9月30日 (日) オーケストラ フォルチェ 市川市文化会館 大ホール
チャイコフスキー 序曲「1812年」 ボロディン 交響詩「中央アジアの草原にて」 ドボルザーク 交響曲第8番
台風17号が今夜にも関東に近づこうという日の午後、オーケストラ フォルチェの演奏会に行ってきました。 オーケストラ フォルチェとは若手アマチュアによる新生オーケストラです。特定の出身母体を持たず、音楽に情熱を持つ首都圏の若手たちで構成されているのだそうです。 実際見たところ、ほとんどが20代後半といった感じでした。 第1回定期演奏会ということで、もちろん私は聴くのは初めてです。 どんなオーケストラかワクワクして出掛けました。
チャイコフスキーの「1812年」の冒頭のチェロとビオラのアンサンブルを聴いて大いに期待をかきたてられました。 CDではもちろんですが、生の演奏でも何度か聴いたことのあるこの曲をとてもきちんとわかりやすく演奏していました。 そして最後の盛り上がりは申し分のないものでした。曲の途中で金管のメンバーがさらに10名ほど舞台袖にぞろぞろと登場し、最後のコーダの大合奏に加わるという初めて見る演出にびっくりしました。 でも少しも不自然でなく、大迫力でフィナーレを飾ることができました。 第1曲から度肝を抜かれました。
第2曲はボロディンの「中央アジアの草原にて」です。 この曲は昔、小学校の音楽鑑賞で聴かされて以来、久しぶりに聴きました。 ヴァイオリンのハーモニクスで何小節も同じ音が響く中、木管のソロで懐かしいメロディーが次々と楽器をかえて奏でられて行きます。 そのソロがまた素晴らしくいい! 「ペルシャの市場にて」のような構成で、商隊がだんだんと近づき、そしてまた遠ざかって行くという感じで、最後にフルートが消え入るように吹いて終わるのですが、拍手をするのを忘れるほど聴き入ってしまいました。
最後の曲はドヴォルザークの交響曲第8番です。 第1楽章は冒頭から魅了されました。 金管をバックにしたチェロの演奏は素晴らしく、続く弦の合奏もはぎれよく気持ちの良い演奏でした。 管と弦のバランスの良い演奏を曲全体を通じて感じることができました。 第2楽章は弦の素晴らしい合奏を聴かせてくれました。中間部のコンマスのヴァイオリンソロは美しく堂々としていました。木管のアンサンブルも良かったです。 第3楽章は最も耳馴染みのあるワルツです。 ヴァイオリンのメロディーが少しヒステリックに聴こえましたが、これもまたありかなと思いました。 第4楽章のトランペットのファンファーレの後の弦低音部で奏でるメロディーがとても良かったです。 ビオラ7.チェロ8.コンバス7の編成でしたが、実にいい、素敵でした。 そして中間部の次々と転調する旋律の部分が何かゾクゾクするような感じで、その後にまた弦低音部のメロディーがゆっくり流れるところがとても良かったです。 この曲はこんなにワクワクする曲だったかと思えるほどでた。 コーダは皆さん非常に一生懸命に演奏していて、見ていても面白いほどでした。
コンマスよりよく動くセカンドのパートマスター、椅子から転げ落ちそうな熱演のビオラ、長い髪を振り乱して演奏するチェロの女性、数えあげたらきりがありません。 若さですかね。 ブラボーです。 とても良い演奏会でした。
ただ気になったのは観客の少なさでした。 こんな素晴らしい演奏会なのにもったいないと思いました。 学生オケののりで演奏が出来ればいいと満足しているのかもしれません。もっと多くの人々に聴かせたい演奏でした。 宣伝にもっと力を入れた方がいいと思いました。
外に出ると空は黒い雲におおわれて、いまにも雨が降りだしそうでした。 駅でのアナウンスで電車の遅れや運休が出始めたことを知り、急いで帰路につきました。
hiroko