チェロ弾きの哲学ノート

徒然に日々想い浮かんだ断片を書きます。

概念アラカルト(その2)

2016-07-03 09:03:52 | 教育

 概念アラカルト(その2)   概念研究家 五十嵐玲二談

 6. エコロジー(ecology)

 生態学。生物と環境との関係や、生物相互の関係を研究する学問。

 

 生態学は自然の中での集合としての生物を対象とする生物学であると言ってもよく、その意味では非常に古い伝統を持ちます。第二次世界大戦前(1940年)まで、私たちは、地球のポテンシャル(包容力)は、無限大と考えていました。

 しかし、人類が原爆を手に入れ、フロンガスでオゾン層を破壊し、人工衛星で水の惑星地球をそのまま画像で見る時、地球温暖化が私たちの直接の問題として降りかかる時、エコロジーは単なる生物学の問題ではなく、私たち人類を含む問題となりました。

 

 人類は、産業革命以降、石炭、石油、天然ガスを使用して、船舶、車、ジェット機によって地球はますます狭くなり、さらには排出される炭酸ガスの温室効果、原子力発電所の温排水、熱帯雨林の減少、森林火災、泥炭火災によって、急激な地球温暖化が発生しました。

 その結果、山頂付近の氷河が消失し、タイガの永久凍土が融け出し、北極海の海氷が減少し、……。

 この結果、海面は上昇し、海水温は上昇し、その熱エネルギーによって、より強力な台風やハリケーンが発生し、大きな高波によって河口の肥沃なデルタ地帯は、甚大な被害を受けることになります。

 

 これからは、人間の都合に合わせるのではなく、地球環境(エコロジー)を優先させなければ、私たちの未来は失われます。過去に絶海の孤島イースター島で、森の木を伐り尽して、船さえも造ることができずに、島民が絶滅したました。

 このような悲劇が、水の惑星地球に於いて、過放牧による砂漠化、塩害、農薬汚染、地下水の枯渇、海面上昇による水没、……。これからは地球環境を最優先にして、人類の英知を結集して、未来を切りひらかなくてはなりません。 

 

 7. ジレンマ(dilemma) (ディレンマ)

 板挟み。どちらとも決めかねている状態。 難問、窮地。

 di-(2つ)+ -lemma (想定)=二つの想定を抱えている。 (ギリシャ語 dilemmatos が語源)

 

 私は、長い間ジレンマは、日本語だと思っていました、「焦れる(じれる)」と「魔がさす」が合体して。「じれんま」となったのかなと思っていました。

 

 (1) イギリスのEU脱退のジレンマ

 イギリスは、EUに加盟していることで、安い賃金で優秀な移民が流入して、経済も活性化されます。反面、自分の職が奪われる危険性を孕んでいます。

 イギリスがEUから脱退し、関税障壁により、イギリスへの企業の進出が減少し、優秀な人材が流入することで活性化していた経済が、衰退し、更に失業が増える結果になります。国民投票によって、このジレンマは、更に拡大し、混迷してます。

 

 (2) 抗生物質の耐性菌に対するジレンマ

 抗生物質は、非常に有効ですが、使う場合は、完全に治すこと。効かないときはすぐに使用を中止する。安易には使わない。

 これらのことを人間に於いても、家畜に於いても守らないと、耐性菌ができて薬が効かなくなります。抗生物質は常に、耐性菌との闘いです。

 

 (3) 女性の高学歴、高収入のジレンマ

 女性が高学歴になると、結婚年齢が遅くなり、出産適齢期が短くなり、高収入になると結婚相手の対照が減少します。このことをあらかじめ知っていれば、女性が高学歴、高収入は、歓迎すべきことです。

 

 8. ストラクチャー(structure)

   構造、構成、組織、機構、組み立て、構文

   建物   、 (生物)形態  、 化学構造  、 (地質)構造

   struct-(積み上げる)+-ure(…こと)

 

 (1) 自動車の構造

   動力発生系 ―― エンジン、燃料供給系、点火系、エンジン冷却系、排気系

   動力制御系 ―― ハンドル、アクセル、クラッチの各制御系

   快適空間系 ―― タイヤ、サスペンション、座席、窓、ワイパー、ボデー、エアコン

   電気系    ―― モーターによる可動系、発電機系、蓄電(バッテリー)系

 自動車を生産するには、これらを各パーツ(部品)に分けて、これをモジュールごとに組み立て、そのモジュールを結合して、自動車とする。この部品単数が、その機械の複雑さの一つの尺度となる。ちなみに自動車の部品点数は、2,3万点です。

 

 (2) 分子構造

   分子構造は、ベンゼン核の六角構造や遺伝子のDNA二重螺旋構造が、有名です。しかし分子構造は、分子模型のように静的なものではなく、以下のようなものです。

 分子の構造は、構成する原子の電子雲による斥力と化学結合による引力との均衡により決定づけられます。そして、分子を構成する原子は内部エネルギーにより振動しているもので、分子構造の示す位置は平均的な重心位置です。

 分子構造を調べるには、規則性のある構造を持つ試料で、波動の干渉作用によるX線回析、中性子回析、電子回析などによって、間接的に類推されます。(私も良くは理解してませんが、イメージとして捉えてください)

 

 (3) 言語の構造

  単語(言葉)が存在し、これを発音するには、音韻(読み)が必要です。言葉を書き表すには、文字が必要です。単語は、名詞、動詞、形容詞、副詞、接続詞などの品詞に分類されます。

  単語は、句や節や文をつくりますが、この時の法則が、文法です。これらによって、文は、一定の意味をもち、他者とのコミュニケーションが成立します。

  すなわち、言語は、単語(言葉)、音韻(読み)、文字(書き言葉)、品詞、文法、句、節、文章、意味(コミュニケーション)から、構成されます。

 

 9.  レスポンシビリティ(responsibility)

  義務履行能力、支払い能力、責務


 レスポンシビリティとアカウンタビリティ(宮 直史ブログより)

 かつて会計を学び始めた頃、会計の役割について「レスポンシビリティ( responsibility )」と「アカウンタビリティ( accountability )」という言葉で教えを受けました。

 いずれの言葉も「責任」や「責務」と訳されますが、レスポンシビリティが一般的な責任の意味で使用されるのに対し、アカウンタビリティは説明責任の意味で使用されます。

 しかしながら、この二つの責任は決して別々の概念ではなく、他人から依頼を受けた者はその依頼されたことに対して責任(レスポンシビリティ)を持ち、その責任を果たす過程や結果について説明する責任(アカウンタビリティ)を負うというように密接に結びついています。

 隠す、誤魔化す、騙すという行為はアカウンタビリティとは相容れないものですが、形ばかりの説明もアカウンタビリティを果たしているとはいえません。

 また、おざなりの説明を聞かされて唖然とすることがありますが、それはアカウンタビリティの前提としての責任感(レスポンシビリティ)が欠如していることを意味します。アカウンタビリティを果たしたかどうかを判断するのは、あなたではなく、相手です。


 たとえば、新たな資金を調達する場合も、相手によって関心は異なります。銀行であれば融資の回収の確実性、ベンチャービジネスなど株式公開を前提とする直接金融ならビジネスの今後の展開、ソーシャルビジネスなど株式公開を前提としない直接金融なら調達したお金の使われ方が社会的に意義あったことの確認・・・
 相手の関心に応じてアカウンタビリティを的確に果たすことが、信頼関係を深める前提です。 (第2回)