※原田ひ香(1970年神奈川県生まれ。05年「リトルプリンセス2号」で第34回NHK創作ラジオドラマ大賞受賞。07年「はじまらないティータイム」で第31回すばる文学賞受賞。ほかに「三人屋」「ランチ酒」シリーズ、「東京ロンダリング」「母親ウエスタン」「一橋桐子(76)の犯罪日記」「三千円の使い方」「DRY」「母親からの小包はなぜこんなにダサいのか」など)
●神保町に行きたくなった(^o^)
謎多き独身の次兄の急死で、突然神保町の古本屋を相続することになった妹の珊瑚(さんご)。独身のまま両親を介護し、看取った後はのんびり暮らしていたが、意を決して北海道から単身上京。次兄・滋郎の住んでいた高円寺のアパートにそのまま住んで、お店を再開させる。一方、東京の女子大の国文科に通う長兄・統一郎の孫の美希喜(みきき)は、大叔父・滋郎の生前にその古本屋に通い、進路も相談を受けており、本好きだったこともあってやがて珊瑚の手伝いをするようになる。『ランティエ』連載を改題、加筆修正し単行本化。
神保町の古本屋街に行ってみたいなぁ。「御伽草子」読んでみたいなぁ。古典も読まなくちゃなぁ。笹巻けぬきすし食べたいなぁ。ビーフカレーも食べたいなぁ。そんな思いが広がる、本好きグルメにはたまらない作品。
「古本食堂」というタイトル、そして各章のタイトル、たとえば第一話の「『お弁当作り ハッと驚く秘訣集』小林カツ代著と三百年前のお寿司」が読み始めはよく理解できなかったが、そのうちそういうことかと合点がいき、その世界に入り込め、やがて次は何かなと期待するようになった。登場人物もほんわかして優しく温かい。美希喜の母・芽衣子(めいこ)もいい味出してる。もっと読みたい。
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