インターネット回線を利用することで、例えば、当地区で運用しているNet4Uのように地域全体でひとつの電子カルテを使うということも可能となった。また、ちょうかいネットのように、病院の電子カルテを他の施設から閲覧することも可能となった。

鶴岡地区で運用されている、地域電子カルテNet4Uは、15年の実績があり、日本でも最も歴史のある地域電子カルテである。Net4Uは、とくに、在宅医療の分野で、医師、看護師、理学療法士、薬剤師、ケアマネなど多職種間の情報共有やコミュニケーションツールとして活用されている。

今日は、基調講演として、慶応大学の秋山美紀先生から「地域でつながる」ことが安心して、暮らしやすい、地域づくりになるとう話を伺い、後半は、鶴岡と酒田から、それぞれ2題づづ、ITの活用事例を報告して頂き、皆さんとともに、医療情報のネットワーク化と「つながる」ことの意義について考えてみたい。


3、特別講演 「地域の「つながり」を育てよう!」
  慶応義塾大学 環境情報学部 准教授 秋山 美紀



発表スライド


今日のキーワードは、「つながり」、「役割」、「信頼」
そして、「コミュニティー」、 「エンパワメント」、「ソーシャルキャピトル」

「つながる医療」への大転換

 ・「受益者」から行為の「主体」へ
 ・垣根を越えた職種間の連携
 ・ヘルスケア産業の裾野の広がり

今年は「地域包括ケア」元年
 地域包括ケアは、職種間の連携ではなく、「統合」という新しい概念 
 介護保険法に「国民(患者)の責務」 の条項が新設された
 地域医療(Regional Medical System) から コミュニティヘルス へ
 コミュニティー感情
  われわれ感情 役割感情 お互いさま感情
 包括ケアの図における葉は、連携を指し
 それを育てるのは土壌(生活支援・福祉サービス)
 さらに、それを支える住まいがあり、その土台が本人・家族の心構え(自立)

エンパワーメント
 湧活とも訳す
 人びとに夢や希望を与え、勇気づけ、人が本来持っているすばらしい生きる力を湧き出させること。

からだ館
 活動の3本柱
  情報を調べる
  学びの場
  出会う・分かち合う!
 ステージによる患者ニーズの変化
  知りたい、 出会いたい、役に立ちたい 
 一方向では、当事者になれない、共に学ぶ、半学半教、「勉強会」から「からだ館健康大学に!」 
 「楽しい」ことは大事!楽しい企画、

ソーシャルキャピタル(社会関係資本)
 つながりは、貴重な資本
 良いつながりは、よいリターンを生む
 ソーシャルキャピタルの3要素
 「信頼」、「規範」、「ネットワーク」
 ソーシャルキャピタルは、教育、犯罪率、自殺率、健康とも関連することが指摘されている
 保健、医療、介護という専門家の連携から地域・市民も含む一体化した連携(コミュニティーヘルス)へ 


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シンポジウム・フォーラム

座長 鶴岡地区医療情報ネットワーク協議会 三原一郎
アドバイザー:              秋山美紀
シンポジスト:鶴岡地区医師会       中村秀幸
       あかね薬局         篠田太朗
       日本海総合病院       島貫隆夫
       酒田地区ケアマネ連絡協議会 安藤 早苗
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NHK山形で放映されたビデオでNet4Uを紹介
https://www.youtube.com/edit?o=U&video_id=BbF-F5gj2VY



・在宅医療を支える医療情報ネットワーク ~Net4Uとちょうかいネット~
 鶴岡地区医師会 中村秀幸氏



 動画で、Net4Uのしくみや、在宅医療における活用現場を紹介
 Net4Uへの参加は、現在86施設、介護、薬局、歯科での伸びが著しい
 ちょうかいネットとNet4Uが連動することで、病院の情報と在宅の情報がID-Link 上で閲覧可能となった
 
・薬局薬剤師とNet4U
 あかね薬局 篠田太朗氏



発表スライド
 
 あかね薬局におけるNet4U登録:50、実際に利用したのは39例
 がん:35例、非がん:4
 在宅訪問患者数:70名、(内がんは60人)
  うちNet4U利用は39
 薬の変更などの提案した事例(薬剤師が貢献できた事例)
  Net4U利用群で3-4倍と非利用群より圧倒的に高い、
  →Net4Uの利用で効果的に介入できていた
 Net4Uは、単なる連携促進だけではなく、人材育成にも資する 
 
・ちょうかいネットを育てるための工夫
 日本海総合病院 島貫隆夫氏



 急性期病院の立場から、地域とのつながりを
 ちょうかいねっとの利用例を通して分かりやすく説明
 垂直から水平の病診連携へ
 閲覧しているのは診療録が多い、次いで画像
 診療所の参加率は34%だが、10例以上の登録は20%程度
 広がりは今後の課題
 

・医療介護連携におけるちょうかいネットの活用状況
 酒田ケアマネ連絡協議会 安藤早苗氏



発表スライド

 酒田ケアマネ協議会で、運用3か月後にアンケート調査
 ID取得は、全ケアマネの17%
 うち、閲覧しているケアマネは7名、閲覧件数15件、
 医療情報を扱うことに抵抗感、緊張感がある、医療情報の取り扱いが分からないなど
 介護側からみる医療はままだ敷居が高いことが示された

<ディスカッション>



Q,患者さんにとってもメリットは?

認知症などで本人が伝えられない情報を得ることができ、
具体的なアドバイスができる

ステージによる患者ニーズが異なることを感じる
退院後もNet4Uで病院とつながっていることに安心感をもっているようだ

見捨てられ感から、ちょうかいネットでつながっていることによる安心感へ
パーティスパント機能をもっと活用したい

限られた時間のなかで、正確な情報がやりとりできる

Q,今後は、家族やヘルパーなどとの情報のやり取りが必要ではないか
必要なメンバーによる、医師が中心ではない、よりフラットな関係での情報共有は可能か

Q,回復病院立場からだが、診療所はどのような情報が欲しいのか
 

尾道、伊藤先生からのコメント
・15分間のカンファレンス行っている(尾道方式)
・カンファレンスを行うことで同意も取りやすい

ID-Link の開発者である伊藤さんのコメント
・医療介護の連携においてはリーダが必要であり、それを担うのは在宅主治医であるべき

<秋山さんのまとめ>


地域の文脈にあった取り組みが必要
「情報技術」と「つながり」は本来別もの
しくみが良くできているだけではなく
顔の見える関係づくり、(カンファレンス、勉強会・・)
お互いの信頼の形成、が必要

鶴岡地区でNet4Uが15年間も使われ続けているのはなぜなのか
参加する、使い続けるインセンティブ、それがまさにエンパワーメントではないのか

閉会のあいさつ
酒田地区医療情報ネットワーク協議会 島貫先生

 
初めての市民を対象とした研究会だった。
医療ネットワークを市民の皆さんと一緒に育てていきたい。


<交流会>
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