私は昔からホラー映画とかたくさん見ました。2ちゃんねるオカルト板をよく覗いていた時期もありました。ここ数年間はネットラジオなどで散々怪談話を聴きまくりました。
さすがにこれだけ接する期間が長いと耐性が出来てしまって怖がる感覚が麻痺してきます。キチガイ大暴れとかは怖いけど、それは警察に任せる事案だし、放射能とか毒物は保健所あたりの出番かなと思うので、単なる一般人には案外遠い。二世代前には世界大戦があってある日突然巨大な暴力に生活が破壊されるという危機もあったのだけど、現在日本は法整備とか整っちゃって大地震などの自然災害を除けば、この日常が一気に崩壊とかはなかなか無い。前振り長いな。
ホラー映画を楽しめない、という話です。どうしても作り手の視点で見てしまうのです。
最近のゾンビはCGなのでニコニコ動画のミクミクダンスの同類です。80年代にスラッシャーホラーというのが流行りまして、ゾンビや殺人鬼が暴れて血がブシャーと飛び散るスプラッター全盛期、特殊メイクがもてはやされた頃に私もたくさん映画を見ました。被害者より殺人鬼側視点で見る変な子供でしたが。ジェイソンは何でも武器にする器用さと手早さで魅せる職人芸。フレディはちょっと悪ふざけが過ぎる、結局いつでも夢に引き込めるのを本人が自覚してるから仕事の態度が不真面目で、あまり好きではありませんでした。ああいうへらへら系悪党って好みに合いません。バットマンのジョーカーとかも悪事が回りくどいし、そんなおふざけキャラに毎度振り回されてるバットマンも個人的にはボンクラヒーローに見えます。ハロウィンのマイケル・マイヤーズは不死身の覆面殺人鬼の元祖ですが、獲物を選り好みし過ぎる(基本的に身内を狙う)ので行動を読まれて、回を重ねるごとに扱いがちょろくなりました。始めは漠然と「妹を殺す」くらいのつもりだったのでしょうが、高所から突き落とされたり、ガスで火だるまにされたり、と壮絶な抵抗に遭い5作目くらいだともう「なにがなんでもぶっ殺す」と恨み骨髄怒髪天ぽいのですがやっぱり返り討ち。また話がずれた。
なんの話しかというと「中の人」の話です。ゴジラに人が入ってるように、ゾンビだってジェイソンだってブギーマンだって中身に役者さんが居ます。スタントマンさんです。「新・13日の金曜日」でジェイソン(新のジェイソンは偽物だが)が最後に残った獲物を追い詰めていく場面、たしか女一人が最後に残った筈なのですが、コイツが物凄く抵抗する、死に物狂いを越えて逆襲する勢いで、何かの拍子によろけてつんのめったジェイソンの後頭部めがけてTVを叩き落としやがったのです。80年代のアメリカのTV。ごついブラウン管のやつ。おそらく撮影用に中身を抜いてるでしょうが、枠だけだってかなりごつい。しかもインパクトの瞬間に火花が散ってるから火薬を仕込んでるぽい。当時まだピュアな子供だった私は「もうやめて!」と思ってしまいました。ジェイソンの中の人が死んでしまいます。その時から見方が変わってしまって、血がブシューと出るのは所詮特殊メイクだからと気にならなくなりましたが、スタントシーンには神経質になりました。だからというかホラー映画が怖くない。スタントマンの頑張りを想像してしまっていつも視点がずれます。
今日は「サンゲリア」というイタリアお得意のパクリゾンビ映画を見ました。グロさで有名な作品ですけど、私はグロ耐性割と高めなので30年も昔の安い描写には動じません。それでも数箇所見ていて引いてしまう場面がありました。
その1。
ゾンビVS鮫。海の中でゾンビが鮫とガチ喧嘩。つまりカリブ海の本物のでかい鮫相手にスタントマンに「襲いかかれ」とけしかけたわけだ。鮫に組み付いてヒレに噛み付きゾンビは健闘するけれど、鮫が向き直ってゆっくり近づくと明らかにゾンビの腰が引けてる、手で追い払う仕草をする。もう演技ではなくなってます。あと、ゾンビが呼吸するのは変なのでスタントマンは息を吐きません。あぶく一粒も漏らせずに水中でアクションシーンをやらされた彼の苦労を思うと、スタッフの無茶ぶりにムカつきすら覚えます。
その2。
ゾンビの群れに火炎瓶。一見、ゾンビを焼き払うとか普通過ぎる攻撃なのですが、実際のところはゾンビ役の役者さんに火だるまになってもらうという、これまた無茶な撮影。この映画は古いので、バイオハザード以降の全力疾走する元気一杯なゾンビではありません。眠るような虚ろな表情でゆっくりと動くレトロゾンビ。ということはゾンビ役の人たちは手足に火がついて燃え上がっても、表情を変えず、手足もそのまま、場面が変わるまでは我慢していないとなりません。ハロウィンのマイケルさんがガス爆発で火達磨にされた時はスタントマンが防火スーツを着込んでいました。若干体型が変わっても炎と暴れる動きでごまかしていました。けれどサンゲリアにはそんな気の利いた対処を見受けられませんでした。低予算ぽいし、ボロ布巻いた程度の粗末な衣装に火がついて次々炎上。ゾンビの腕が燃えて焼け落ちる場面があって、それは実際の腕は胴体部分に入れて肩から吊るしたダミー腕を燃やしていたのは、見てればすぐわかりますけどだからといって脇腹の真横でメラメラ火が燃えてるのが熱くないわけがない。自分だったら反射的に「あっちー!」とか言って飛び上がりそうです。つまりゾンビ役の役者さんは服に火をつけられてもカメラが回ってる間は我慢しろと指示されて、実際我慢したわけだ。ひどい映画だ。
CGが発達する前はこんな無理無茶無謀がまかり通っていたわけだ、映画って怖いな。今はどうせCGだろとか、低予算映画だと「ここで画面が見切れているのは横でスタッフが仕掛けを動かすためだろ」とか、余計なことばかり考えてしまってある意味安心だけど、だからといって低予算が言い訳になると思うなよ。パラノーマル・アクティビティのことだよ。
さすがにこれだけ接する期間が長いと耐性が出来てしまって怖がる感覚が麻痺してきます。キチガイ大暴れとかは怖いけど、それは警察に任せる事案だし、放射能とか毒物は保健所あたりの出番かなと思うので、単なる一般人には案外遠い。二世代前には世界大戦があってある日突然巨大な暴力に生活が破壊されるという危機もあったのだけど、現在日本は法整備とか整っちゃって大地震などの自然災害を除けば、この日常が一気に崩壊とかはなかなか無い。前振り長いな。
ホラー映画を楽しめない、という話です。どうしても作り手の視点で見てしまうのです。
最近のゾンビはCGなのでニコニコ動画のミクミクダンスの同類です。80年代にスラッシャーホラーというのが流行りまして、ゾンビや殺人鬼が暴れて血がブシャーと飛び散るスプラッター全盛期、特殊メイクがもてはやされた頃に私もたくさん映画を見ました。被害者より殺人鬼側視点で見る変な子供でしたが。ジェイソンは何でも武器にする器用さと手早さで魅せる職人芸。フレディはちょっと悪ふざけが過ぎる、結局いつでも夢に引き込めるのを本人が自覚してるから仕事の態度が不真面目で、あまり好きではありませんでした。ああいうへらへら系悪党って好みに合いません。バットマンのジョーカーとかも悪事が回りくどいし、そんなおふざけキャラに毎度振り回されてるバットマンも個人的にはボンクラヒーローに見えます。ハロウィンのマイケル・マイヤーズは不死身の覆面殺人鬼の元祖ですが、獲物を選り好みし過ぎる(基本的に身内を狙う)ので行動を読まれて、回を重ねるごとに扱いがちょろくなりました。始めは漠然と「妹を殺す」くらいのつもりだったのでしょうが、高所から突き落とされたり、ガスで火だるまにされたり、と壮絶な抵抗に遭い5作目くらいだともう「なにがなんでもぶっ殺す」と恨み骨髄怒髪天ぽいのですがやっぱり返り討ち。また話がずれた。
なんの話しかというと「中の人」の話です。ゴジラに人が入ってるように、ゾンビだってジェイソンだってブギーマンだって中身に役者さんが居ます。スタントマンさんです。「新・13日の金曜日」でジェイソン(新のジェイソンは偽物だが)が最後に残った獲物を追い詰めていく場面、たしか女一人が最後に残った筈なのですが、コイツが物凄く抵抗する、死に物狂いを越えて逆襲する勢いで、何かの拍子によろけてつんのめったジェイソンの後頭部めがけてTVを叩き落としやがったのです。80年代のアメリカのTV。ごついブラウン管のやつ。おそらく撮影用に中身を抜いてるでしょうが、枠だけだってかなりごつい。しかもインパクトの瞬間に火花が散ってるから火薬を仕込んでるぽい。当時まだピュアな子供だった私は「もうやめて!」と思ってしまいました。ジェイソンの中の人が死んでしまいます。その時から見方が変わってしまって、血がブシューと出るのは所詮特殊メイクだからと気にならなくなりましたが、スタントシーンには神経質になりました。だからというかホラー映画が怖くない。スタントマンの頑張りを想像してしまっていつも視点がずれます。
今日は「サンゲリア」というイタリアお得意のパクリゾンビ映画を見ました。グロさで有名な作品ですけど、私はグロ耐性割と高めなので30年も昔の安い描写には動じません。それでも数箇所見ていて引いてしまう場面がありました。
その1。
ゾンビVS鮫。海の中でゾンビが鮫とガチ喧嘩。つまりカリブ海の本物のでかい鮫相手にスタントマンに「襲いかかれ」とけしかけたわけだ。鮫に組み付いてヒレに噛み付きゾンビは健闘するけれど、鮫が向き直ってゆっくり近づくと明らかにゾンビの腰が引けてる、手で追い払う仕草をする。もう演技ではなくなってます。あと、ゾンビが呼吸するのは変なのでスタントマンは息を吐きません。あぶく一粒も漏らせずに水中でアクションシーンをやらされた彼の苦労を思うと、スタッフの無茶ぶりにムカつきすら覚えます。
その2。
ゾンビの群れに火炎瓶。一見、ゾンビを焼き払うとか普通過ぎる攻撃なのですが、実際のところはゾンビ役の役者さんに火だるまになってもらうという、これまた無茶な撮影。この映画は古いので、バイオハザード以降の全力疾走する元気一杯なゾンビではありません。眠るような虚ろな表情でゆっくりと動くレトロゾンビ。ということはゾンビ役の人たちは手足に火がついて燃え上がっても、表情を変えず、手足もそのまま、場面が変わるまでは我慢していないとなりません。ハロウィンのマイケルさんがガス爆発で火達磨にされた時はスタントマンが防火スーツを着込んでいました。若干体型が変わっても炎と暴れる動きでごまかしていました。けれどサンゲリアにはそんな気の利いた対処を見受けられませんでした。低予算ぽいし、ボロ布巻いた程度の粗末な衣装に火がついて次々炎上。ゾンビの腕が燃えて焼け落ちる場面があって、それは実際の腕は胴体部分に入れて肩から吊るしたダミー腕を燃やしていたのは、見てればすぐわかりますけどだからといって脇腹の真横でメラメラ火が燃えてるのが熱くないわけがない。自分だったら反射的に「あっちー!」とか言って飛び上がりそうです。つまりゾンビ役の役者さんは服に火をつけられてもカメラが回ってる間は我慢しろと指示されて、実際我慢したわけだ。ひどい映画だ。
CGが発達する前はこんな無理無茶無謀がまかり通っていたわけだ、映画って怖いな。今はどうせCGだろとか、低予算映画だと「ここで画面が見切れているのは横でスタッフが仕掛けを動かすためだろ」とか、余計なことばかり考えてしまってある意味安心だけど、だからといって低予算が言い訳になると思うなよ。パラノーマル・アクティビティのことだよ。