滋賀県 建築家 / 建築設計事務所イデアルの小さな独り言

建築家・清水精二のブログ、何でもあり独り言集・・・。

新しい園城寺金堂の鬼瓦

2008年07月13日 | アート・文化
Photo

今日は、国宝の園城寺金堂屋根修理現場の見学会に行って来ました・・・。現場見学会は今日が最終日という事もあり、新しく据え付けられた鬼瓦を間近で見ようと行って来たわけです。
園城寺金堂檜皮葺屋根修理工事については、昨年の11月にも現場見学会に行っているので、そのときの記事を参考にしてください。

新しく据え付けられた鬼瓦(上の画像)は、地元大津の鬼師・美濃邉[みのべ]さんによって再現されたものです。美濃邉さんは、昨年7月に放送されたNHK番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」にも出演されていましたよね・・。(私も番組を観ていました・・)
いにしえの鬼瓦を引継ぎ、未来へとつなぐことが鬼師の仕事だそうですが、美濃邉さん曰く、現代の鬼師に求められるのは、まずもとの鬼瓦を忠実に再現すること。しかし、ただ形を写し取るだけではない、もっとも大切にしているのは、「魂を写し取る」こと・・なのだそうです。

今日の見学会では、取り外された古い鬼瓦(下の画像)も展示されていました・・。担当の方の説明によると、東面に据えられていた鬼瓦と西面に据えられていた鬼瓦は、それぞれ作り手が違うとの事で、確かによく見ると鬼の表情や瓦の焼き具合が東と西では微妙に違っていました。
Photo_2
下の画像は西面に据えられていた鬼瓦なのですが、私の見た感じではこちらの西面の鬼瓦のほうが、厳しい表情をしていて鬼らしいかな・・と思いました。(やはり、作り手の思いがあるのかな・・?)、ちなみに、上の画像の新しい鬼瓦は、東面の鬼瓦です。

今回の新しく据え付けられた鬼瓦も、東面、西面の鬼瓦が忠実に再現されているのだそうです。当然、作り手の思い(魂)までもが写し取られていることでしょう・・・。(そこには、作った者にしか分からない何か無言の伝言板のようなものがあるのでしょうね・・。)

それにしても、職人魂には頭が下がります・・。私もあと何十年かかるか分かりませんが、その土地、土地の魂を吸い上げたような世界中で、その土地にしか建てることのできない建築物を建てたいと思っています。(一生涯のうちに、実現できないかも知れませんが・・・。)







コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする